2019年1月10日 (木)

冬枯れも、また楽し

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 冬の六甲山。秋の紅葉が終わると、落葉した林は見通しが良くなり一年でいちばん明るい季節になります。山麓の日当たりのいい場所には、ススキやセイタカアワダチソウの綿毛が美しい。色といい形といい、ぜんぜん主張しないのにしっかり確立された美がある。枯れ草色の美しさに改めて気づく季節。

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 枯れ草色とともに目立つのが、照葉樹林を構成するつややかな緑。その生命力あふれる緑に映えるのが真っ赤なヤブツバキです。六甲にもたくさんの群落がある。そして少し日陰になった場所にはアオキの赤い実が、やはり緑との対比で目に飛び込んでくる。枝に実だけ残った柿やマユミも見ごたえがある。

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 緑の時期には葉が茂り下草も密集しているため見えなかったもの、気づかなかったものが見えてくるのも冬の山歩きの楽しみだ。伐採した木と切り株に薄茶色の半透明ビニールシートを被せたかたまりに、何か張り紙がある。「マツクイムシの燻蒸駆除」。 へぇ、こんなこともしているんだ。森林の維持管理は大変なのだ。放っておくと荒れる一方だから。

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 修法ヶ原の奥を歩いていると、「少花粉スギ」の植栽を見かけた。まだ高さ2mぐらいですが、兵庫県森林ボランティア団体協議会が平成26年に植えた苗木だそうだ。花粉の量が通常のスギの1%以下だという少花粉スギ。花粉症対策に役立てばいいですね。何もないように思われる冬枯れの山のハイキングも、このようにおもしろい発見や新しい出会いがいっぱいです。

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2019年1月 1日 (火)

亥年、そして平成最後のお正月

            慶応明治大正昭和平成
            時は流れる 時代は移る
            人は生きる 時間は長い
            人は忘れる 時間は速い
            平成三十一年己亥正月
            五輪万博 いつか見た夢
            季節は巡る 時は積もる

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 平成最後のお正月、と聞くと何かと感慨深いものがあります。とくにこの年齢ともなると、時間のことをよく考えるようになる。いままで過ごしてきた時間。これから残された時間。長いようで短い。遅いようで速い。つかみどころがなく、でも厳然と存在する時間。人間は生まれ、愛し、死んでいく。それは何万年も変わらない宿命。あなたも私も、人間は神さまが作った時間ゲームの駒と割り切れば気楽なんでしょうが、それも難しい。

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 今年は亥年。写真はフィレンツェの「新市場のロッジア」にある青銅製のイノシシ。幸運を呼ぶ彫刻と呼ばれている。毎日たくさんの観光客に触られた鼻のあたりは金ピカです。舌の上にコインを置いて滑らせ、うまく下の穴に落ちると願いが叶うという。何百年もの間、人間の願いや欲望を見てきた彼は、「時間」なんて結論の出ない問題に悩むより、日々を懸命に生きろと思っているのだろうか。アモーレ!マンジャーレ!カンターレ! いい1年になりますように。

 

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2018年12月29日 (土)

歳末は、明石の魚の棚へ

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 小さい頃は「ウオンタナ」と意味も分からず音で覚えていたから、「魚の棚」と漢字で認識した時の驚きといったら。昔の話ですが。ここ明石の鮮魚店や調理・加工した魚介類を売る店が集まる商店街「魚の棚」は、たしかにアーケードに英文字で UONTANA と表記されている。

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 明石海峡や播磨灘でとられて明石港に水揚げされた「前もん」。早朝に出漁し前の海でとってきた魚を昼過ぎにはもう店先に並べる「ひる網」。なんといっても鮮度の良さはとびきりです。明石と言えばタイやタコが超有名ですが、サワラやアナゴやハモやタチウオもブランドです。

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 何軒もの鮮魚店以外に、サワラやタイの味噌漬けや焼魚の専門店が軒を連ねる。その間にさまざまな練り物やアナゴやエビの揚げたて天ぷらを売る店。湯気の立っているタコやイイダコの柔らか煮をすすめる店。魚屋さんののテーマパークのようだ。にぎやかな売り声に心がウキウキしてくる。

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 活きの良さを売り物にする「魚の棚」。いつも地元の人や観光客でにぎわっていますが、中でもいちばん活気を呈するのが歳末。お正月に欠かせない祝鯛の姿焼きや、出世魚のブリ、数の子などを買い求め、玉子焼(大阪ではタコ焼き)を味わって帰るのがこの時期の定番です。
 
 

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2018年11月24日 (土)

日本でもブラックマンデー始まる

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 米国では11月の第4木曜日が感謝祭(Thanksgiving Day)で祝日。その翌日の金曜日に実施されるセールイベントが、ブラックフライデーです。アメリカの小売業界では1年で最も売り上げを見込める日とされている。セールが始まる午前0時にアップルストアやトイザラスへ列をなして駆けつける人々を、TVニュースで見ていました。それが今年は日本でも急に目立つようになったと思いませんか。

