2017年11月 6日 (月)

二本の「エルミタージュ」映画

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 いま兵庫県立美術館では大エルミタージュ美術館展が開催されている。そして映画『エルミタージュ美術館 ― 美を守る殿堂 ―』が公開され、ちょっとしたエルミタージュブームの感がある。このドキュメンタリー映画はとてもよくできている。250年の歴史を持つ偉大な美術館がどんな成り立ちでどう発展してきたか、革命や戦争などさまざまな困難をどう乗り越えてきたか。美しいサンクトペテルブルクの四季の街並みとともに簡潔にまとめている。

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 挿入されるエイゼンシュテイン監督「戦艦ポチョムキン」の映像も効果的だし、ミハイル・ピオトロフスキー館長の解説もとても興味深い。ダ・ヴィンチやミケランジェロからマチスやピカソまで、世界第一級のコレクションを守り続けるエルミタージュ美術館。マージ―・キンモンス監督は、あたかも美術館そのものが人格を持って生き続けているように、見事にまとめている。美術館をテーマにしたドキュメンタリーでは、いままで観た中で最高だと思います。ぜひサンクトペテルブルクに行かないと。

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 もう一つの映画『エルミタージュ幻想』は、アレクサンドル・ソクーロフ監督の野心作。なんと90分あまりの全編をワンカットで撮影しているのだ。NHKの技術協力で可能になったそうだ。2002年の作品だが、大エルミタージュ美術館展に合わせてKEN-Vi名画サロンで上映されたものを観ました。Photo_5
 監督の主観映像で、エルミタージュ内部を時空を超えて彷徨い、ピョートル大帝やエカテリーナ女帝に遭遇。またロシア革命が忍び寄る時期のニコライ2世や娘のアナスタシアも登場。圧巻は大舞踏会のオーケストラをヴァレリー・ギルゲエフが指揮していること。Photo_6 これらのシーンが扉を開けるたび、階段をの下るたびに繰り広げられる。気の遠くなるような緻密な準備とリハーサルが重ねられたのでしょう。こんな奇跡を成し遂げた出演者たちにもアタマが下がります。これこそ芸術だ!と叫びたくなる(難解な?)映画でした。

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2017年10月13日 (金)

サラ・バラス? 知りませんでした

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 フラメンコのドキュメンタリー映画、と聞いてもあまり興味はわきませんでした。でもうまく時間が合ったので観てみたら、これがスゴイ! 革新的! 現代最高峰のフラメンコダンサー、サラ・バラスが、パコ・デ・ルシア、アントニオ・ガデス、カルメン・アマジャなど今は亡き6人の巨匠に捧げるオマージュ『ボセス フラメンコ組曲』の、わずか3週間しかない準備と稽古、パリの初演、NYやメキシコや東京そしてスペインのカディスと続く世界ツアーの記録です。

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 超高速ステップ、指先まで神経が行き届いた表現力、信じられない超絶テクニック。今まで見てきたフラメンコとは、まったく違う。小学校の運動会とオリンピックの決勝ぐらいの差。肉体の極限まで挑むコンテンポラリーダンス。厳しい修業をした者が神の領域に近づいた姿。例えがバラバラで支離滅裂だけれど、スゴイ!と感動したことはおわかりいただけるでしょうか。そしてパフォーマーとしてだけではなく、企画、構成、演出をし、公演チームのリーダーとしてプロジェクトを引っ張っていく超人的パワー。

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 まさに天才としか言いようのない彼女が、「努力」という言葉をよく口にする。「努力しない者には我慢できないの。さっさと消えて欲しいわ」。公演の仲間たちにも厳しく要求する。そしてそのなかで誰よりも努力しているのがサラなのだ。努力という名の水をあげ続けた者だけが才能の花を咲かせることができる。これは彼女の信念だ。フラメンコには強くストイックだが、この映画では私生活での弱さや人情味も伝えてくれる。彼女の人間性、神ではなく人間としての魅力。

