2017年7月12日 (水)

TAPは極上のエンターテインメント

Tap
 水谷豊はクリント・イーストウッドになれるかも。『TAP』を観終わった後、最初に頭に浮かんだことです。俳優として名を成した水谷豊さんの初監督作品、素晴らしいエンターテインメント作品に仕上がっている。LA LA LANDでタップダンスの魅力をあらためて思い出したいま、タップの魅力にフォーカスしたこの作品は最高にはまりました。企画力、演出力、映画への愛・・・すべての才能を兼ね備えた映画作家・水谷豊の誕生。これからの活動に大いに期待しましょう。初演出からすでに巨匠の風格と円熟の技術。もう彼から目が離せません。

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 1974年、サントリーホワイトのCMでサミー・デイヴィスJr.が見せてくれたカッコいいタップ。1985年の映画「ホワイトナイツ」で、ミハイル・バリシニコフをむこうにまわしてグレゴリー・ハインズが踊った、火の出るようなタップ。ダンスという肉体表現は、言葉の壁、文化の壁をあっという間に超えることができる。なかでも、足音で奏でるリズムと音色が特徴のタップは、人間の根源的な部分を揺さぶるパワーがある。鼓動。世界のどこにでも太古の時代から続く打楽器があるのと同じ。和太鼓や花火の音が身体に響くように。

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 厳しいオーディションや華やかなショウ。あくまでタップのシーンがメインだが、登場人物それぞれが抱える人生も丁寧に描かれていて、ドラマに奥行きを与えている。さまざまな問題を抱えつつ感動のラストショウへ。この盛り上げ方も見事です。こんなに完成度の高いエンターテインメント映画が日本で誕生するなんて! この映画を支える日本のショービジネス界の成熟が感じられて、感無量です。
 

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2017年7月 5日 (水)

少年の心に潜むモンスター

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 英国のファンタジー映画『怪物はささやく』、オリジナルタイトルは A Monster Calls です。原作は、シヴォーン・ダウドの原案をパトリック・ネスが完成させた児童文学の世界的ベストセラー。少年の苦悩と心の葛藤をあぶりだし、それを直視し乗り越える勇気が人を成長させ、大人への道を歩ませる。こう言葉で書くと無味乾燥のお説教に聞こえるが、監督の演出力と俳優たちの演技力でリアリティある映画に仕上がっている。

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 人は誰でも過酷な状況に置かれるとつらい現実に目を背け、空想の世界へ逃げ込む傾向がある。それは自分が壊れるのを防ぐ知恵でもある。自己防衛本能。しかしそれでは真の解決には結びつかない。いかにつらくても現実を認め、現実にしっかり向き合うこと。そこにしか解決法はない。それがまた、少年から大人になる、ということなのだ。ただ13歳のこの少年には過酷過ぎる気もしますが・・・。

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 光の弱い英国の田園地帯の映像が美しい。また水彩画や鉛筆デッサンを使った物語のビジュアルが素晴らしい。原作のイラストレーターであるジム・ケイの絵を使っているそうだ。CGを活用したモンスターも、怖さだけではなく優しさもよく表現されている。このような実写、イラスト、CGのそれぞれの良さをうまく融合した作品って、あまりなかったのではないでしょうか。児童文学が原作のダークファンタジーだけれど、じゅうぶん大人の鑑賞に耐える映画でした。

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2017年6月14日 (水)

ブリューゲルの作品に入り込む

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 「わけのわからん映画やったな」、「それより足元が窮屈やったわ」・・・。兵庫県立美術館ミュージアムホールで上映された『ブリューゲルの動く絵』(The Mill and The Cross)を観終わった後、帰る人々の感想です。美術館の名画サロンなので、美術ファンが集まっていたと思われるのですが。たしかに難解ではありましたが、物語に引き込まれて私なりに十分楽しめました。
 ピーテル・ブリューゲルの代表作のひとつ『十字架を担うキリスト』(ゴルゴダの丘への行進)の作品世界に入り込み、絵に秘められた意味を解き明かしていく、という意欲的、実験的な映画だ。ブリューゲルが生きた16世紀フランドルの人々の日常生活をうつす実写映像と、100人以上の登場人物を配置しさまざまな物語を重層させる絵画世界。この両方をうまく融合させる表現手法が、名画解釈に今までになかった深みをもたらしている。

