漫画家の世界と殺人鬼の世界
漫画家として成功する夢を抱く山城圭吾。いろんな賞に応募しても、いくら出版社に企画を持ち込んでも採用されない。絵の上手さはみんなが認めるのに。長年アシスタントとして仕える師匠からは、「いいヤツだから、悪人が描けないのよ」と言われている。しかし、夢をあきらめる決心をしたその夜、凄惨な殺人現場に遭遇。
彼は目に焼き付いた殺人鬼の姿をもとに悪のキャラクターを生み出す。その作品は大ヒットし、いきなり超売れっ子漫画家となっていく。そのキャラクターを主人公にした作品を描いていく山城。やがて彼の描くストーリーに酷似した殺人事件が発生し始めるのだ。血だらけの現場。異常な犯行。とうぜん警察からは疑いを持たれる。
フィクションの漫画の世界と、リアルな連続殺人事件。この関係に気づいて秘かに探っている刑事は、警察組織のはぐれモノ。そんな中、得体のしれない殺人鬼が、山城の前に再び姿を見せる。どこから現れるのか、どこへ消えるのか。ダークサイドに潜む影のような存在は、両角と名乗り、「事件はオレたちの共作だ」とうそぶく。
ハラハラドキドキ、意外な展開が続く独創的な原案・脚本を書いた長崎尚志。奇妙な恐怖を見事に演出した永井聡監督。創作とモデルとの関係。宗教二世の問題。警察の見込み捜査。さまざまな話題の要素が織り交ぜられて、一級品のサスペンスに仕上がっています。それこそよくできた漫画が原作か、と思ってしまいました。
漫画家・山城圭吾を菅田将暉。SEKAI NO OWARIのボーカルFukaseが殺人鬼・両角を演じて俳優デビュー。この2人の交錯をキーに物語は進行する。そして山城の妻を高畑充希。刑事の2人組を小栗旬と中村獅童。それぞれが大事な役どころで持ち味を発揮して、驚きの物語に深みを与えている。(ネタバレしなくて良かった)
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