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 フラメンコは何度か見て、だいたいこんなものか、とわかったつもりでいた。思えばフラメンコに限らず食わず嫌いで心と感覚を閉ざしていたことが多かった。なににでも門戸を広げて、心を真っ白にして、自分自身に素直になって、もっと知り学ぶべきなのだ。世界は思っていたよりおもしろい。人間は思っていたより素晴らしい。きっと。70歳を前にして気付きました。「もっと見る、聞く、感じる。さぁこれから黄金の20年が始まるぞ」、と思うのは欲張り過ぎでしょうか。

パッション・フラメンコ
監督:ラファ・モレス、ペペ・アンドレウ
出演:サラ・バラス、ホセ・セラーノ、ティム・リース

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2017年10月 7日 (土)

セザンヌとゾラの奇妙な友情

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 マティスが「絵の神様」と崇め、ピカソが「我々の父」と敬愛したポール・セザンヌ。没後110年トいうことで映画『セザンヌと過ごした時間』が作られた。まぁ110年はこじつけでしょうけど、おもしろい映画でした。セザンヌがこんなに激しく野卑でプライドの高い偏屈人間だったとは。パリの画壇から身を引き、生まれ故郷のエクス=アン=プロヴァンスで隠遁したような生活を送った画家。きっと物静かで哲学的思考に耽るタイプだと思っていた。大間違いでした。でも作品からみると、このほうが納得です。

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 大成功した小説家のエミール・ゾラと、名声を得たのは死後だった近代絵画の父セザンヌ。二人は小学校のころから共に遊び激しくケンカをし、芸術家として励まし合い傷つけ合いながら数十年友情を育んだ親友だった。お互いの家族のこと、家庭のこと、喜びも悲しみも・・・他の誰にも理解できない天才同士の奇妙な距離感と親和力で結びついていたのだと思う。そして結果として、二人とも偉大なことを成し遂げた。

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 印象派が生まれたころからの美術史をなぞりながら、観るのも楽しい。モネ、ピサロ、ルノアール、モリゾ、絵具屋のタンギー爺さんや画商のヴォラールまで出てくる。監督・脚本のダニエル・トンプソンが15年間の膨大なリサーチで歴史的事実を発掘し、長年の夢を映画化したこの作品。オリジナルタイトルは日本語にすると『Sezanne et Moi (セザンヌと私) 』。なので、主にゾラの視線からセザンヌを描いている。わたしたち観客はまるでゾラの横で眺めているようなリアルさで創造の苦悩を一緒に体感することになる。時空を超えた感覚。演出の力ですね。

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 プロヴァンスで撮影された映像がまたすばらしい。まぶしい陽光、赤土の崖、松やオリーブの木々、そしてサント・ヴィクトワール山。セザンヌの名画そのままの世界がスクリーンに再現されている。初めてパリへ出た時のモノクロの雨のシーンも効果的だった。撮影のジャン=マリー・ドルージョもすごい力量だ。もちろんセザンヌ役のギョーム・ガリエンヌ、ゾラ役のギョーム・カネをはじめ、フランスの実力派俳優たちの熱演があってこその映画の成功。これを観たらセザンヌの聖地をめぐりたくなってきました。

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2017年9月19日 (火)

感動!ロイヤルオペラの「オテロ」

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 英国ロイヤルオペラハウスの2016-2017シーズン最後を飾る、6月28日に演じられた全4幕物のオペラ『オテロ』の中継映画。文句なしにすばらしかったです。ウイリアム・シェイクスピアの原作を、ジュゼッペ・ヴェルディがオペラ化。文学の巨匠と音楽の巨匠、時代は違うけれどこの二人が創り上げた作品がおもしろくないはずはない。息をするのも忘れるほどの緊張感で最後までぐいぐい引っ張られました。終わってやっとフウッと息を継ぐ。

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 小さな疑念が嫉妬となり、コントロールできない大きな怒りに膨れ上がる。そしてその怒りは自分自身をむしばみ壊し、まわりの人々を傷つけ、すべてを滅ぼしてしまう。この心理劇を見事な歌唱力と演技力で表現したオテロ役のヨナス・カウフマンが見事です。愛の深さと信じてもらえない哀しみを体現したデスデモナ役マリア・アグレスタ。まるで悪魔の申し子のような邪悪なイアーゴを怪演したマルコ・ヴラトーニャ。ヴェルディが当初このオペラのタイトルを「イアーゴ」にしようと思っていたほどの、影の主役です。感動的な歴史に残る名舞台でした。

