2020年11月20日 (金)

ロンドンから西洋絵画史

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 ルネサンスから19世紀ポスト印象派まで、粒ぞろいの西洋絵画をコレクションしているロンドン・ナショナル・ギャラリー。1,824年、ヨーロッパでは珍しく王室の収集を母体としない、市民の力で市民のために設立された世界有数の美術館です。熱心なコレクターの寄贈や市民の寄付により、今では2,300点を超える名品を所蔵。

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 ギルランダイオ、ボッティチェッリ、ティツィアーノ、ティントレットなどイタリア・ルネサンスの巨匠。レンブラント、フェルメールなど黄金時代のオランダ絵画。エル・グレコ、ベラスケス、ゴヤ、ムリーリョなどのスペイン絵画。レンブラント絶頂期の「34歳の自画像」やムリーリョの「窓枠に身を乗り出した農民の少年」は新しい発見でした。。

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 コンスタブルやターナーの風景画や、アンソニー・ヴァン・ダイクをはじめホントホルストやトマス・ローレンスの肖像画。イギリス美術の精華が日本へ。そして19世紀以降のフランス近代絵画。アングルからポスト印象派まで、コロー、ドガ、ルノワール、モネ、ゴーギャン、セザンヌ。まさに西洋美術史を復習しているような61作品です。

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 さすがにダ・ヴィンチの「岩窟の聖母」は来ていませんが、今回の目玉はゴッホの「ひまわり」。彼は7点の「ひまわり」を描いていますが、最高傑作の誉れが高いのがこの4作目。黄色に背景に黄色のひまわり。明度も濃度もさまざまな黄色づくしで表現する新たな挑戦。彼が愛したアルルの太陽の光がほとばしっています。

ロンドン・ナショナル・ギャラリー展
2020年11月3日(火・祝)~2021年1月31日(日)
国立国際美術館

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2020年11月 1日 (日)

お子さま不向きパーク

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 「夢と魔法の国」ディズニーランドを風刺した、「悪夢と絶望の国」ディズマランド。バンクシーが「子どもには不向きなファミリーテーマパーク」と称した大規模な施設です。英国ブリストル・ベイの海沿いの町ウェストン・スーパー・メアで2015年8月から9月の5週間、期間限定で開かれました。dismalは、陰惨な、憂鬱な、という意味。

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 陰険な係官が嫌がらせをするセキュリティチェック。やっと中に入ると、廃墟になったお城。事故にあったカボチャの馬車。群がる報道陣。どうやらシンデレラ(らしき乗客)は死んでいるようだ。池のリトル・マーメイド(らしき姫)は歪んでいるし、メリーゴーラウンドは危険なスピードで回転している。運河には難民ボートが。

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 一見華やかな夢の国が、じつは残酷でおぞましい絶望の世界。おまけにパーク内で働くキャストたちは不機嫌、無気力。スマイルとは無縁の存在です。恐怖を味わい気分を害したゲストは、疲れ切って意気消沈して帰路につく。楽しいはずだったお出かけが・・・。こんなファミリーの1日を描いた映像作品が上映されている。

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 貧困や格差、テロや戦争など、過酷な現実に目を背け、非日常のテーマパークを楽しむ私たち。悲惨な事件もエンターテインメントに仕立てるTVのニュースショー。豊かな社会や暮らしをコントロールする商業主義に対する反発は、彼の作品の大きなテーマのひとつ。これからもますます鋭い表現が生み出されることでしょう。

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 この記事で正体不明のアーティストと言いながら、ふつうに「彼は」と書いてきた。でも「彼女」かもしれない。「グループ」かもしれない。活動が世界に広がり、プロジェクトがここまで大規模になってくると、とても一人の手には負えない気もする。でも何者か?の詮索に興味はない。謎は謎のままでいいのじゃないでしょうか。

バンクシー展 天才か反逆者か
2020年10月9日(金)~2021年1月17日(日)
大阪南港ATC Gallery(ITM棟2F)

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2020年10月29日 (木)

