2018年10月15日 (月)

ガウディが求める光

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 サグラダファミリアの生誕の門は朝日が当たる東に向いている。その東側の壁面は青を基調としたステンドグラスがはまっている。内部の壁や柱や床や天井が青い光に染まって、清新な気持ちに包まれる。

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 西側には受難の門。そちら側の壁面には夕日をイメージした赤を基調としたステンドグラス。十字架を背負い、ゴルゴだの丘へ向かい、磔刑にあうイエスの物語。一日の終わりと人生の終わりが重なる重厚な思いが満ちる。

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 コロニア・グエル教会のステンドグラスはシンプルな花。黄色は十字架を表しているのでしょう。小さな町の小さな礼拝堂にふさわしく、簡素でかわいらしい。半地下の薄暗いスペースにさす光がとても幻想的で、静かに祈りをささげる場を生み出している。

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 住宅建築でも、光に対するこだわりはとても強い。地中海の海をイメージしたとされるカサ・バトリョ。波打つ壁面には海の泡のようなパターンが濃いブルーや淡いブルーで表現されている。見物客は水の中を漂う魚の気分。

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 山の石切り場をイメージしたカサ・ミラには色ガラスは使われていない。でも曲面で構成された壁が彩色されたていたり、微妙なくぼみが作り出す光と影が深みを出したりで、光の効果を最大限に利用している。天才建築家ガウディは、光の扱いも天才でした。

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2018年10月12日 (金)

コロニア・グエル教会から始まった

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 バルセロナから電車で30分ぐらい郊外へ。コロニア・グエルという町がある。ガウディはここの教会の設計のために、あの有名な逆さ吊り実験をおこなった。それが後のサグラダファミリアにつながることになる。これがガウディの最高傑作!と言う人もいるそうだ。
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 コロニア・グエル教会。スケールや素材はまったく違うけれど、受ける印象がサグラダファミリアにとてもよく似ている。アーチ状の天井の梁、斜めに林立する柱。重量を支える構造がそのまま見えて、しかも美しい。

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 この建物は本来は二層構造になる予定が、ガウディがサグラダファミリアに専念することになり、上層部が作られなかった。礼拝堂として使われている部分は、半地下の穴倉のような空間。だから外観も建設途中の現場が廃墟になったのかのよう。

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 このコロニア・グエルの町はグエル氏が経営する繊維工場を中心として、働く人たちの住宅や商店、公園、そして教会などを整備したいわば理想都市。100年ほど前のモデルニスモの建物で統一されていて、そのまま時が止まったような、おだやかな美しさに満ちている。

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 使われている建築材も石やレンガ。外壁の色も茶色やベージュやレンガ色。装飾もモデルニスモの時代に使われたスタイル。小さな町だけれど、バルもあるし広場もあるし学校もあるし、住むには十分だ。通りすがりの私たちにとっても、ほんとうに居心地がいい町でした。

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2018年10月 8日 (月)

サグラダファニリアの進展状況

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 ガウディ没後100年の2026年完成予定、と聞いてもまだホントかなと半信半疑だったのが5年前。それが3年前には見違えるように工事が進んでいて、今回ハッキリと確信に変わりました。この加速度的な工事のスピードアップは驚くべきものです。

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 後陣のマリアの塔はすでに高さ130mの半分ほどが姿を現している。北側に回り込むと、すでにある塔とは全く違う圧倒的なボリュームに、驚かされます。高さ172.5mになるイエスの塔も、見えないけれど基部の建設はもう始まっているそうだ。

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 いちばん高く、いちばん大きくそびえる予定の主塔イエスの塔を囲むように作られる4本の塔。これらはそれぞれマタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの4人の福音書記者を表すのですが、工事中の下部が少しずつ見えてきている。

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 12使徒を表す鐘楼は、いちばん早く完成した誕生の門の4本と西側の受難の門の4本ができている。しかし正門となる南側の栄光の門、こちらは4本の塔はもちろん、ファサードの大まかな姿すらわからない。今はガラスの大きな壁面が見えるのみ。とても違和感があるが、これは仮の姿。

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 生誕の門と受難の門の鐘楼は、98mを左右に、107mの2本が中側に立っている。だから現在目にすることができる高い塔は、この107mのもの。2026年の完成時には想像を絶する建造物が出現するのは間違いない。あと8年しかないのだけど、ほんとうに凄いのはこれからだ。

 

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2017年6月29日 (木)