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 シェイクスピアの作品はイタリアを舞台にしたものが多い。「ヴェニスの商人」や「ロミオとジュリエット」、そしてこの「オセロ Othello」。『オテロ Otello』の舞台はヴェネツィア共和国領だったころのキプロス。でも彼は生涯にイタリアを旅したことはなかったとも言われている。行ったか行かなかったかはどちらでもいいけれど、イタリア関連の文献をよく研究していたのは間違いないだろう。

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 音楽監督・指揮者のアントニオ・パッパーノと演出のキース・ウォーナーも大きな貢献をしている。そして幕間のインタビューでも触れられていたが、合唱団の力量も抜きんでていた。美術もコスチュームも含めて、オペラというのは本当に多くの才能が結集してはじめていい作品に結実するのだ、と実感しました。
 ロイヤルオペラハウスの中継映画シリーズ。また次の2017-2018シーズンに期待です。さらにはロンドン コヴェントガーデンまで観に行ける日を楽しみに。

英国ロイヤルオペラハウス シネマシーズン

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2017年8月20日 (日)

アイルランドの美しいアニメです

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 世界で最も美しい本と言われるのが、アイルランドの国宝 『ケルズの書』。この実在の装飾写本をめぐる少年修道士ブレンダンの冒険を描いたファンタジーが、トム・ムーア監督のデビュー作「ブレンダンとケルズの秘密」です。Photo ちなみに昨年公開され話題作「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」は、この後に作られたムーア監督の第2作目。
 舞台はバイキングの襲来におびえる9世紀のアイルランド。ケルト文化特有の渦巻きの文様、森の動物や植物、妖精や伝説の怪物があらわれる物語世界。なにより絵の魅力と演出のテクニックが斬新な、見たこともないアニメーション映画です。そしてこの映画は、ある国・地域の固有の文化を掘り下げた優れた表現は、人類共通の宝物であり世界に通じる普遍性を獲得するということの、すばらしい証明でもあります。

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 絵はディズニーやジブリのように洗練されていない。人物も紙を切り抜いたようなペラペラな表現で、顔と体の向きもヘンだ。森の木々も型紙をペタペタと置いていったような類型化の繰り返し。でもこれは下手なのではない。あえて平面的に、装飾的に、文様的にしているのだ。きっと絵画技法を歴史的に研究した賜物の表現で、東方教会のモザイク画やイコンを彷彿とさせる。すごく美しい。説得力がある。新鮮な感動を与えてくれる。これ、決してほめすぎではありません。

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 9世紀の出来事を、まだ透視図法が発明される前の中世絵画を意識した画法で描く。とても論理的に考えられている。輪郭線を強調しているのも効果的だ。そして光と影の表現もうまいし。そしてスピード感がある21世紀ならではの演出で、最後まで一気に引っ張っていく。新たな才能との出会いでした。
 アイルランド・・・緑色がナショナルカラーで、クローバーがシンボルで、セント・パトリックが守護聖人の国。素晴らしい音楽と相まって、これ以上のアイルランド賛歌は作れないでしょう。そしてまだまだ発展するアニメの表現、その可能性は限りないと思いました。

Secret of Kells
ブレンダンとケルズの秘密


 

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2017年8月14日 (月)

文化財を戦火から守れ

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 第二次世界大戦で京都や奈良が空襲に会わず、神社仏閣や古い街並みが残ったのは、米軍が文化財を保存するため爆撃対象から外したから。という話は小さいころから聞かせれていた。その話の根拠と思われる、日本において空爆すべきでない151ヵ所を挙げた「ウォーナー・リスト」を核に、文化財保護のために奔走した人々を追ったドキュメンタリー映画『ウォーナーの謎のリスト』を観ました。監督は金髙謙二さん。新藤兼人のお弟子さんだそうです。