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 当時はハプスブルグ家がオーストリアやドイツをはじめフランドルやスペイン、その植民地の中米や南米を支配していた時代。フランドルにも赤い制服を着たスペインの傭兵が駐屯し、プロテスタント(異端者)を弾圧していた。
 キリストの受難をそんなフランドルに置き換えた『十字架を担うキリスト』。聖母マリアもお決まりの赤と青のコスチュームをまとっていない。しかも十字架を背負ったキリストも、構図の中心点には描かれているが、よくよく見ないとわからないほどの小ささ。むしろ子供たちの遊びや物売りが並べている商品、牧童の生活などのディテールに情熱を傾けたのような絵なのだ。
 本来なら宗教画、歴史画にならなくてはいけないテーマを借りながら、庶民の生活を生き生きと記録した風俗画。この絵を素晴らしい映像美で解剖したのが映画『ブリューゲルの動く絵』。映画の基になった左右170cmの名画は、ウイーンの美術史美術館でご覧ください。

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2017年6月 5日 (月)

シネマ歌舞伎で、弥次喜多道中

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 市川染五郎の弥次郎兵衛と市川猿之助の喜多八。昨年の歌舞伎座公演、「八月納涼歌舞伎」の舞台を撮影して映画化したシネマ歌舞伎です。ドタバタ喜劇のハチャメチャ舞台を、役者がみんな楽しんで演じている。時事ネタあり、内輪ネタあり・・・あの手この手で笑わせるサービス精神に観客は大喜びです。

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 江戸からお伊勢参りに行く道中、盗賊や高利貸しや幽霊などいろんな登場人物がからんで爆笑の連続です。伊勢に向かう道中、と書きましたが、なぜかラスベガスのカジノへ行ってアラブの石油王と友達になったり、クジラに乗って浜に打ち寄せられたり。これでもか!と水をかぶる立ち回り。どこまで飛んでいくのか!とあきれさせる宙吊り。

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 染五郎も、猿之助も、中村獅童も、伝統の歌舞伎でここまで羽目を外しても許されるの?と心配するほどのハジケぶり。でも、それこそが歌舞伎の真髄。笑わす、泣かす、うっとりさせる。徹底してその時代その時代のお客さんを喜ばせるサービス精神こそ、歌舞伎がエンターテインメントとして数百年も生き残ってきた理由でしょう。そして舞台の魅力に映画的演出もプラスしたおもしろさ、見る価値がありました。

シネマ歌舞伎<第27弾>
東海道中膝栗毛

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2017年5月12日 (金)

夢と現実、ラ・ラ・ランドが描く真理

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 もうほとんどの方が見られたでしょうが、「ラ・ラ・ランド」の素晴らしさは何だと思われますか? 歌、ダンス、演技。ストーリー、映像、演出。技術的なことを言えば、すべてスゴイ! オシャレだ! でもこの映画が歴史に残る名作になる(勝手に決めてます!)いちばんの理由は、『夢追い人は馬鹿だけれど素晴らしい』というテーマが持つ普遍性じゃないでしょうか。パンフレットにデイミアン・チャゼル監督のインタビューが載っています。少しネタバレになるかもしれませんが、その一部を引用させてください。

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 皮肉にも、セバスチャンとミアが夢を実現させるためには、ふたりは別れなければならない。僕がとても感動したのは、人は人生において、自分を変えてくれて、なりたい人物になれる道筋を作ってくれる人と出会えるけれど、最終的にはその道をひとりで歩まなければならないということだ。人は、残りの人生を決定づける人と結びつくことはできるが、その結びつきは残りの人生までは続かない。そのことは、ものすごく美しくて、切なくて、驚くべきことだと僕は気づいたんだ。ーーーチャゼル監督が言う人生の真理。夢を実現する、成功するのは素晴らしい。でも、そこにはほろ苦さも伴うんだよ、と。

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 大きな夢を持つ若い二人が出会い、お互いの夢を応援し、そして夢の実現のために別れる。こう書くとシニカルな人生観を表現した映画のように思えるが、決してそうではない。3月12日の記事『善きアメリカ、LA LA LAND』で書いたように、観終わった後とても爽やかで幸せな気分に包まれました。夢と現実、人生と芸術。実際にはそれらは一本道のような単純なものではないことをみんなわかっている。夢だけでは生きていけないことを。だからこそ、♪Here's to the one who dreams Foolish as they may seem♪(夢追い人に乾杯を たとえ愚かに見えても)と、ミアがオーディションで絶唱する姿に感動の涙を流すのでしょう。

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2017年4月24日 (月)

