2022年6月 2日 (木)

ウニの殻、シカの皮

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 いろんなジャンルの作品が用と美を競う松本クラフトフェア。作品を展示するテントもアイデアにあふれています。個人的に一等賞は、おとぎの国から抜け出たような可愛いテント。いやテントと呼ぶにはあまりに立派。小さなキオスクのスタンドか、交通整理のポリスボックスか。ここまで作り上げるとこれ自体が立派なアートです。

Soara

 これは小林創新(soara)さんが作品を展示するためのステージです。一つ一つ色や形が違うウニの殻に木製の台をつけたメルヘンチックなランプを、周囲の壁面に麗しく展示。室内には小林さんが入っていて、小窓を開けて説明と販売をしてくれる。そうだ、劇場や博物館の切符売り場でのやり取りのようだ。おもしろい。

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 山元規子(卵工房)さんの繊細な磁器も素晴らしかった。薄い薄いパーツを貼り合わせて焼いたのか、サンゴ礁のような海綿のような不思議なオブジェ。テント越しの淡い光が効果的で、水底で揺らめいている感覚になる。見せ方って重要ですね。中村圭(Kei Nakamura)さんの竹クラフトも、素材の活かし方が斬新でした。

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 石黒幹朗さん(uun)さんの作品は、石か粘土で作ったような謎の球体。大きさも、色も、模様も、微妙に違う。じつはシカの皮で作った照明器具だそうだ。だからその違いは1頭ごとの個性のあらわれ。皮革だからといってバッグや財布やジャケットや作らなくてもいいわけですが、この球体はインパクト大。驚きました。

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 カラフルな陶の土台に鳥や花の鋳物が載せられた、本山ひろ子さんの作品も印象に残りました。どんな技なのか、遺跡から掘り出されたような質感が見事。山崎雄一さんのガラス器も、まるで古代ペルシャの遺物。どちらも何百年ものエージングを感じさせる手法が新しい。見どころいっぱいの松本クラフトフェアでした。

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2022年5月30日 (月)

3年ぶりのクラフトフェア

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 コロナ禍で中止が続いた松本クラフトフェア。5月28日(土)29日(日)に、3年ぶりに開催されました。お天気にも恵まれ、出展者も来場者もみんな晴れやかな顔つきです。感染防止対策は万全。事前にアプリをインストールして連絡先などを登録、検温、消毒をして、あがたの森公園正面入口からのみの入場です。

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 出展者のジャンルは「陶磁」57、「木工・漆」36、「染色・フェルト」17、「ガラス」12、「金属」17、「皮革」18、「その他の素材」12、「材料・道具・情報」10。3年分の思いがこもった力作を展示たテントが、緑あふれる公園にいっぱい並ぶ。観客は思い思いに作品を見てまわり、作家さんと会話を楽しむ。もちろんその場で購入も可能。

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 食品のブースは定番のカレー、アジア風屋台飯、ベーグル、焼き菓子、自家焙煎コーヒーなど総数26。目についたのはハチミツ屋さんや手作りシロップをかける氷屋さん、そしてハーブやスパイスをたっぷり煮込んでソーダで割るお店。ヘルシー志向ですね。お天気がいいと気温も上がる。ノドも渇く。熱中症にも気を付けなきゃ。

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 テントを巡ったり、木陰のベンチで休憩したり、また戻って見たり。1万歩以上は優に歩きます。緑の美しい季節、いろんな樹々が大きく育ったあがたの森公園は散策にも最適。小さな子どもたちは、園内の芝生広場や池の周りで元気に遊びまわっている。こんな和やかな光景を見るにつけ、つくづく平和のありがたみを感じます。

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 全国各地で開催されるクラフトフェアですが、なかでも老舗でかつクオリティが高いのが松本。作家さんもアートファンも日本中から集まる大イベントです。コロナが一段落して久しぶりに開催にこぎ着けられたのは本当に喜ばしいこと。初夏の明るい日差しのもと、豊かな自然に囲まれる幸せ。来年も無事に開催されますように。 

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2022年5月 5日 (木)

芽吹きの春、命輝く時

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 一昨日は雪が降り、鉢盛山は白く雪化粧しましたが、ふもとの野麦峠スキー場は絶好のハイキング日和。ゲレンデを太陽の光を浴びながらゆっくり登る。サクラが咲き、カラマツが芽吹いて薄緑のモヤのように煙っている。乗鞍もだいぶん雪が解けて雪形があらわれていたのに、また真っ白になっています。神々しい白。

