2020年4月 6日 (月)

メスキータ 没後75年

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 19世紀末から20世紀初頭に活躍したオランダの画家で版画家でデザイナーのサミュエル・イェスルン・メスキータ。彼は美術学校で多くの学生を指導。だまし絵で有名なM.C.エッシャーも教え子の一人だった。そしてメスキータから大きな影響を受け生涯の師として敬愛したという。白と黒の対比が鮮やかな作品群を見ると、たしかにその画風がエッシャーに受け継がれているのがわかる。

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 エッチング、ドローイング、水彩画などいろんな技法を使ったメスキータですが、彼の特徴は木版画に最もあらわれていると思う。木版ならではのシャープな線。効果的な明暗のコントラスト。計算されたモダンな構図。身近な人々を描いた肖像画も、自然界の動物や植物を表現した作品も、いまなお力強いインパクトを与える。自由なモノの見方や時代を超えた造形力は、とても現代的。

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 ユダヤ人のメスキータはすでに70歳を超えていたが、1944年ゲシュタボに逮捕されアウシュビッツで亡くなる。逮捕のあとアトリエに残された膨大な作品の一部は、エッシャーや友人たちが決死の思いで救い出し、命がけで守り抜いたそうだ。そして彼らは戦後に展覧会を開催し顕彰に努める。そのおかげでメスキータの名前と作品が今日まで残ったのです。これは幸いでした。

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 悲劇的な最期から75周年を記念して、昨年東京ステーションギャラリーで開催された日本初の回顧展。新型コロナ騒ぎのさなか、西宮に巡回してきました。マスク着用の義務や入口に手指の消毒液が置かれているのはもちろんですが、混雑防止のため2時間の時間指定が書かれたチケットを渡される。そして他の観覧者とは2m離れるように、とのこと。いまは展覧会などイベントの開催には細心の準備と覚悟が必要なのだ。ご苦労さまです。

メスキータ展 Mesquita
2020年4月4日(土)~6月14日(日)
西宮市立大谷記念美術館
 

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2020年3月20日 (金)

長くつ下のピッピ、誕生75年

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 スウェーデンの児童文学作家アストリッド・リンドグレーンの『長くつ下のピッピ』が1945年に出版されてから75年。それを記念して神戸ファッション美術館で開催されている展覧会が、新型コロナウイルスによる臨時休館をはさんで3月17日から再開されました。オリジナル・タイプ原稿や挿し絵の原画、94歳まで長生きした作者ゆかりの品々を集めた心温まる展覧会です。

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 風邪で寝込んでいた愛娘を喜ばせようと、元気いっぱいの女の子が活躍するお話を即興で語って聞かせていたのがきっかけで、ピッピは生まれたそうだ。9歳のやんちゃなピッピとゆかいな仲間たちがが繰り広げる奇想天外な物語は、70言語以上で翻訳され世界中で読み継がれている。子どもたちの生命力、大人顔負けの意志の強さ、子どもならではの自由な発想力が、私たちに元気をくれる。

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 世界一つよい女の子は多くの人々に愛され、リタ・ラーソンの『馬を持ち上げるピッピ』などさまざまなアーティストによるコラボ作品も数多い。ピッピ以外にも『ロッタちゃん』や『やかまし村の子どもたち』シリーズなど、天真爛漫な子どもたちが自由奔放に生きる作品を生み出したリンドグレーン。体罰に反対し、子どもの人権を守る運動の先頭に立つオピニオンリーダーでもあったそうです。

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2020年3月 2日 (月)

未だ見ぬ建築家たちの夢

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 『インポッシブル アーキテクチャー』展。建てることが不可能な建築、という意味だけではない。技術的に可能であったにもかかわらず社会的な条件や制約によって実施できなかった建築、実現させることよりも既存の制度に対して批評家精神を打ち出す提案、未来の問題を解決するために建築はこうあるべきだという理想を描くプラン。ガウディのころから建築は建てるだけのものではなくなった。

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 サブタイトルに「建築家たちの夢」とついているように、建築家はアーティストだと改めて思い出させてくれる企画です。素材の知識や構造計算を駆使する現実主義者、そしてまたイメージを操る夢想家。それぞれ得手不得手はあるものの、そして最近は専門化が進んでいるものの、その両面の知識と理解力がなければ建築家は務まらない。そんな考えがもう古いのかもしれないけれど。

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 実現しなかった建築で記憶に新しいのがザハ・ハディドの新国立競技場案。このまえ隈研吾さんの設計で完成しましたが、いろいろ話題になりましたね。改めて見てみると、とても20世紀的な感じがする。乱暴な言い方をすれば、圧倒的な迫力で国家やリーダーの権威を誇示するタイプの建造物。北京オリンピックのメインスタジアムは、まさにそれだ。でも21世紀の日本ではねぇ。

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 ここまで建築と建築家の話をしてきましたが、この展覧会でおもしろいところがもう一つある。荒川修作+マドリン・ギンズや岡本太郎など美術家に軸足を置いた作家の都市計画案や建築プランなども展示している点。イマジネーションの広げ方が、やっぱり違う。しかし会田誠の「東京都庁はこうだった方が良かったのでは?の図」まで同列に並べるのは、キュレーターの悪ノリじゃないですか?