ルーヴル美術館、220年の記憶

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 「ルーヴルのないフランスは必要なのか?」と、刺激的な言葉を呟くロシア人の巨匠アレクサンドル・ソクーロフによる映画『フランコフォニア』。ルーヴルが持つ世界一とも言える美の価値は、つねに戦争とともに歩んできた歴史の集積だ。正直言って難解な映画です。哲学的で監督の自己満足という人もいるでしょう。始まったら即おねむになる方は、それもよし。

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 この映画は第二次世界大戦中のナチス・ドイツによるパリ占領時、ジョジャール美術館長とドイツ軍の司令官メッテルニヒの関係を中心にしている。あくまで中心、というだけで、自在に時空を超えてストーリーは展開する(あっちゃこっちゃ彷徨う?)。そして時代をさかのぼりまた時代を下り、ヨーロッパの一大叙事詩をルーヴルからの視点で描く。

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 ドイツ軍の爆撃機も出るし、重要な役回りで亡霊もあらわれる。ナポレオン1世は、「これも自分が集めてきたものだ!」と栄光を語るし、フランス共和国の象徴であるマリアンヌは「自由、平等、博愛」と呪文のように唱え続ける。マリアンヌはドラクロアの名画『民衆を導く自由の女神』やNYの像で、わたしたちにも有名だ。フランスでは貨幣や切手などに描かれ、三色旗(トリコロール)に並ぶ象徴です。

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 映画のタイトル、フランコフォニアとはフランス語圏という意味らしい。このタイトルも良く分からないし、出だしから何度も挿入される嵐で荒れ狂う海を航行する美術品を積んだ貨物船も良く分からない。この船の船長はソクーロフ監督とスカイプでとぎれとぎれ交信している。もちろん現代。芸術は荒海の積み荷のように歴史に翻弄されるということ? 戦争や権力の前では無力だという比喩? きっと芸術を守るためには、絶えざる努力が必要なのでしょうね。

フランコフォニア
ルーヴルの記憶

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2017年4月18日 (火)

Google Earthで見つけた故郷!

Lion
 「LION/ライオン~25年目のただいま~」 この感動的な映画は実話に基づいている。インドで迷子になった貧しい少年が、オーストラリア人の夫婦の養子になって無事成長する。そしてかすかな記憶をもとにグーグルアースを使って自分の故郷を探し出し、25年目に帰郷して生みの母に対面する。こう書くと、ストーリーは単純だ。しかしグーグルというツールがなかった時代なら、まったく不可能なことだった。

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 このお話がいいのは、迷子になる5歳までインドのスラム街で育つこの少年は、とても幸せだったこと。優しい母と兄の愛に包まれて、貧しいけれど楽しく満ち足りていた。そして養子に行ったオーストラリアの育ての父母が、これまた愛情深くとてもいい人だったこと。
 インドには行方不明の子供が8万人もいるそうだ。そこには幼児虐待、人身売買、児童労働など、様々な社会問題が存在する。そんななか幸運にも新しい道に進めた彼は、素直でいい人に育つ。

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 ここに登場する人たちは、みんないい人ばかりだ。それぞれがお互いを傷つけたくない、悲しませたくないと考え、悩み、行動する。生みの親と育ての親。どちらがどうと比較できないほど、どちらの愛も深い。ただ、それらは同じ愛ではない。そして彼は現代ならではのツールを使って故郷に帰る。そのグーグルアースが使えるようになるのは、迷子になってから25年目のことだった。
 ちなみに主演のデヴ・パテルは「スラム・ドッグ$ミリオネア」の少年。タイトルの『LION』の意味は映画の最後に明かされますので。

 

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2017年3月27日 (月)

ヨーヨー・マと仲間たち

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 現代最高のチェロ奏者のひとり、ヨーヨー・マ(馬 友友)は1955年パリ生まれニューヨーク育ちの中国系アメリカ人です。このドキュメンタリーは、ヨーヨー・マを中心に結成された革新的な国際的音楽家集団シルクロード・アンサンブルの活動を記録したもの。「ヨーヨー・マと旅するシルクロード」。原題は「The Music of Strangers」。

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 チェロやヴァイオリンやクラリネットやバンジョーなどの楽器に加え、アラビアのウード、中国琵琶(ピパ)、ペルシャのケマンチェ、スペインのバグパイプ、日本の尺八など西洋音楽とは違う異文化の伝統楽器を演奏する才能あふれる音楽家たちが参加している。彼らのルーツもイラン、中国、シリア、アゼルバイジャン、スペインのガリシア地方など多彩。戦争、弾圧、自由の欠如。故郷では演奏活動が困難な人たちもいる。そんなメンバーがそれぞれのアイデンティティを見つめ、普遍的な音楽の喜びを創り上げていく。

