2017年4月 5日 (水)

神戸にはジャズがよく似合う

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 神戸は日本のジャズ発祥の地。なんでも1923年4月にプロによるジャズ演奏が初めて行われたそうだ。で、ジャズをもっと身近に楽しんでもらうために、またジャズの街=神戸を全国に発信するために、大倉山公園で開かれていた「KOBE JAZZ DAY 2017」へ出かけました。

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 このJAZZ DAYは今年で3回目。神戸市近郊に住む中・高生15名で編成された神戸ユースジャズオーケストラから、大学のサークル、おじさん・おばさんコンボ、おじいさんバンドまで、多彩な12組が出演していた。ちょうど映画「LA LA LAND」を観て、やっぱりジャズもいいねぇと魅力を再認識していたところだ。中・高生たちは、映画「スウィング・ガールズ」にあこがれて、とい人が多いみたいだけど。

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 まぁジャズだから40年前、50年前、60年前のスタンダード曲を当時のスタイルで演奏している。新しさを求めるのではなく、懐かしさを求めて気楽に楽しむ。緊張感より、リラクゼーション。春の日差しの下で自然と身体がスウィングしてくる。趣味で楽しんでいるアマチュアバンドが中心なので、選曲も演奏も難しくなることはない。

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 編成もピアノトリオ、カルテット、スリーホーン、オーケストラとさまざまです。女性ヴォーカル、男性ヴォーカル付きのグループもあり、次々と目先が変わって飽きさせない。
 これから暖かくなってくると元町ジャズストリートや新開地ジャズヴォーカルクイーン・コンテストなど、ジャズに関連したイベントがたくさん開催されます。ジャズを聴きに神戸の街へ出かけましょう。

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2017年3月 9日 (木)

ハッピーな騎士団長殺し

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 村上春樹の話題の新作「騎士団長殺し」。読んでいる途中に風邪をひき、2日間まったく進みませんでした。ハナミズはたれる。身体のふしぶしが痛む。ついウトウトする。しかも熱のせいか、村上ワールドから抜け出してきたような奇妙な出来事(たぶん夢でしょう)が、デジャブのごとく現れたり。宙に浮遊するような数日間でした。
 死んでいた2日間を除くと、あっという間に読んでしまうおもしろさ。ハルキ教の信者としては「早く先が読みたい」と「読み終わったときの寂しさ」のはざまで、いつものことですが苦悶するのです。今回はあいだに風邪が挟まったおかげで、一拍おいて楽しめたのは幸いとしましょう。

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 肖像画家を主人公にしたこのお話は、美術に限らず音楽も文学も、芸術家には同じ種類の産みの苦しみがあるのだなぁと感じさせる。自分自身のための創作と営業の作品。アイデアが舞い降りる瞬間と、どの時点で作品の完成とするかの決断。そのあたりがとてもおもしろい。
 そして今作は邪悪な人も出てこず、マイルドでハッピーな物語。もちろん怖さを感じたり、困惑したり、謎が謎を呼んだり。そんなミステリアスな世界は存分に展開される。しかし読み終わってとても穏やかな気分になる。風も完全に治っていました。
 ところで主人公の新たな創作スタイルを、私はフランシス・ベーコンの人物作品を思い浮かべながら読んでいましたが、さてどうでしょうか。

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2016年7月 1日 (金)

アテルイは最高のエンタメ!

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 シネマ歌舞伎「アテルイ」がおもしろかった。劇団☆新感線の中島かずき&いのうえひでのりによる作・演出の、新時代の舞台芸術=歌舞伎NEXT。ヤマト朝廷が東北の蝦夷に戦いを仕掛ける歴史に基づいた、超大作・感動スペクタクル巨編です。昨年、新橋演舞場で演じられた舞台を映画化したもの。いま松竹系の映画館で上映されている。 Photo01
 見どころはシェイクスピアのような深い詩的なせりふ回し、染五郎をはじめ勘九郎や七之助、市村萬二郎や澤村宗之助たちのかっこよく決まる所作、ダイナミックな立ち回り。歌舞伎の様式美を見事に生かした芝居です。日本も世界も暗く不穏な方向へ向かっている現代に、爽やかな風を送ってくれます。
Photo02_2  テーマは支配と被支配の関係、戦争に大義はないこと、あるいは神と人間、権力と陰謀、正義を信じる人間の勇気と愛。現代の世界が抱えるさまざまな問題を俎上にあげ、痛快に切って捨てる。われわれ庶民が拍手喝采する要素をちゃんと盛り込んでいる。Photo03
 このようにお上を茶化して笑い飛ばす批判精神も歌舞伎の伝統。近年忘れられつつあった反骨心を取り戻したのは、とてもいいことだと思う。大っぴらにお上にたてつくことはできなかった、そんな庶民がうっぷんを晴らしてスカッとするための芸能だったのだから(江戸時代にはそれに対していろんな禁止令も出たようだ)。もちろん、愛された理由はそれだけではありませんが。
Photo04  教科書で習った坂上田村麻呂の蝦夷征伐(ヤマト側の見方)のお話なのだが、ストーリーはどんでん返しに次ぐどんでん返し。息もつかせぬ展開で、3時間あまりをまったく飽きさせない。ユーモアもたっぷり、サービス精神もたっぷり、アクションもたっぷり。コスチュームも美しく、最高のエンターテインメントでございました。歴史上の事件や人物の見方も、一方だけの視点ではダメなんだなと深く考えさせられました。
 