権威に逆らうプロジェクト

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 声高に平和を訴えるのではない。戦争のバカバカしさをユーモアで包み、観客に武力の無力を思い至らせる。そしてあぶりだされるのは政治や宗教の権威主義に隠された不都合な真実。それがバンクシーの流儀。爆弾を抱く少女も、ピンクのリボンをつけた戦闘ヘリも、強くアピールするのは可愛さと不気味さが同居しているから。

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 パレスチナのベツレヘムはヨルダン川西岸にあり、キリストの生誕地でもある。いまは町の周りを高い壁が囲っている。イスラエル人の入植地とパレスチナ人の居住地域を分断する壁。2017年3月20日、この壁の真ん前にザ・ウォールド・オフ・ホテルが開業した。2005年ごろからこの前の遮断壁に風刺画を描いていたバンクシーも出資、協力する、泊まれるアートプロジェクト。

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 客室からは遮断壁しか見えないので、「世界でいちばん眺めが悪いホテル」。内部には彼の作品がたくさん飾られている。あるベッドルームの壁面には、羽毛を飛ばしながら枕を武器に戦うイスラエル兵とパレスチナゲリラ。この部屋と電飾看板が、展示会場に再現されている。パレスチナの歴史や地元アーティストの作品が見られるギャラリー&ミュージアムもホテルに併設されているそうだ。

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 ストリートアートや版画から発展し、映像作品やインスタレーションやイベントまで活動の幅を広げるバンクシー。しかも世界各地の街角に神出鬼没に表れてその作品を残す。そんな多面的な彼の足跡、多才な痕跡をマルチスクリーンで見せてくれる映像展示も面白い。アートの最前線を走って美術家だ、と再認識しました。

バンクシー展 天才か反逆者か
2020年10月9日(金)~2021年1月17日(日)
大阪南港ATC Gallery(ITM棟2F)

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2020年10月26日 (月)

作者非公認の展覧会?

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 アーティスト本人は非公認? 無許可の展示イベント? しかしほとんどの作品は本物! なんとも奇妙な展覧会が世界で話題になっている。大阪南港ATCギャラリーで開催中の『バンクシー展 天才か反逆者か』。バンクシーは英国を拠点に街角のビルや壁に社会風刺や政治的メッセージを描く、正体不明のストリート・アーティスト。いま世界で最も注目されている美術家です。

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 街中で人に見つからずに描くストリートアート、いわば落書き。すぐに当局に洗い流されたり、塗りつぶされたりするから、後に残らない。彼自身も犯罪行為だと思っているからか、決して名乗り出ない。なぜこの展覧会が作者非公認なのか、の理由のひとつがこれ。でも著作権や金銭的な問題はどうなるのだろう?

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 ところが有名になるにつれ壁を剥ぎ取って残す人や、オリジナルの版画を買う人があらわれる。こんなコレクターが持つ作品を約70点、世界中から集めてきて開催にこぎつけた展覧会が、このバンクシー展。モスクワ、サンクトペテルブルク、マドリード、リスボン、香港、横浜と巡回して、今月いよいよ大阪へやってきました。

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 反戦。反ファシズム。反帝国主義。反権威主義。反消費社会。反資本主義。反原理主義。彼は社会のいろんな場面で人間を圧しつけるパワーに反発し自由を求める。警察、エスタブリッシュメント、監視社会などを風刺したユーモラスでブラックな表現を見ると反逆者。いま世にある問題の本質を伝える能力を考えると天才。バンクシーはアートの力で権威に反逆する天才なのです。

バンクシー展  天才か反逆者か
2020年10月9日(金)~2021年1月17日(日)
大阪南港ATC Gallery(ITM棟2F)

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2020年10月20日 (火)

コロナと生きる世界

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 コロナと共に生きるって、どういうこと? 世界はどんな風に変わるの? まずはマスクをつける。ソーシャルディスタンスを保つ。そして非接触のために仕事も暮らしもデジタル化を進める。そんなところでしょうか。『横尾忠則の緊急事態宣言』展で興味深かったのが、パロディとして笑い飛ばしたインスタレーション。

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 「WITH CORONA」と題され、SNSで発信され続けているシリーズ。いろんなビジュアルに象徴的にマスクをつけたもので、コロナと生きるこれからの社会をあらわしているのでしょう。素材は過去の自分自身の作品や、資料として保管している写真、新聞の切り抜きなど。次々と発信する行為そのものがアートでもある。