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 落葉するカラマツは芽吹き始めでまだ葉が茂っていない。だから存在感が薄い。それに対して目立っているのが常緑のドイツトウヒ。枝が幽霊の手のようにダラリと垂れ下がる独特な樹形。ヨーロッパ原産、スカンジナビア半島やドイツ黒の森に多い。豆知識をひとつ。材はストラディバリウスの響板にも使われているそうです。

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 とは言えカラマツにとっても今はドラマチックな時期。芽吹きと同時に雌花と雄花が咲き、受粉の準備を始める。枝の上、大きくて白っぽい薄緑色のが雌花。枝の下側には、小さくてオレンジ色がかった褐色の雄花。数は雄花がはるかに多い。多くの花で雄しべが雌しべよりずっと多いのと同様、受粉の可能性を高めるため。

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 人間でも精子の数が圧倒的に多いですからね。これは種として生き延びるための知恵。植物も、動物も、子孫を残すためにさまざまな努力を重ねた結果、今がある。現在われわれが目にしている生物は、すべて進化の道筋の勝者のみ。雑草も虫けらも、すべて不屈のチャンピオン。だからあらゆる生命を大切にしなければ。

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2022年5月 2日 (月)

境峠のミズバショウ

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 我が松本市奈川と木曽郡木祖村との境界線にある標高1,480mの峠。その名もわかりやすく境峠。そこにある湿原でミズバショウの花が満開です。白い花に見えるのは、じつは花ではなくて葉の変形した苞。仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる。この中にある黄色いツブツブの円柱状が、小さな花がたくさん集まった花序。

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 ミズバショウはサトイモ科ミズバショウ属の多年草。夏になると葉が高さ80cm、幅30cmにも成長し、まさに芭蕉の葉のような大きさに。それが下を流れる水が見えなくなるほど、びっしり生い茂る。ミズバショウは雪が融けたあとに開花しますが、今年は三月に入ってから暖かい日が多かったので、いつもより開花が早い。

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 ここ境峠の湿原は、周りにミズナラやブナなどの広葉樹やヤナギの仲間、カラマツやシラビソなどの針葉樹が自生。クマザサもたくさん見かけます。自然のままの豊かな植生の中で、サクラと同じころに咲き始め、樹々の芽吹きと共に春を祝福するかのごときミズバショウ。バードウオッチャーの姿も見かける季節になりました。

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2021年11月 8日 (月)

野麦峠スキー場、準備中

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 奈川高原のカラマツは黄葉の真っ盛り。そこら中が明るく金色に染まっている。野麦峠スキー場でも間もなく迎えるシーズン開幕に向けて、ゲレンデの草刈りやリフトの点検など準備が進んでいる。秋晴れの一日、そのゲレンデでハイキングを楽しみました。のんびり歩くのはスキーで滑り降りるのとはまた違う感覚で新鮮です。

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 最高2,130mのゲレンデの中腹、標高1,827mにあるレストハウス樹海まで。下半分を回って降りてくるルート。標高差は400m近くありますが、草を刈ったおかげで歩きやすくラクチンです。地面にキャタピラの跡があるのは、スキーシーズンに大活躍する圧雪車が草刈りにも活用されているからだ。いまはもっと上部で作業中。

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 正面に雪をかぶった乗鞍岳がカラマツの黄葉をまとって聳えている。右に前穂高岳、奥穂高岳、西穂高岳の穂高連峰。焼岳との間には笠ヶ岳もクッキリ見える。そして左手には御岳。さすが眺望がウリの野麦峠スキー場、これだけ空気が澄んでいるとまさに絶景。暑くもなく寒くもなく、最高のハイキング日和でした。

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 夏の間ひっそりしていたセンターハウス周辺も、作業の人たちや車両の行き来で少しずつ活気を取り戻している。ゴンドラリフトの準備ももうすぐ始まるのでしょう。そのあとはいよいよスノーマシンが稼働? いやいやまだ早い。ま、もう少し冷え込まないと、せっかく降らした人工雪がすぐに融けてしまいますからね。

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 暖冬による雪不足とコロナ感染拡大のダブルパンチで苦しんだ全国のスキー場。地球温暖化の影響か、年々雪が少なるなっているような気がします。暮らすぶんにはいいけれど、関係者はきっとやきもきしていることでしょう。今年はなんとか早くたっぷり降りますように。以前のようなホワイトクリスマスを期待しています。