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2016年5月19日 (木)

金沢にて、日本の色

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 さすが金沢、日本の伝統文化とそれを象徴する美しい色が街を彩っている。だから外国人観光客も多い。たとえば兼六園ではカキツバタがいま盛りを迎えている。尾形光琳の屏風で見るように、紫の花と緑の葉の組み合わせがハッとするほど鮮やかだ。

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   ヌメッとした独特の瓦屋根が美しい、江戸時代の遊郭の風情を残すひがし茶屋街。格子戸と石畳の道を、若者がひく観光人力車が行き来しているが、とてもよく似合っている。文政三年(1820年)に建てられ、その当時のまま残っている重要文化財の「志摩」が見学できる。ベンガラ色の壁、漆塗りの柱、七宝焼きのふすまの取っ手・・・金沢文化の粋が凝らされている。

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 金沢はまた金箔の街としても知られている。いまは日本のほとんどを生産しているそうだ。みやげものも工芸品やアクセサリーはもちろん、化粧品やエステ用品、お酒や焼き菓子など、あらゆるものに金箔が使われている。

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 有名なお店の中庭には金箔を張り詰めた蔵もありました。金色というのは屏風の下地でわかるように日本の色によくマッチする。光の当たり方で華やかにもシックにも見えて、まわりの色がよく映える。
 春から初夏にかけての金沢の色を紹介しましたが、これを光の弱い雪の季節に見るとまったく別の美しさをあらわします。奥が深い街です。

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2016年3月10日 (木)

ロイヤルオペラハウスの椿姫

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 ヴェルディ作曲「椿姫」の原題「La Traviata」は、「道を踏み外した女」という意味だそうだ。その椿姫、英国ロイヤルオペラハウスが2月4日にコヴェントガーデンで公演した舞台のライブビューイング映像を映画館で観ました。これがサイコーに感動的。幕間に指揮者イヴ・アベルや演出家ダニエル・ドナーの解説が入り、とても分かりやすい仕上がりになっていた。時間は休憩を入れて3時間40分。

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 ストーリーもよく知っているし、聞けばすぐにわかるアリアもたくさんある、あまりにも有名なオペラ。ところが初めて出会ったお話しのように、とってもとっても感動してしまたのです。もともと名作だし、そのうえ演出が素晴らしい。出演者のヴェネラ・ギマディエワ、セミール・ピルギュ、ルカ・サルシの歌唱力と演技力。美術とコスチュームと照明。どれも最高でした。

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 1985年にフランコ・ゼフィレッリ監督が作ったメトロポリタン歌劇場の「椿姫」をレーザーディスクで持っていて何回も観た。これはレヴァイン指揮でアルフレードをプラシド・ドミンゴが演じていた。これもよかったけれど、映画版なので舞台の臨場感は今回ほど感じなかったように思う。だから感情移入もあまりなかったのかもしれない。

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 それともうひとつ決定的に違うのは、観る私自身が年を取ったということ。これは悪い意味じゃありません。いろいろ人生経験を積むと、個人の幸せと社会との板挟みとか、愛のための犠牲とか、簡単に割り切ることができない運命を人は生きるものだと気付く。そう考えると年を取るのも悪くない。アルフレードの父親の心情もわかるのだから。

英国ロイヤル・オペラ・ハウス
シネマシーズン2015/16
椿姫

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2016年2月16日 (火)