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 このリストを作ったラングドン・ウォーナーと協力した朝河寛一。世界に誇れる古書店街・神田神保町を空襲から守ったと言われるセルゲイ・エリセーエフ。全米の公文書館、図書館、美術館に残る資料をもとに30名に上る証言者が隠された史実を語る。
 毎年この時期になると、終戦秘話や原爆投下をテーマにした映画やテレビ番組がたくさん作られる。戦争の罪、生命の尊さ、あるいはヒロイズム。この映画はそれら軍人・政治家を主役とした作品とはちょっと違った視点で、文化財=人類共通の宝を戦火から守る学者たちの活動を追う。

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 彼らの尽力がどこまで有効だったかは不明だ。だが、そんな意識を持てる人を生み出す教育、そんな発言が許される社会が、当時のアメリカにはすでにあったということ。敵国の文化を守れ!なんて当時の日本では考えられないでしょう。こんなところにも国の底力の差は現れていたのだ。
 戦後70年以上をかけて築き上げてきた、自由、人権、文化を大切にする今の社会。でも近ごろ少し様子が変わってきたのが気掛かりです。自由に発言でき、反対意見も認め、みんなで議論しながら物事を決める成熟した社会システムを、これからも守り続けていってほしいと願います。

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2017年7月12日 (水)

TAPは極上のエンターテインメント

Tap
 水谷豊はクリント・イーストウッドになれるかも。『TAP』を観終わった後、最初に頭に浮かんだことです。俳優として名を成した水谷豊さんの初監督作品、素晴らしいエンターテインメント作品に仕上がっている。LA LA LANDでタップダンスの魅力をあらためて思い出したいま、タップの魅力にフォーカスしたこの作品は最高にはまりました。企画力、演出力、映画への愛・・・すべての才能を兼ね備えた映画作家・水谷豊の誕生。これからの活動に大いに期待しましょう。初演出からすでに巨匠の風格と円熟の技術。もう彼から目が離せません。

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 1974年、サントリーホワイトのCMでサミー・デイヴィスJr.が見せてくれたカッコいいタップ。1985年の映画「ホワイトナイツ」で、ミハイル・バリシニコフをむこうにまわしてグレゴリー・ハインズが踊った、火の出るようなタップ。ダンスという肉体表現は、言葉の壁、文化の壁をあっという間に超えることができる。なかでも、足音で奏でるリズムと音色が特徴のタップは、人間の根源的な部分を揺さぶるパワーがある。鼓動。世界のどこにでも太古の時代から続く打楽器があるのと同じ。和太鼓や花火の音が身体に響くように。

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 厳しいオーディションや華やかなショウ。あくまでタップのシーンがメインだが、登場人物それぞれが抱える人生も丁寧に描かれていて、ドラマに奥行きを与えている。さまざまな問題を抱えつつ感動のラストショウへ。この盛り上げ方も見事です。こんなに完成度の高いエンターテインメント映画が日本で誕生するなんて! この映画を支える日本のショービジネス界の成熟が感じられて、感無量です。
 

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2017年7月 5日 (水)

少年の心に潜むモンスター

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 英国のファンタジー映画『怪物はささやく』、オリジナルタイトルは A Monster Calls です。原作は、シヴォーン・ダウドの原案をパトリック・ネスが完成させた児童文学の世界的ベストセラー。少年の苦悩と心の葛藤をあぶりだし、それを直視し乗り越える勇気が人を成長させ、大人への道を歩ませる。こう言葉で書くと無味乾燥のお説教に聞こえるが、監督の演出力と俳優たちの演技力でリアリティある映画に仕上がっている。

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 人は誰でも過酷な状況に置かれるとつらい現実に目を背け、空想の世界へ逃げ込む傾向がある。それは自分が壊れるのを防ぐ知恵でもある。自己防衛本能。しかしそれでは真の解決には結びつかない。いかにつらくても現実を認め、現実にしっかり向き合うこと。そこにしか解決法はない。それがまた、少年から大人になる、ということなのだ。ただ13歳のこの少年には過酷過ぎる気もしますが・・・。