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 登場するのはビートルズや毛沢東やアインシュタインほか、さまざまな人たち。しかもマスクには、横尾さんの典型的なシンボルである歯を見せて笑う口と赤い舌が描かれている。世間の常識に挑戦するふてぶてしいシンボル。A4パネルに貼った作品が、展示作品の周りを太陽をめぐる惑星のように掲出されている。おもしろいのでじっくり見ていく。結構時間がかかる。けれど楽しい。

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 マスクをつけさせられたのは人間とは限らない。信号機やソフトドリンク、トイレットペーパーや川にかかる太鼓橋まで白い歯を見せて笑っている。権力や権威がまじめくさって指導する姿の、どことなく胡散臭い上から目線をうまく茶化してしまうアートのパワー。同調化圧力に対する自由の叫びを、やんわり笑いで表現。

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 一点だけなら単なる悪ふざけになるところを、次から次へとアイデアを繰り出すと、立派なアートとなり、確かな批評となる。SNSや新しい技術をおもしろがって貪欲に取り込み、日々発信を続ける横尾忠則。84歳、老け込むどころかますます精力的に創作を続ける、現役の、しかも最先端のアーティストだ。

横尾忠則の緊急事態宣言
2020年9月19日(土)~12月20日(日)
Y+T MOCA
横尾忠則現代美術館

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2020年10月17日 (土)

横尾さんの緊急事態

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 いま横尾忠則現代美術館で開催中の『横尾忠則の緊急事態宣言』展は、膨大に存在する彼の作品を「緊急事態」というくくりで集め、編集したもの。前回、2月1日から開催されていた展覧会のタイトルが『兵庫県立救急病院』。ちょうどコロナ禍が始まった時期のスタートで、とてもタイムリーな企画でした。それはたまたまだったらしいけれど、超能力的予見に驚かされたものです。

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 もともと横尾さんは殺人事件や決闘、空襲や火災など緊迫した情景をよく描いてきた。危機的状況がもたらすパニック。現実と悪夢の境界があいまいになる感覚。これら禍々しい血や死のイメージが交錯することによって、観る者の魂を強く揺さぶり、どこか別の次元に連れていく。そこが地獄か天国かはわからないけれど。

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 怪人20面相、ヤマトタケル、三島由紀夫、ターザン、ジェーン・フォンダなど繰り返し登場する人物。ライオンやワニやジョーズなどの凶暴な動物。それぞれのキャラクターが持つ固有のイメージと、それらが組み合わされることによって生じる化学反応。ギャップや違和感が生み出す負の感情さえも、表現のたいせつな要素だ。

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 コロナ緊急事態で私たちが経験したのは、生命にかかわる恐れと生活の不安。正体が見えない焦りと見通せない将来。物理的にも精神的にも、わからないことことだらけ。引きこもりの日常とは、まさに集団で対人恐怖症や閉所恐怖症にかかった世界。横尾さんはとっくの昔から毒を含んだユーモアで、こんな姿を描いていたのだ。

横尾忠則の緊急事態宣言
Y+T MOCA
横尾忠則現代美術館
2020年9月19日(土)~12月20日(日)

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2020年10月 5日 (月)

北欧の幸せなデザイン

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 北欧デザイン、なかでもデンマークのデザインには日本人が大好きなプロダクツが多い。家具で言えばハンス・ウェグナーやボーエ・モーゲンセン、アルネ・ヤコブセンやフィン・ユールなど、巨匠の名品チェアを使っている人がとても多いはず。シンプルで機能的なモダンデザインだけれど、使い手に緊張感を強いる尖ったところはなく、むしろ優しく包まれるような感覚が心地よい。

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 伝統の手仕事をリスペクトする姿勢。木をうまく使った温かみのあるデザイン。その哲学は日本のものづくりに通じるところがあります。ムダを省いた簡素なしつらえ。それでいて素材そのものが持つ質感はリッチです。神戸ファッション美術館の展示を見ていると、世界の国々のどこよりも美意識の共通性を感じる。