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 アメリカではブラックフライデーの売り上げをエコノミストたちが一喜一憂しながら見守っている。それはこの日からスタートするクリスマス年末商戦の行方を、ひいてはアメリカ経済の今後を占う大きな意味合いがあるから。ちなみに週明けの月曜日はサイバーマンデーと呼ばれる。インターネットを利用してECサイトでプレゼントなどを購入する人が近年は多くなったから、こちらもかなり盛り上がっている。

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 さて日本でもブラックフライデーは定着するのでしょうか。海外からのセールイベントとしてはクリスマスも、バレンタインも、ハロウイーンも、歴史の差こそあれそれなりのポジションを確立してきた。どれも企業が仕掛けた販売戦略ですが、その時期の気分にフィットすると無理なく受け入れられるようです。踊らされていると分かっていても、どうせなら流れに乗って踊らにゃそんそん!ですかね。

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2018年10月25日 (木)

秋の味覚イタリアーナ

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 フィレンツェのレストランでディナーの時。ビステッカは頼むとして、あとは何にするか?と考えていたその時。八百屋さんが立派なポルチーニとアーティチョークを運んできました。これだ! キノコの王さまポルチーニと、10月から4月の味覚アーティチョークを頼むことに。

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 アーティチョークはフライに。ポルチーニは1本まるごとグリルで。高級キノコなので下にびっしり生ハムが敷かれていました。この店は毎日手書きのメニューを作っているのだけれど、ポルチーニは書かれてなかった。残念だなぁと思っていたので、食べられてラッキーでした。

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 ポルチーニ茸はドライを使った料理もおいしいけれど、この時期だけの生を使った料理は最高です。なかでもステーキというかグリルしたものが絶品。数あるイタリア秋の味覚でも別格のもの。王さまの名に恥じない美味しさです。

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 オルヴィエートのレストランではイノシシ肉などジビエの炭焼きやトリュフをたっぷり削った地元特産のパスタも味わえた。この崖の上の街はトスカーナではなくてウンブリア州にありますが、ここもトスカーナに負けず劣らず食材の宝庫。

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 街には地元ワインや地元チーズの専門店、トリュフとその加工品の専門店やラベンダーを使った製品の専門店など豊かな味がいっぱいです。どの店も規模は小さいけれど、並べている製品は粒ぞろいで、中世の細い路地にふさわしい。

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2018年10月21日 (日)

オリーブオイルのヌーヴォー

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 10月20日、フィレンツェのCOOPさんでオリーブオイルのヌーヴォーが出ました。毎年10月下旬になると店内にコーナーが作られ、大きいのは3リットル入りから小さいのは250ミリリットル入りまで、ビン詰めや缶詰のオリーブオイルが並びます。どれもが今年収穫されたオリーブの搾りたて。

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 秋は収穫の季節。トスカーナ各地でワイン祭りやクリ祭りなどが開催され、実りの秋を祝う。日本でヌーヴォーと言えばワインだが、こちらではオリーブオイルも待ちわびる。グリーン色でフレッシュな香り、オリーブが果実なんだ、と再認識させられる。ちょっと舌先にピリッとする刺激がたまらない。

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 秋の味覚で気になるのが、柿。KAKIと書かれて、日本から入った果実だということががよくわかる。ただし完熟も完熟、柔らかくなってジュクジュクのものが店先に並ぶ。イタリアの人たちはこれを、デザートとしてスプーンですくって食べるそうだ。今回見つけたのは珍しく、硬い日本風の柿、カキ・メーラ。りんご柿あるいは柿りんごと言えばいいのか。リコッタチーズをからめて白和えのようにして食べたら、おいしかった。

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 リンゴもMELE FUJI と表記してあるのは、日本品種のフジに違いない。赤いリンゴ、黄色いリンゴ、緑のリンゴとさまざまな種類が並ぶ異国の地で、日本に関連したものを見つけるとなにか褒められたようでうれしいものです。豊かな食の宝庫イタリアで、気になった秋の話題でした。

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2018年10月18日 (木)

美味のプレゼンテーション

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 イタリアは美味しい。肉もプロシュートもサルシッチャもサラミも。野菜もキノコも卵も。パスタもピッツァもジェラートもケーキも。ワインもビールもコーヒーもフレッシュジュースも。

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 そのうえ見せ方がとてもオシャレだ。だからよけい食欲を刺激する。つまりそれは代謝が悪くなっている身には始末が悪い、ということだ。困ったことに。

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 トマト缶も種類がいっぱいあるし、こんなにきれいに並べられては一種類ずつ全部欲しくなる。とうぜん味はそれぞれちがうでしょうから、試してみたい。

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 ワインの種類の多さは信じられない。しかも驚くほど価格が安い。もしかしたらここは天国かしら、と思ってしまう。産地、ブドウの品種、収穫年、作り手。まぁ無数にあるということ。