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2021年9月25日 (土)

野菜畑とハーブ園

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 光も、風も、高原はもうすっかり秋。おいしくいただいてきた夏野菜の収穫も終わりに近づいてきました。振り返れば、予期せぬ天候不順や作付け計画の甘さ。反省することの多さに驚きながらも、収穫できる喜びは格別です。そして無知な素人ならではの無謀かもしれないチャレンジ、ユニークな野菜を次にご紹介しましょう。

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 今年植えて収穫は来年、という2年生のアーティチョーク。イタリアではカルチョフィ。日本では朝鮮アザミ。いまの背丈は膝上ぐらい。来年には人間の背丈ぐらいに育ってくれるでしょう。そしてアザミの親玉のような美しい薄紫色の花が咲き、待望の実ができる。ギザギザの大きな葉は、すでに大物の風格があります。

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 トスカーナでよく食べられるカーボロネロ(黒キャベツ)。日本のキャベツと違って結球しない。葉も硬くてしっかりした歯ごたえです。煮崩れしにくいため煮込み料理でよく使う。本来は冬から春先が収穫期。でもその時期は雪に覆われるので、春に植えて夏場に食べることに。これもアブラナ科なので虫に好まれ穴だらけです。

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 ミント、セージ、レモンバーム、マージョラム、タイム、カモミール、ディル、バジル、イタリアンパセリなど、露地植えのハーブ類も重宝します。肉や魚のソテー、シチュー、サラダ・・・と、いろんな料理に使うのはもちろん、ハーブティーやケーキにもなくてはならない素材。大地のエネルギーをたっぷりいただきました。

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2021年9月22日 (水)

たっぷりの収穫に感謝

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 色も形もさまざまなトマトが4種。ミニトマト、スウィートトマト、サンマルツァーノ、トマトベリーをもぎました。どれも小ぶりの品種です。農家の人たちはトマトって完熟の2週間ぐらい前に収穫して出荷するらしいですね。だから採れたてをすぐに食べるとおいしいわけだ。そして、そろそろ終わりに近づいたバジルとヴァイオレットバジル。

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 赤パプリカ、黄パプリカにナス。ナスはとげに気を付けないと痛い目に合う。しかしそれが新鮮さの証。トウモロコシはまだ少し早くて先のほうの実が成長途上。ですが、じゅうぶん甘い。ヒゲ1本に1粒の実。ベビーコーンで食べるときはヒゲも食べる。このザルに一緒に載っているのはイタリアンパセリとタイムとマージョラム。

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 大葉とセージもよく育つ。ただし大葉はビニールハウス内ではきれいだけれど、露地栽培の分は虫食いだらけ。ちょっとした違いで大きな差が出ます。セージはなぜか信州の気候が合うようだ。六甲では元気がなくて、収穫して料理に使うほどは採れない。レモンバームもミントもよく育つのに、ローズマリーはまったくダメ。

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 リーフレタスやサニーレタスなどは涼しい高原ならではのみずみずしさ。フレッシュな採りたてを食べると、レタスってこんなに味があるのだ!と驚く。バジルやセルバティコも味が濃い。野菜そのものが持つおいしさを完熟で収穫して食べる。これこそ家庭菜園の醍醐味。夏の長雨にかかわらず、無事に収穫できたことに感謝です。

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2021年7月27日 (火)

高原の家庭菜園だより

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 信州の高原でイタリア野菜を中心に育てる家庭菜園が楽しい。花園芸家のご厚意で畑の一部を、種類によってはビニールハウスの一角も使わせていただいている。もちろん自分たちが食べるためだけなので、一株とか二株とか少量しか植えていない。

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 昨年に始めて二年目。春先から何を植えるか検討するときがまず楽しい。これは種から、これは苗から、昨年の反省も踏まえてながら、ホームセンターや種苗センターをまわる。店によって置いている品種も違い、さまざまな発見があっておもしろい。

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 セルバティコはルッコラの野生種だと思っている人は多い。苦味があってゴマのような味がするという特徴は似ている。でも同じアブラナ科だけど違う種類。ルッコラは一年草で白い花。セルバティコは多年草で葉のギザギザは深く切れ込み、黄色い花が咲く。