書写山円教寺の特別公開

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 姫路市の書写山円教寺。標高371mの山上に位置する西国第二十七番のお寺で、正しい漢字は書寫山圓教寺と書くらしい。むずかしい。康保3年(966年)に性空上人が開いたと伝わる天台宗の別格本山で、国や県の重要文化財に指定された伽藍が多く、「西の比叡山」と称される。推定樹齢700~800年という杉や檜のうっそうとした森の中に、摩尼殿、大講堂、食堂(じきどう)、常行堂、開山堂、鐘楼などが立ち並び、その周辺には精進料理がいただけるたくさんの宿坊が。

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 このような観光パンフレットに書いてある説明をなぞるよりも、トム・クルーズや渡辺謙が出演した映画『ラストサムライ』のロケ地、と言ったほうがわかりやすいかもしれない。いや、この映画も若い人は知らないかも。時のたつのは早いものです。あの弁慶もここで修行していた時期がある、なんていう話にいたっては、「なんやの、それ」のひと言で終わってしまう。

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 さて、その山上の霊場にいまだけ特別公開されている仏像や絵巻物がある。摩尼殿では本尊の六臂如意輪観音や脇で守る四天王が3月31日まで、奥の院の開山堂では、開祖の性空上人像が同じく3月31日までの土・日・祝に公開されている。播州書寫山縁起絵巻は長さ25mもあり、この全体を広げて展示されているのは圧巻だ。なにしろ期間限定の特別公開という言葉に弱いもので、つい足を運ぶ。でも、ほとんどの場合ああ見に来てよかったと思います。

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 開山堂の軒下の四隅に左甚五郎の作と伝えられる力士の彫刻がある。ものすごい形相で屋根を支えていて、さすが!と思わせる迫力だ。ただし左甚五郎作と伝えられる彫像は全国にたくさんあり、あまりにもリアルな出来映えからさまざまな伝説が残っている。ここの力士も四人のうち北西隅の一人が、重さに耐えかねて逃げ出したという。左甚五郎の真贋はともかく、作品としてのすばらしさと、一体が抜けているというユーモア感覚も楽しめました。

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2015年7月 5日 (日)

グラン・ブルーの海

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 とてつもない水圧と戦いながら、光も届かない深みへおもりを手に持って降りてゆく。そして生還するのに途中で体内の水圧調整をしなければ血液が泡立って潜水病にかかってしまう、もちろんそのすべてを一息で。そんな哲学的ともいえる過酷なスポーツに私たちは魅了されました。それがリュック・ベッソン監督の『グラン・ブルー』。

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 舞台となったのはシチリア島タオルミーナ。海岸から200m以上の高台に、古代ギリシャ人がつくった美しい海のリゾート地です。素潜り(フリーダイビング)で90mを超え、100mを超え、当時の世界記録を競っていたジャック・マイヨールとエンゾ・マイオルカの物語。1988年の映画で、主演の俳優さんは名前も忘れましたが、ライバル役のエンゾを演じたジャン・レノは強い印象を残し、大スターになりましたね。

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 青く美しいイオニア海と煙を吐くエトナ山。これだけの絶景はちょっとない。これがテアトロ・グレーコ(古代ギリシャ・ローマ劇場)からの眺め。この『グラン・ブルー』が縁なのかどうかは知らないが、古代劇場では毎年夏に映画祭が開かれているそうで、大型スクリーンの設置などの準備が進められていた。雨の多い日本の夏では野外映画祭なんて考えられないけれど、ここは地中海性気候だから大丈夫なのでしょう。

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 海岸へはゴンドラで降りられる。(歩けなくはないが、トンデモナイこと) 降りた前のビーチが有名なイーゾレベッラ(美しい島)につづく。ただしこのビーチ、砂ではなく石ころだ。だから裸足では足の裏が痛い。なにせヤワですから。でもせっかく来たのだから、と海に入る。砂じゃないから水の透明度は抜群だ。波に揺られ、岩に体をぶつけ、グラン・ブルーの海で泳いだ実績だけは作りました。そのせいで身体中すり傷だらけ、とほほ。

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2015年4月18日 (土)

1年ぶりです、吉田兄弟

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 吉田兄弟は最近はそれぞれがリーダーを務める二つのグループ「WASABI」と「疾風 HAYATE」の活動も多くなっていますが、今回のコンサートは原点である兄弟だけの津軽三味線。この楽器の根源的なパワーをいかんなく発揮した、魂の演奏が楽しめました。神戸文化ホール大ホールでの『15周年記念 吉田兄弟 三味線だけの世界』。
 昨年の1月、国際会館大ホールで聴いたコンサートは、WASABIも疾風も出演する盛りだくさんのプログラムだったが、今回はタイトル通り二人の三味線だけ。それだけに彼らの超絶技術も津軽三味線にかける熱い思いも、よりストレートに伝わってきました。