IMPOSSIBLE ARCHITECTURE
インポッシブル・アーキテクチャー
建  築  家  た  ち  の  夢
2020年1月7日(火)~3月15日(日)
国立国際美術館

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2020年2月28日 (金)

実現しなかった建築

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 国立国際美術館で開催されている『インポッシブル・アーキテクチャー』という展覧会が、予想していたよりもはるかにおもしろい。建築というのは建築家の提案に対してクライアントがOKと言ってお金を出して初めて実現する。いくら素晴らしいプランであっても、クライアントの無理解や予算の制約で実現しなかったものも数多い。むしろそんな世に出なかったアイデアのほうが良く思えることも。

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 画家が勝手に好きな絵を自由に描くのとは違って、建築家はコンペに参加するのが一般的だ。そして一つの決定案の陰にはいくつもの不採用案がある。おもしろくない案、クライアントの狙いを否定する案、予算におさまらない案。それらは当然として、選考者の許容度を越えた案も不採用。アイデアが時代から進み過ぎていてもダメなのだ。それを理解できる人がいない、という悲劇が起きる。

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 それを逆手にとって、時の権力者や社会の常識に挑戦状をたたきつける建築家もいる。コンペの負けを覚悟で自分の建築哲学を提示し、世の中の啓蒙を図ろうとするのだ。その過激な革新性で歴史に残った建築プランや都市計画案。死屍累々、たくさんの墓標に見えながら、じつは後世に多大な貢献をしていることがわかる。現代の眼から見れば、という話ですが。

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 そして今回の展覧会で新たな発見は、最初から実現性など考えない建築案がたくさんあったということ。実現性を考えない建築? そんなのありえない、と思われるでしょう。でも20世紀以降の国内外のアンビルト建築を、模型や設計図やドローイングで振り返るこの展覧会ではたくさん展示されているのです。不可能な夢物語と思えるプランが、何十年か後にはもてはやされるかもしれません。

IMPOSSIBLE ARCHITECTURE
インポッシブル アーキテクチャー
2020年1月7日(火)~3月15日(日)
国立国際美術館
 

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2020年2月24日 (月)

藤井フミヤのアート展

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 藤井フミヤさんが昔からアート活動をしていらっしゃることは聞いていた。でも展覧会というカタチで観たのは初めてでした。いまうめだ阪急で開催されている『Fumiyart 2020 藤井フミヤ展』がおもしろい。The Diversity とポスターにあるように、ホント多様な手法、多様な画材、多様な表現を自在に操っているのには驚かされました。

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 色鉛筆、水彩、油彩、アクリル、ボールペン、切り絵、貼り絵、CG・・・おもしろそうと思ったら、すぐにやる。しかも、どの表現もめちゃ上手い。ご本人はアートの専門教育を受けていないから、と謙遜されますが、なかなかどうして。一つの表現手法を極めるのさえ至難のことなのに、彼はらくらくと描いているようだ。まるで天才サーファーが自由に波と戯れるように。

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 ラファエロやダヴィンチやポッティチェッリへのオマージュ作品から、SF的な抽象イメージまで。女性の美しさ、エロチックな魅力をテーマに、想像力の翼を思いきり広げた藤井ワールド。まさにFumiyaのart  Fumiyart。このタイトルも秀逸です。デジタルもアナログも、ジャンルを飛び越えた30年にわたるアーティスト生活。あなたも約100点の作品に驚きと感動を味わってはいかがでしょう。

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藤井フミヤ展
The Diversity 多様な想像新世界
2020年2月16日(日)~2月24日(月)
阪急うめだ本店9階ギャラリー
阪急うめだ本店9階ギャラリー  

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2020年2月21日 (金)

病気と老いとユーモアと

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 喘息、不眠、骨折、帯状疱疹、顔面神経麻痺などさまざまな病歴を持つ横尾忠則さんの『病気』にまつわる作品や、病床での日記、入院中のスケッチなどが展示されている。主な病歴を紹介する横幅7~8mぐらいのパネルを読むだけでもおもしろい。ご自身のレントゲン画像も展示。これがしっかり作品となっている。自分自身を笑い飛ばすユーモア感覚も、アーティスト横尾さんの魅力です。