ジャパングラフ、7号は沖縄

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 全国の47都道府県をひとつずつ取り上げ、その土地の風土や固有の文化を美しい写真と文章で紹介する『JAPANGRAHP』。写真家の森善之さんが中心になって株式会社七雲から発行されている。急速に画一化が進むなか、いま残さなければ消えてなくなるかもしれないモノやコト、景観や祭礼や風習を丁寧に取材。それらを一冊の本にまとめるという、とても意義のある活動だ。そしてこのたび7号沖縄編が出版され、その出版記念展が開催されている。

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 沖縄県はとても広い。今回の取材でも、本島以外に伊江島や平安座島、久高島、宮古島や石垣島、鳩間島や与那国島、波照間島、南大東島などの島々をアーティストたちが訪れている。そこで彼らが見て記録した神事や生活習慣は、大きな海に隔てられているせいか、それぞれ独特の姿がある。神話と伝承。自然と人間の融合。先祖の魂と現代の子供たちとの交流。観光客の目では触れられない、奥深い歴史と真実の暮らしが、すごく魅力的に映る。

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 ネット上にはさまざまな情報があふれ、もはや手に入らない知識や知見はない、という便利な時代になりました。でも、だからこそ、しっかりした目で編集しパッケージされたジャパングラフのような本が、ますます存在価値を高めてくると思う。まだ7号、47すべてを出し終えるまで、ぜひがんばっていただきたいと思います。

coffee books gallery iTohen
6月21日(水)~7月2日(日)
大阪市北区本庄西2-14-18 富士ビル1F

books & folkart ナナクモ
6月23日(金)~7月2日(日)
京都府宇治市宇治妙楽144

平敷兼七ギャラリー
7月5日(水)~7月17日(月)
沖縄県浦添市城間1-38-6

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2017年4月12日 (水)

醤油の街の行灯アート

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 白壁の土蔵、ベンガラ格子・・・歴史的な美しい街並みが残る和歌山県の湯浅町は、醤油発祥の地として知られている。鎌倉時代の高僧・覚心(法燈国師)が宋にわたり禅宗の修行を重ね、建長6年(1254)紀州由良の興国寺に帰ったとき、彼の地で覚えて来た加工味噌の醸造法を伝えたのが、金山寺味噌だそうです。それからまもなく、味噌づくりの職人が桶に赤褐色の汁が溜まることに気づいたのが、醤油の始まりと考えられている。

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 湯浅の港から船積みされて大坂や江戸に運ばれた醤油は評判を呼び、やがて日本各地に製造法が広まったという。江戸時代の文化年間(1804~1818)には1000戸の湯浅に92軒もの醤油屋があり繁栄を極めた。いまも1年以上かけてじっくり仕込む伝統的な製造方法で醸造している醸造業者が数軒残っているそうだ。

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 そんな湯浅の街で「第11回 ゆあさ行灯アート展」が4月29日から5月3日まで開催される。16世紀末ごろに開発された伝統的建造物保存地区、北町・北浜町・北中町・北鍛冶町の小路に展示される『行灯』作品の数々。きっとあたたかい光でおもむきある街並みを浮かび上がらせてくれることでしょう。

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 公募で集まったもののうち、受賞したいくつかの作品は北町ふれあいギャラリーでいま観ることができる。素材は木や竹、針金や紙。装飾的なモノからミニマルなデザインまで、自由に、独創的に、灯りの芸術づくりを楽しんでいる。カタチも素材もさまざまだけど、『行灯』は紙などを通してのいわば間接光なので、ギラギラしたまぶしさはない。とても目にやさしいのだ。街がもっと暗かった時代、もっと情感のあるなまめかしい夜があった時代を思い起こさせます。

ゆあさ行灯アート展
 

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2017年2月12日 (日)

ミュージアムロードを歩く

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 兵庫県立美術館から山手へ、BBプラザ美術館を通りJR灘駅を抜けて、横尾忠則現代美術館や原田の森ギャラリーがある王子公園までの道を、ミュージアムロードと呼んでいる。10年ほど前からだと思う。いやもっと前かな。沿道にはさまざまなアーティストのモニュメントが設置されているが、街を歩く人はあまり気付いていないようだ。それらの中から代表的な二つを紹介しましょう。

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 まず県立美術館の海側に、ヤノベケンジの高さ6.1mの少女像「Sun Sister」が海に向かって立っている。阪神・淡路大震災から20年後の2015年に設置された。手には希望の象徴としての「輝く太陽」を持ち、大地にすっくと立っている。ヤノベの代表作「トラやん」の娘のようだ。コスチュームはまわりの光や風景を映しこんで、ピカピカと輝いている。愛称は公募で「なぎさ」ちゃんに決まったそうだ。