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 ジョージ・ジャンセン。ダンスク。ロイヤル・コペンハーゲン。ボダム。カトラリーや食器、鍋やポットなども愛用しているモノ、憧れているモノがたくさんあります。日本ではたかだか50~60年ほどのことだと思うのだけれど、北欧デンマーク・デザインの品々がほんとに身近になりました。どれも人間へのやさしさが魅力です。


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 居心地の良い空間で、家族や友人と過ごす幸せな時間を大切にするヒュッゲ(HYGGE)。デンマークの人たちが最も重視する生活哲学です。そんな文化から灯りの名品が誕生するのは必然だ。ポウル・ヘニングセンのPH-5やアーティチョークをはじめとして、キャンドルスタンドにも素晴らしい作品が多い。これらは冬場の寒くて長い夜を快適に過ごす必需品。幸せの国の秘密兵器です。
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 すこし違うジャンルで世界を席巻したのは、バング&オルフセンのオーディオ機器。これは憧れのブランド。そして、おもちゃのレゴ。最近ではアルミニウムを使ったバイオメガの自転車がカッコいい。実はデンマークは自転車大国だそうだ。エネルギーをたくさん消費する交通手段より、エコでヘルシーな自転車を選ぶ人が多いという。ますますデンマーク・デザインが好きになりそうです。

デンマーク・デザイン
DENMARK:DESIGN
神戸ファッション美術館
2020年9月19日(土)~11月8日(日)

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2020年7月15日 (水)

熊谷守一の、わたし流

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 その昔1979年のこと、熊谷守一を知って感動した生誕100周年記念の展覧会。その後いくつも彼の展覧会を観てきましたが、今回の『熊谷守一展 わ た し は わ た し 』は構成も展示内容も最高に充実していると思いました。生誕140周年と伊丹市政施行80周年という欲張った冠がついている伊丹市立美術館での企画展です。

1965

 赤や茶色の輪郭線に囲まれた単純なカタチと明瞭な色彩。「モリカズ様式」と呼ばれる独自のスタイルで現代でも評価が高い。『へたも絵のうち』という著書もあることから、ヘタウマの元祖のように思われていますがメチャウマです。本質をとらえているからこそ描ける簡潔な線。それが表現する存在感は写実をはるかに超える。

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 猫が有名だけれど、庭で見かける昆虫や小動物もたくさん描いている。アリやカタツムリ、カマキリやメダカ。他の画家があまり取り上げないものに、科学者のような目を向けて観察し描写する。映画『モリのいる場所』で沖田修一監督が描いた通りの生活だったのでしょう。生命あるものをいとおしむ心が人一倍強かったのか。

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 描きたいものを、描きたいように。他人の思惑など気にせず、どこまでも自分流を貫いた先に到達した斬新なスタイル。抽象度の高い具象画。いや抽象や具象などという範疇を超えた世界に、「いい絵」を花咲かせたのだ。どこまでも自分の美を追求した熊谷守一。97歳で亡くなるまで意欲的に創作を続けました。

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 その風貌と生き方から「画壇の仙人」「超俗の画家」と呼ばれる。家から一歩も外へ出ないし、文化勲章は断るし。知らない人からは変人だと思われてもしかたがない。でも人嫌いではなく、ひっきりなしに客が訪れるにぎやかな家だったらしい。自然のままに「わたしはわたし」を貫いた人生。憧れてもできることではありませんね。

わ た し は わ た し
熊 谷 守 一 展
2020年6月23日(火)~7月31日(金)
伊丹市立美術館

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2020年7月12日 (日)

曲げ木と二人のアアルト

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 アイノとアルヴァ。20世紀フィンランドを代表する建築家、アアルト夫妻。夫のアルヴァが主に建築を、妻のアイノがインテリアデザインやプロダクトデザインを受け持ち、共同で多くの素晴らしい仕事をしました。いま神戸の竹中大工道具館で、『アイノとアルヴァ 二人のアアルト 建築・デザイン・生活革命』展が開催中です。