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 「今夜の酒には骨がある」「網膜が見た夢Ⅱ」「突発性難聴になった日」「エジソンと点滴」などなど、病気や死者への想いがこめられた作品がたくさん展示されている。ケガや病気や老いを通した、みずからの身体との濃密な付き合い。横尾さんにとっては心も魂も死んだ人との交流でさえ、肉体感覚の一部なのでしょう。

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 兵庫県内の公立病院が統廃合されたときに不要になった標識や什器類を借りてきて展示に使っているそうだ。やはり年季の入ったものは違う。本物ならではの存在感とリアリティ。会場に配置された関係者も白衣姿。それも今どきのオシャレ白衣ではなく、昭和なイメージのレトロ感たっぷりの。病院特有のニオイこそしないものの、見た目は病院そのものです。

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 1階のオープンスタジオで開催されていた弦楽四重奏のコンサート。播磨室内合奏団のみなさんはもちろん白衣を着ていました。しかも演目の一つにシューベルトの「死と乙女」を選んでいたのには笑いました。「ショスタコーヴィッチ チクルス vol.4」という真面目なコンサート。そんななかでのユーモア。アートも音楽も、もしかしたら人生も、ユーモアをなくしたらつまらないものになるのでしょうね。

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 実生活や創造の現場における横尾の肉体に対する意識を探る当院の試みが、皆様の健康増進の一助となりましたら幸いです。なお、当院では医療行為は行っておりませんので、あしからずご了承ください。との告知が展覧会のあいさつで述べられておりました。お間違いなきようヨロシクお願い申し上げます。

兵庫県立横尾救急病院 展
2020年2月1日(土)~5月10日(日)
Y+T MOCA
横尾忠則現代美術館

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2020年2月18日 (火)

兵庫県立横尾救急病院へ

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 新型コロナウイルスによる肺炎が問題になっているいま、『兵庫県立横尾救急病院 展』とはおもしろすぎる。偶然こんな時期に当たってしまったのでしょうが。「展覧会には1年以上の準備が必要なので、たまたまです」と学芸員の方もおっしゃっていました。しかし超能力がある横尾忠則さんのこと、なんらかの予感があったのかも、と思えてしまうほど、絶妙のタイミングになってしまいました。

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 入場チケットは「診察券」、出品リストは「カルテ」風レイアウト。展覧会場の入り口には救急の赤いランプが点滅している。チケットを販売する人も会場の案内をする人も全員が白衣姿。異様と言おうか、まさに病院に来た感じ。会場構成も「小児科」「外科」「眼科・皮膚科・耳鼻咽喉科」「入院病棟」「老年病科」「スポーツ外来」と分類。この展覧会の趣旨は以下のように書かれています。

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 兵庫県立横尾救急病院は、美術家・横尾忠則の肉体と生活・創作との関係を探ることを目的に、横尾忠則現代美術館に期間限定で開院いたします。当院では、頭や心よりも肉体感覚を通して得られるものに信頼を置く横尾の生き方を基本理念に、眼科、小児科、外科など様々な診療科をご用意し、絵画、版画、ドローイング、、著書や愛読書といった幅広い作品と資料から、皆様に肉体との付き合い方を見つめ直す機会をご提供することを目指します。

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 展示物を見ても点滴スタンドや松葉杖のインスタレーションなどがおもしろい効果を出している。油彩画やコラージュだけではなく、展示会場全体がひとつの横尾作品なのだ。知らなかったけれど横尾さんはいろんな病気を体験しているそうだ。「横尾忠則 主な病歴」という横幅5~6mのパネルも笑えてしまう。これらすべてが横尾ワールド。展覧会の究極のカタチかもしれない。

兵庫県立横尾救急病院 展
2020年2月1日(土)~5月10日(日)
Y+T MOCA
横尾忠則現代美術館
 

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2020年2月 8日 (土)

ゴッホ、修行と先取りと

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 わずか10年の活動で、約850点もの油彩画を描いたゴッホ。短い時間での多作ぶりもスゴイが、短い期間での作風の変貌ぶりもスゴイ。初期はハーグ派の影響を受けて、茶色やグレーを基調にした地味な色合いで田園風景や貧しい農民の生活を描いている。バルビゾン派のジャン=フランソワ・ミレーに触発された作品も多い。今回25点見られる修行時代の作品は、ちっともゴッホらしくないけれど、世界の見方を形作る背骨になっているのでしょう。

