屋島と高松港と
昭和な土産物屋が並ぶ道を抜けると、パッと目に入るのが宇宙ステーションのような、周防貴之による『やしまーる』。約200mあるガラス張りの回廊。地形に沿って蛇行するゆるやかなスロープ。屋根は特産の庵治石で葺かれている。保科豊巳のパノラマアート作品『屋島での夜の夢』の展示やカフェがあり、気軽にくつろげます。
ここ屋島は高松の市街地と瀬戸内海の多島美を望む絶景の地。源平の合戦でも有名ですね。瀬戸芸で来ることはなかったけれど、『やしまーる』を目的に来てみました。いつも船から見上げていた独特なテーブル状の山上から、逆に島々を見晴らすのは新鮮な感覚。この後は島めぐりの拠点・高松港のアートを紹介します。
8mの高さでそびえ立つ2本のカラフルな柱。いまや高松港のシンボルになった大巻伸嗣の『 Liminal Air -core-』です。一部は鏡面になっていて、港の賑わいや時間の移ろいを映し出す。フェリーに乗るたびに目にするこの作品は、光の具合によって表情を変え、朝は芸術祭に向かう気分を高め、夕方は優しく迎えてくれる。
高速バスターミナルの待合所。外壁につい見逃しそうな作品がある。本間純の『待つ人 / 内海さん』です。さまざまな石で組んだ壁の前に、その石垣と同じ模様をアルミ板に転写した「見えない彫刻」を設置。誰かを待つ人や馬を連れた人など、島の暮らしを思い起させる姿に気分もほっこり。バスを待つ時間もイライラしません。
玉藻公園に沿ってジュリアン・オピーの彫刻作品『銀行家、看護師、探偵、弁護士』が、道行く人と一緒に歩くように並ぶ。素材も白大理石や庵治石、黒御影、石灰岩と4種類。石の産地に敬意を表している。コロナ禍で開催された今回の瀬戸芸。春・夏会期はまだ自粛気分でしたが、なんとか秋会期は参加できて幸せでした。
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