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 アルヴァの生誕120周年を記念して、2018年秋から日本各地の美術館でアアルト展が開催されてきた。昨年の春、東京ステーションギャラリーでの展覧会を見て、当ブログで「アルヴァ・アアルト もう一つの自然」(2019年4月13日)として紹介しています。今回の企画展は大工道具館らしく、『木材曲げ加工の技術革新と家具デザイン』というググッと焦点を絞った展示。

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 曲げ木と言えばト―ネットが19世紀半ばに発明したカフェチェアが有名です。柔らかいブナ材を使ったアールヌーヴォーっぽい曲線美。アアルトはフィンランド産の無垢バーチ材(シラカバ)を使って革新的な曲げ木の技術「L - レッグ」を発明。この脚をイスの座面やテーブルの天板に直角にネジ止めすることで、効率よく量産できる。上質の家具が安く手に入るようになったのです。

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 木の温かさを持ちつつモダンでシャープなデザインを可能にしたL型の脚。これを使った北欧モダンらしい涼しげな家具は、20世紀のインテリアに革命をもたらしました。ゴテゴテ飾らない、ギラギラ主張しない。リラックスして心からくつろげて、不要な刺激をいっさい与えない。まるでシベリウスの音楽のように。 

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 アイノの仕事として有名なのが、イッタラのガラス器シリーズ『ボルゲブリック』(スウェーデン語で水の波紋の意味)。手から滑りにくく、スタッキングもできる、シンプルで機能的な名品です。1932年の発売から90年近くたって今も、世界で愛されている超ロングセラー。アアルト夫妻は一点ものの作品より量産品を普及させて、人々の生活をより良くしたいという理想を追求していたのでしょう。

アイノとアルヴァ 二人のアアルト 建築・デザイン・生活革命
木材曲げ加工の技術革新と家具デザイン
2020年3月28日(土)~8月30日(日)
竹中大工道具館

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2020年7月 5日 (日)

ミナ ペルホネンの展覧会です

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 はじまり おわり すすみ もどる 心と象(かたち)の つくるとつづく・・・『ミナ ペルホネン / 皆川明 つづく』展が兵庫県立美術館で始まりました。コロナの影響で1週間ほど遅れての開催です。『つづく』というタイトルは、ブランドが継続するという意味を示すのはもちろんですが、繋がる、連なる、手を組む、循環するなど、多様なイメージを想起させるおもしろい切り口の言葉です。

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 流行に左右されず、長年着用できる普遍的な価値を持つ「特別な日常着」をコンセプトに、ミナ ペルホネンは今年で25周年。日本各地の生地産地と深い関係性を築き、オリジナルの生地を作り、プロダクトを生み出す。他に類を見ない独自のものづくりです。自然環境に親和的なテイストや、丁寧なローテクだからこそにじみ出る温かみ。その哲学に共鳴する根強いファンがいるのは納得だ。

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 テキスタイル、ファッションからスタートした活動は、いまやインテリアや食器のコレクションなど生活全般のデザインへと広がっている。国内外のブランドやクリエイターとの協働事業も多い皆川さんが、将来の夢として構想している「簡素で心地よい宿」のプロトタイプ「シェルハウス」。たくさんのスケッチや模型と共に展示されている。これは建築家の中村好文とのコラボで内部も見学できる。

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 この展覧会の見どころは、デザイナーとしての仕事だけではなく、アーティストとしての皆川明をフィーチャーしているところ。谷川俊太郎と作った絵本や新聞小説の挿絵や旅先で描いたスケッチなど、さすが若いころ画家を目指した技量とセンスがうかがえる。それらは創造エネルギーの発露であると同時に、仕事でのアイデアの基にもなっているようだ。創作と仕事の幸せな連鎖。柔軟な思考。

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 鑑賞していた時にたまたま皆川さんが来場され、作品の前で気さくに写真撮影に応じてくださいました。この作品は昨年の秋、東京都現代美術館での展覧会でライブペインティングされたもの。偉ぶらず何事にも真摯に取り組む皆川さんにすっかり魅了されました。
 なお展覧会のポスターやチラシは、メインビジュアルの撮影が上田義彦さん、グラフィックデザインは葛西薫さんだそうです。

ミナ ペルホネン / 皆川明 つづく
2020年7月3日(金)~11月8日(日)
兵庫県立美術館

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