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 一方、死の前年に描いたこの松の絵はセザンヌを思わせる。20世紀絵画を先取りした作品だ。構図はゴッホが愛した浮世絵の影響でしょう。ゴッホ以前とゴッホ以後に続く道。誰もが見知っている「これぞゴッホ」のアルル時代、それらの作品以外、いわば「らしくないゴッホ」が充実しているのが、この展覧会の特徴。このところ毎年のように開催されっるゴッホ展とは違いがそこにある。

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 ゴッホの40数点に、彼に影響を与えたハーグ派や印象派の画家の作品を合わせて80数点。クレラー=ミュラー美術館やハーグ美術館のほかにモナコ王宮コレクションやP.&N.デ・ブール財団、イスラエル博物館やワシントン・ナショナル・ギャラリーなどが所蔵する、目にすることが少ない作品が集められている。この展覧会を見た感想は「らしくない」作品も含めてゴッホの真実の姿だということ。変貌を恐れず進化し続ける精神こそがゴッホなのだ。

ゴッホ展
2020年1月25日(土)~3月29日(日)
兵庫県立美術館

 

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2020年2月 5日 (水)

ゴッホの成り立ち

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 1853年、オランダ南部の牧師の家に生まれたフィンセント・ファン・ゴッホ。1880年、27歳にして画家を志す。1882年ハーグ → 1886年パリ → 1888年アルル →1889年 サン=レミ。そして1890年、37歳にして死去。こう書くと、このわずかな間に数々の傑作を残したのだとあらためて驚きます。しかも我々がよく知っている作品のほとんどは、アルル以降の3年足らずで描いたもの。

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 オランダ時代はハーグ派の影響を受け、身近な風景や貧しい農民の姿を描いた暗い色調の絵を描く。印象派の洗礼を受け、鮮やかな色遣いを学んだパリ時代には、浮世絵の収集と模写に励む。このころまでは、まだゴッホ以前の時代。そしてゴッホが真にゴッホになるのは、アルルの明るい太陽に出会ってから。イエスがキリストになるごとく、南仏の自然に啓示を受けたのだ。

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 この展覧会は、初期のハーグ時代と最後のサン=レミ時代の作品が充実している。それが特徴。ゴッホは特に日本人の好きな画家なので展覧会は数多く開催される。そんななか、ちょっと目新しい視点でまとめたこの『ゴッホ展』。話題になりそうな目玉は何?という展覧会が多いなかで、真面目に画家フィンセント・ファン・ゴッホの成り立ちに取り組んだ姿勢に好感が持てました。

ゴッホ展
2020年1月25日(土)~3月29日(日)
兵庫県立美術館

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2020年2月 2日 (日)

ING展?兵庫県の美術作家

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 兵庫県立美術館の王子分館、原田の森ギャラリーで意欲的なグループ展が開かれている。『ING 兵庫県美術作家 2020 展』。たまたま入ったのだけれど、素晴らしいじゃないですか。INGが何を意味するのか、知らないし、説明もない。わかるのは兵庫県に在住するアーティストだということぐらい。

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 基本は平面の作家の集まりのようだ。パンフレットを見ると、皆さんいろんな会派に属している。この展覧会も従来の会派による企画ではなく、もっと自由意思で集まった有志のグループ展。だから展示されている作品からも、創造に懸ける情熱と新しい表現を目指すエネルギーが強く感じられる。とてもいいです。

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 平面のアートと言っても、厳密な意味ではない。立体的な素材で表現した作品もたくさんあるけれど、壁面に展示するということだけがルール? それでも彫刻作品とは明らかに違うからおもしろい。土や木や石などの自然素材を使って物質感を大事にした作品作りをするアーティストが多いのも現代的だ。

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 油彩、日本画、ミクストメディア、コラージュ、針金画、などなど。それぞれのジャンルで伝統的だった画材にとどまらず、あらゆる材質の可能性にチャレンジ。より自由な発想で、誰もやったことがないことを。映像や立体ではできない表現を。中堅の美術家たちがまじめに全力で取り組んだ成果が凝縮されています。

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 山口敏行、おまつ・T、北山義明、初田隆、椿野浩二、宋貴美子、井澤幸三、久米伴香など、32名のアーティストの作品約180点を展示。兵庫にこんなにたくさん有能な作家さんがいらっしゃったとは!うれしい驚きです。もっともっと見る機会が増えたらいいのに。と言いながら、もう終了間近。紹介が遅くてスミマセン。

ING 兵庫県 美術作家 2020 展
2020年1月29日(水)~2月2日(日)
兵庫県立美術館 王子分館
原田の森ギャラリー

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