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 チーズの種類の多さは信じられない。しかも驚くほど価格が安い。もしかしたらここは天国かしら、と思ってしまう。ヒツジ、ヤギ、牛はもちろん、カビや塩や風までいい仕事をしている。

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 ハム・ソーセージ類の種類の多さは信じられない。しかも驚くほど価格が安い。もしかしたらここは天国かしら、と思ってしまう。
 スローフード運動を始めた国。郷土の味に愛と誇りを持つ人々。イタリアではそれぞれの美味しさをどう見せるかについても、ハンパない情熱をかけています。
 

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2018年7月 5日 (木)

日本サッカーにリアリズムを

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 優勝するチームただ1ヵ国を除き、必ず負けて終わる。ワールドカップは長い予選期間を含め、すべての国が負けるために戦うゲームなのだ。
 もちろんたった一つの勝者になるために戦うのだけれど、本気で勝者を目指せるのは一握りの選ばれし国々だ。それもみんなわかっている。それ以外はタテマエで優勝を目指すとは言うものの、まずはその一握りに入りたいというのがホンネでしょう。そして一握りの国々は、どこも独自のサッカー文化を持っている。長い時間をかけて築き上げた勝利のスタイルと、一歩一歩真剣勝負を通して重ねてきた経験の歴史。
Photo_2  2018ロシア大会で日本サッカーは選ばれし国々の仲間入りへの貴重な体験をひとつ積み上げたと思う。無力感に打ちひしがれるだけという敗退も多いけれど、今回は未来への希望を見出したのではないでしょうか。それは勝者の文化を構成する大事な要素・リアリズムの概念を歴史に付け加えたから。
 グループリーグ第3戦、ポーランド相手に0対1の負けを選んでプレーした残り10分間。そして逆に、ベルギー戦で残り1分を切った場面でなぜショートコーナーを選ばなかったのか。リアリズムを考えるこれらの経験は未来に大きな財産になるはずです。美しく散るロマンからカッコ悪くても勝つリアリズムへ。日本サッカーが夢の実現へ一歩前進した大会でした。

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2018年6月28日 (木)

世界でいちばん長い並木道

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 総延長35.41km、ギネスブックに「世界最長の並木道」として登録されている道が日本にある。日光杉並木街道だ。植樹から400年近く経った杉の大木が約12,500本。高さ30mを超える見事な景観を作っている。これだけ大きくなると、もうすこし間隔をあけたほうがいいんじゃないかと思うほど、すきまなくびっしりと生えている。

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 この道は昔の街道サイズだから狭いけれど、クルマも走れる。だから根元に重みがかかり樹勢が弱る杉もある。その対応策として道路の地下に大きな中空のコンクリートブロックを埋め込む工事を順次おこなっているそうだ。踏み固められる負担をやわらげ、しかも根は自由に伸ばせるように。これだけの並木だもの、ずうーっと後世まで残していかないとね。

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 杉は空に向かって真っすぐに伸びていく姿から、神さまに近い木と考えられ神社に多く植えられている。また神さまは杉の木を伝って天井界と地上界を行き来する、という言い伝えもあるそうだ。東照宮にも杉は多い。家康の墓所の横には、願い事がかなうと言われる「叶う杉」もある。参道である日光街道の杉は、神となった家康公への捧げものだったのですね。

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2018年6月25日 (月)

梅雨に咲くクチナシの花

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 今年は梅雨らしい天気が続きますね。わずかに日差しが出た梅雨の晴れ間に、マンションの敷地に咲いているクチナシを撮影しました。ガーデニアとも呼ばれるアカネ科の常緑低木。学名はGardenia jasminoidesで、西南日本から台湾、中国、インドシナ半島に分布するそうだ。亜熱帯から熱帯にかけて自生する植物なので、寒さには弱い。植えられているのは野生種ではなく園芸品種のオオヤエクチナシ。

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 クチナシは甘い香りがあたりに漂うので、おっ花が咲いたな、と気づく。春先のジンチョウゲ、秋のキンモクセイとともに独特な芳香が特徴だ。有名な香水にも使われているという。英国でケープジャスミンと呼ばれるそうだが、よくわかります。花のない時期もツヤツヤした濃い緑の葉が美しい。しっかり厚みもあり葉脈もはっきりくっきり見えて、まさに照葉樹林帯の木、という感じ。
  
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 白い花のベルベットのような質感は、ちょっとモクレンに似ている。次々と花が咲くので、ツボミから茶色く枯れたものまで同時に見られる。それは便利なようでもあるけど、汚く感じられることも。またクチナシは秋には赤黄色い実がなって、これから抽出された色素が、たくあんや栗きんとんやラーメンの麺の天然着色料に使われている。けっこう身近な植物だったのだ。もっとも園芸品種のヤエクチナシには残念ながら実がならないそうで。

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