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 津軽じょんがら節は当然ながら、ショパンの「別れの曲」やパブロ・カザルスの演奏で有名な『鳥の歌』など、和楽器の範疇を超えたパフォーマンスも新鮮だった。特に鳥の歌は、カザルスの平和と解放を祈った静かな情念の世界とはまったく違って、カタルーニャの情熱がほとばしる素晴らしい演奏だったと思います。
 おもしろかったのはステージ上のスクリーンに同時中継する演出。彼らの人間離れした技巧、バチさばき、指つかいが、アップの映像でも楽しめる。そのスゴサに目でも感動します。大興奮、大満足の90分でした。

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2015年3月13日 (金)

映画で観るヴァチカン美術館

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 ヴァチカン美術館を4K3Dで撮影したドキュメンタリー。実際に行っても見ることのできないはるか上の天井画のディテールまで精密に描写されているのは、新しい映像技術ならでは。素晴らしいです。1時間ちょっとの短い映画ですが、もっともっと長く感じるとても中味が濃い充実の1時間でした。
 映画の監修と作品の解説は美術館長がつとめている。歴代のローマ教皇が集めた、あるいは作らせた膨大なコレクションを簡潔に要領よくまとめている。美術品はどれも人類の宝だと思いますが、なかでもこれらは超一級品。見てまわったら何日もかかる作品群を、わずか1時間で紹介しようという荒業が成功しているのは、構成の力だと思います。

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 古代ギリシャ・ローマからルネッサンス、そして近代のゴッホやダリやシャガールにいたるまでの、コレクションの大きな流れ。そしてその中心をなすラファエッロとミケランジェロの作品の説明。なにせ足を棒にして鑑賞する膨大多岐にわたるコレクションなので、人によって「物足りない」「これを取り上げないと」などなど意見はいろいろあるでしょうが、この短い時間でよくヴァチカン美術館のエッセンスを盛り込んだものだと感心します。
 ローマへ行かないと観ることのできない壁画を、観光客の群れでざわついた雰囲気ではなく鑑賞できるのは、もう至福の時間です。その場の空気感や部屋のニオイなどはムリだけれど、実物とはまた別の鑑賞法の発見でした。館長さんの声(吹き替え)が大きすぎて、ちょっとうるさく耳障りなのは気になりましたが…。

Photo_3 ヴァチカン美術館
~天国への入口

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2014年11月 7日 (金)

ムゼオ・ノヴェチェント

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 ノヴェチェントは日本語では900。美術用語では1900年代、つまり20世紀のこと。だからムゼオ・デル・ノヴェチェントは1900年代つまり20世紀美術館、あるいは現代美術館という意味になります。それが歴史をウリにする街フィレンツェに今年の6月24日にオープンしました。まだ半年足らずの出来たてほやほやです。デ・キリコやモランディや、フォンタナやマリーノ・マリーニなど、イタリアの現代作家を中心に300点あまりの作品を収蔵。

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 フィレンツェらしく古い修道院を回収した建物。こんな何百年も前の街並みが残るルネサンス文化発祥の都市で、最先端のアート拠点ができるのは素晴しい。失礼な言い方ですが、やっとフィレンツェもそれに気付いたのかもしれません。もちろんボッティチェッリやミケランジェロを目的にこの街を訪れるのも素晴しい。でも長く暮らすにはそれだけでは、息がつまりそうさだ。

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 こんな現代アートの拠点がフィレンツェにできるとは、10年前にロングステイしたときは考えられなかった。当時でも優秀な学生が集まる美術大学はあったけれど、ここの世界に冠たる文化・歴史に圧倒されていたように思う。ダヴィンチ、ダンテ、ドナテッロ、ラファエッロ、ブルネレスキ、マキャベリ・・・千年に一人出るか出ないかというとてつもない才能が、百年ほどの短い間に集中した奇跡の都市。圧倒されるのも無理はない。Photo_4
 ここにきて呪縛から解き放たれて、新しい動きが現れてきたこの街に、私は期待しています。ノヴェチェントが古い修道院の回廊に、現代アート作品を展示されているのがすごくマッチしているように、美しいかどうかの基準で見ると、時代を超えた美が確かに存在する。こんな本物を実際に見る機会が多い環境こそ、新しい芽を育むのでしょう。

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