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 カーボロネロ(トスカーナの黒キャベツ)、ケール、フェンネル、イタリアンパセリ、バジル、バイオレットバジル。すでにサラダや炒め物、煮物に役立っている。収穫まで2年かかるカルチョフィ(アーティチョーク)も植えました。さて、どうなることやら。

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 トマトはホールトマト缶に使われている長いカタチのサンマルツァーノやイエローアイコ、イチゴ型のトマトベリー、メチャ甘い極甘(ごくあま)を一本ずつ植えている。どれも接木苗です。トマトは前年に落ちた種から芽吹くのもあります。ただし味は落ちる。

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 よほど生育条件があっているのかセージは驚くほどよく育つ。六甲では難しいのに。ニョッキのセージバターやフリットで楽しんでいる。ラベンダーやミントも元気に育っています。ハーブ類はちょっと取っ付きにくいものもありますが、慣れると病みつきになりますね。

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2021年2月16日 (火)

まだ薪ストーブの季節

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 もう2月半ば。信州奈川高原でも春の気配を感じる日があります。でもまだまだ薪ストーブが大活躍。グッと冷え込む日はそれでも足りず、寒冷地仕様の石油ストーブも燃やす。ただし石油ストーブは火に向いている側だけ熱くなって背中は冷え冷え、なんてことも。その点薪ストーブの火は柔らかくて体の芯から温まる。

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 燃料は基本は敷地内で間伐した直径30~40cmのカラマツやナラ。伐り倒して玉切りにしてもらったものを斧で薪割り。それを2~3年乾燥させて使っています。薪に水分含有量が多いと燃えが悪く温まらない。シューシューと湯気が出ることも。まず薪自身を乾燥させるために熱量を使い、そのぶん暖房にまわる熱が減るからだ。

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 木の種類によって温かさも違う。カラマツなど針葉樹はヤニが多いので高温になりすぎてストーブを痛めると言われる。ナラやクヌギは硬くて火持ちがよく理想的な薪材。ほかにシラカバやミズキも燃やす。燃える音も香りも、木によって違うから楽しい。上の写真がカラマツの薪。下がナラなど広葉樹。色も木目も違うでしょ。

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2020年9月29日 (火)

トットちゃんの電車の教室

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 信州松川村にある安曇野ちひろ美術館を中心とした広い公園。ここに黒柳徹子さんの自伝的エッセー『窓ぎわのトットちゃん』(講談社)の世界を再現した、トットちゃん広場ができていた。1981年に出版された大ベストセラーの表紙と挿絵を担当したのが、いわさきちひろ。その縁で2016年に整備されたそうだ。ちなみに黒柳さんは「ちひろ美術館・東京」と「安曇野ちひろ美術館」の館長です。

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 幼少時代をつづった物語の舞台は、ひとりひとりの子どもの個性を大切にする教育を推進したトモエ学園。空襲で焼けるまで自由が丘にあったという伝説的な学校です。問題児のトットちゃんが転校してきて初めて見た電車の教室。この教室なら毎日休まず通おうと決意した、というエピソードが印象的。その教室を大正15年と昭和2年に製造された車両で忠実に再現しているのです。

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 小さいころ「ショーセン電車」と呼んでいたチョコレート色の電車。意味も分からず使っていたこの「ショーセン」という名が、第二次大戦後に国鉄になる以前の鉄道省に由来する「省線」電車だと知ったのは、ずいぶん後のこと。車体の継ぎ目は溶接ではなく、リベット打ちだったんですね。貴重な文化遺産。これらは長野鉄道が保存していたものを譲り受け、改装して使用しているとのこと。

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 運転席も残され、木の床や天井の照明器具も昔のまま。壁は淡いミントグリーンで明るい雰囲気に。座席は取り外されて小さな机といすが並んでいる。机の上には教科書のほかにソロバン、顕微鏡、試験管など思い思いの教材が。当時としては珍しい自由な教育ぶりがうかがえます。網棚はランドセルや下足袋を置くのに使われていたそうだ。きっと子どもたちの夢が膨らんだことでしょう。

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 敷地内には農業体験や郷土食づくりができる体験交流館もある。横に回り込むと、おじいさんとおばあさんが米俵を背に縁側で日向ぼっこ?と思ったらカカシでした。身に着けている服や長靴はすべて本物。周りには置いてある稲やカボチャ、各種道具類もついさっきまで使っていたような生々しさで、本当に良くできている。農園や雑木林ゾーンもあるのどかな安曇野ちひろ公園でした。

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