牧野博士の植物標本
日本に自生するすべての植物を明らかにしようと、晩年まで現役で研究に没頭。94年の生涯で収集した押し葉標本は40万枚。蔵書は4万5千冊。植物図の名手としてとしても知られる彼が描き残した図版は1,700枚。新種や新品種など1,500種類以上の植物に学名を付け、日本の植物分類学の基礎を築いた牧野富太郎博士。
78歳のとき集大成として自ら描いた精巧な「牧野式植物図」を入れた『牧野日本植物図鑑』を発行。その後、野外に持ち運びやすい学生版や小型で彩色された原色図鑑なども出版されました。80年以上を経た今も多くの専門家や植物愛好家に親しまれている。
ちょうど訪れたとき、素晴らしい写真展が開催されていました。牧野の標本を菅原一剛が撮影した『MAKINO 植物の肖像展』です。本来は研究のために作成された科学的資料が、美しいポートレイトになっている。植物1点1点が、生命力をたたえ個性を主張する、アートとしての肖像写真。新たなボタニカルアートの誕生です。
高知県立牧野植物園が所蔵する約5,500枚から厳選された41枚。それを1億5千万画素のデジタルカメラで撮影。そして100×150cmに拡大プリントして展示。人物の肖像写真を撮るようなライティングで、牧野標本の微細な陰影が立体的に表現されている。博士が顕微鏡で見ていたであろう葉脈まで精細に見ることができます。
植物に感謝しなさい。
植物がなければ人間は生きられません。
植物を愛すれば、
世界中から争いがなくなるでしょう。
牧野富太郎
菅原一剛
MAKINO 植物の肖像展
2023年7月15日(土)~10月1日(日)
高知県立牧野植物園
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