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 光の弱い英国の田園地帯の映像が美しい。また水彩画や鉛筆デッサンを使った物語のビジュアルが素晴らしい。原作のイラストレーターであるジム・ケイの絵を使っているそうだ。CGを活用したモンスターも、怖さだけではなく優しさもよく表現されている。このような実写、イラスト、CGのそれぞれの良さをうまく融合した作品って、あまりなかったのではないでしょうか。児童文学が原作のダークファンタジーだけれど、じゅうぶん大人の鑑賞に耐える映画でした。

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2017年6月14日 (水)

ブリューゲルの作品に入り込む

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 「わけのわからん映画やったな」、「それより足元が窮屈やったわ」・・・。兵庫県立美術館ミュージアムホールで上映された『ブリューゲルの動く絵』(The Mill and The Cross)を観終わった後、帰る人々の感想です。美術館の名画サロンなので、美術ファンが集まっていたと思われるのですが。たしかに難解ではありましたが、物語に引き込まれて私なりに十分楽しめました。
 ピーテル・ブリューゲルの代表作のひとつ『十字架を担うキリスト』(ゴルゴダの丘への行進)の作品世界に入り込み、絵に秘められた意味を解き明かしていく、という意欲的、実験的な映画だ。ブリューゲルが生きた16世紀フランドルの人々の日常生活をうつす実写映像と、100人以上の登場人物を配置しさまざまな物語を重層させる絵画世界。この両方をうまく融合させる表現手法が、名画解釈に今までになかった深みをもたらしている。

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 当時はハプスブルグ家がオーストリアやドイツをはじめフランドルやスペイン、その植民地の中米や南米を支配していた時代。フランドルにも赤い制服を着たスペインの傭兵が駐屯し、プロテスタント(異端者)を弾圧していた。
 キリストの受難をそんなフランドルに置き換えた『十字架を担うキリスト』。聖母マリアもお決まりの赤と青のコスチュームをまとっていない。しかも十字架を背負ったキリストも、構図の中心点には描かれているが、よくよく見ないとわからないほどの小ささ。むしろ子供たちの遊びや物売りが並べている商品、牧童の生活などのディテールに情熱を傾けたのような絵なのだ。
 本来なら宗教画、歴史画にならなくてはいけないテーマを借りながら、庶民の生活を生き生きと記録した風俗画。この絵を素晴らしい映像美で解剖したのが映画『ブリューゲルの動く絵』。映画の基になった左右170cmの名画は、ウイーンの美術史美術館でご覧ください。

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2017年6月 5日 (月)

シネマ歌舞伎で、弥次喜多道中

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 市川染五郎の弥次郎兵衛と市川猿之助の喜多八。昨年の歌舞伎座公演、「八月納涼歌舞伎」の舞台を撮影して映画化したシネマ歌舞伎です。ドタバタ喜劇のハチャメチャ舞台を、役者がみんな楽しんで演じている。時事ネタあり、内輪ネタあり・・・あの手この手で笑わせるサービス精神に観客は大喜びです。

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 江戸からお伊勢参りに行く道中、盗賊や高利貸しや幽霊などいろんな登場人物がからんで爆笑の連続です。伊勢に向かう道中、と書きましたが、なぜかラスベガスのカジノへ行ってアラブの石油王と友達になったり、クジラに乗って浜に打ち寄せられたり。これでもか!と水をかぶる立ち回り。どこまで飛んでいくのか!とあきれさせる宙吊り。

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 染五郎も、猿之助も、中村獅童も、伝統の歌舞伎でここまで羽目を外しても許されるの?と心配するほどのハジケぶり。でも、それこそが歌舞伎の真髄。笑わす、泣かす、うっとりさせる。徹底してその時代その時代のお客さんを喜ばせるサービス精神こそ、歌舞伎がエンターテインメントとして数百年も生き残ってきた理由でしょう。そして舞台の魅力に映画的演出もプラスしたおもしろさ、見る価値がありました。

シネマ歌舞伎<第27弾>
東海道中膝栗毛

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