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 古代から東西文明が交差し、ヒトが、モノが、文化が行きかったシルクロード。いまヨーヨー・マとシルクロード・アンサンブルが目指しているのは、国境を超越し、政治体制や宗教を凌駕する、新しい普遍的な音楽文化の創造と進化。そしてこの文化力こそが平和で豊かな未来を開くと信じているからだ。歓びのハーモニーを求めて旅する『異邦人たち』。文化の多様性とお互いの歴史的政治的背景を認め合って、究極の音世界を共に生み出していく。まだ将来に希望を抱いてもいいのだ、と思わせてくれる。

 

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2017年3月12日 (日)

善きアメリカ、 LA LA LAND

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 夢を追う、希望を信じる。それに向かって邁進する姿は美しい。アメリカン・ドリームを象徴する都市、LA。サクセス・ストーリーを体現する場所、ハリウッド。ここを舞台に展開するミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」は、時代遅れの若きジャズ・ピアニストと売れない若き女優の物語です。苦しみ悩みながらもチャンスをつかもうと必死にがんばる。と書くと、よくある青春ドラマのようだけれど、全然ありきたりではなく本当に素晴らしい。

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 希望のないトランプ支持層が多く住む中西部とはまったく別のアメリカが、まだ生きていると感じられるのもうれしい。ついこの間まで世界中の人があこがれた国(でも今や幻影になったのか)を、半分かもしれないけれど信じてもいいのだいう思い。ハリウッドの関係者が絶賛するのは当然だ。

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 クラシカルな映像のトーン、うっとりする美しい音楽、過去の名場面を思わす演出のディテール。どれをとっても懐かしいけど新しい。それがすごい! セリフと歌、演技とダンスが、境い目なく違和感なくごく自然につながっていく主人公たちの演技力もすごい! ミュージカルの革命と言ってもいいかもしれない。あまりにも自然だから気付かないけれど。50年以上前に観た「ウエスト・サイド・ストーリー」以来の感動だ。

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 1980年代のアメ車のコンバーチブルとトヨタ・プリウスに乗る彼らの物語。夢のようにロマンチックなよそおいながら、リアルでシリアスなお話です。砂糖をまぶしたビターチョコレート。甘くて苦い大人の味です。驚きのラストに思わず涙が出ました。それはとても爽やかな幸せな涙でした。たぶんあと2~3回は観に行くでしょう。何度でもこのラ・ラ・ランドの空気に浸りたいから。

 

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2017年2月25日 (土)

サバイバルファミリーを観て震災を思う

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 矢口史靖監督の新作は「サバイバルファミリー」。ある日突然この世界から電気というものがなくなってしまう。照明は消える。スマホもPCも使えない。エレベーターやエスカレーターも止まる。冷蔵庫もテレビも、目覚まし時計も懐中電灯も。それに、電車やクルマや飛行機も、電気がなくてはまったく動かないのだ。当然ながら会社も学校も休み。都会にいても餓死するだけだから、井戸水や食料がある可能性にかけて、みんな田舎を目指す。まさに日本民族大移動だ。

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 口ばっかりで何もできないダメおやじに引き連れられた家族は、自転車でおじいちゃんのいる鹿児島を目指すことにする。何日かかることやら。しかも道中の水や食料は? 笑っちゃいけないけど笑えるエピソードがてんこ盛り。いろんな出来事や人との出会いを経ながら、西へ西へと向かうファミリー。川崎、静岡、大阪、神戸、岡山・・・どこまで行っても電気はない、とほほ。
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 キャスティングも素晴らしい。偉そうにしているがイザというとき頼りにならないおやじ(世の中のおやじは、ほとんどそうです!)。 ちょっと天然の、でもときどきオッというアイデアを出すお母さん。現状に不満ばっかり、スマホ命のイマドキの息子と娘。こんなファミリーが電気より大切なものに目覚めていく姿は感動です。
 震災を経験した者には矢口監督の言いたいことが非常によくわかる。しっかり笑って、しっかり考える。できるだけ多くの人に観ていただきたいエンターテインメント作品です。

サバイバルファミリー
原案・脚本・監督 矢口史靖

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