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 もう一つはミュージアムロードの歩道に設置された椿昇の「PEASE CRACKER」。高さ4m、長さ8m、緑と赤のコントラストが強烈なオブジェです。サヤエンドウの怪獣か?宇宙からやって来たモンスターか? 足元には豆のカタチをしたベンチが。座れるんです。作品名のPEASEは、豆を意味する「PEAS」と平和を意味する「PEACE」をかけた造語。平和の破壊者を創り出して、逆説的に平和への願いを表現しているのでしょう。

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 県立美術館の屋根には巨大な「美かえる(ミカエル)」が乗っているし、阪神電車の岩屋駅はミカエル模様の派手なペインティングが施してあるし。ほかにも新宮晋や元永定正、渡辺豊重や中岡慎太郎の立体作品も見られるミュージアムロード。もう少し気候が良くなったら、ぜひ歩いてみてください。まだまだ新しい発見があるかもしれません。

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2016年12月 7日 (水)

20年目、フェリシモの贈り物

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 年末恒例、フェリシモのハッピートイズプロジェクトは今年で20年目。世界のこどもたちに手作りのぬいぐるみを贈るこのプロジェクト、今年のテーマは「のびのび生きよう」、キャラクターは「しなやかネコちゃん」です。着られなくなった服や残った布地や毛糸で作られた、世界でたったひとつのぬいぐるみ。今年も全国から多くの作品が寄せられました。そしてクリスマスシーズンのいま、三宮の朝日ビルの1階で展示されています。

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 毛糸の編み物あり、和服生地のパッチワークあり、古布の縫い合わせあり、と素材も手法もさまざまです。でもそれらどの作品からも、自分独自のアイデアをカタチにしたいという情熱と、これを手にした子を喜ばせてあげたいという愛情、作り手の純粋な想いが伝わってきて気持ちいい。まさに「あなたの手づくりは世界中のこどもたちを笑顔にしてゆく」というコンセプト通りです。

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 これまで世界57の国と地域へ、51,000体以上のぬいぐるみが贈られているそうです。こどもの施設や病院、難民キャンプなどで笑顔の輪を広げています。たくさんの人の優しい気持ちをちゃんと届ける仕組み、誰もが気軽に参加できるシステムづくり。とても素晴らしいプロジェクトだと思います。ほかの企業も、掛け声だけではなくこんな地に足がついた社会貢献をしてもらいたいものですね。

FELISSIMO HAPPY TOYS PROJECT

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2016年5月28日 (土)

METのロベルト・デヴェリュー

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 NYメトロポリタン歌劇場のライブビューイング。ドニゼッティの歴史劇「ロベルト・デヴェリュー」を観ました。これは2016年4月16日に上演されたもの。マウリッツィオ・ベニーニ指揮、デイヴィッド・マクヴィカー演出で、若い恋人の裏切りに怒り狂うエリザベス1世の苦悩と悲しみを柱に、愛、友情、嫉妬、忠誠心、貞節などをテーマにドラマチックに進行する。

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 新演出ということらしいが、劇中劇のカタチを取っているのが面白い。当時の宮廷人たちが観客となり、ひそひそしゃべったり演技に反応したり、話の展開に一喜一憂している。そんな舞台を私たちが見ているのだ。じっさい昔も今も民衆は有名人のスキャンダルを覗き見するのが大好きだ。なにしろエリザベス女王は一生独身だったから、特に興味津々だったのでしょう。

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 69歳で亡くなる年老いた女王の晩年を、ソプラノのソンドラ・ラドヴァノフスキーが見事に演じている。激しい嫉妬、すさまじい怒り、権力者にもかかわらずそして年齢にもかかわらず滲み出るいじらしい恋心・・・難しい役をベルカント唱法の驚異的な歌声と真に迫る演技力で表現しています。一世一代のステージだったかもしれない。

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 女王以外のキャストも素晴らしい。ロベルト・デヴェリュー役のマシュー・ポレンザーニ(テノール)、サラ/ノッティンガム侯爵夫人役のエリーナ・ガランチャ(メゾソプラノ)、ノッティンガム侯爵役のマリウシュ・クヴィエチェン(バリトン)。さすがに世界最高峰のMETです。終わっても立ち上がれないほどの感動。もちろんニューヨークの観衆はスタンディングオベーションで、カーテンコール鳴りやまず。これは本当に歴史的名演だったのではないかと思いました。

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2016年4月29日 (金)

ウフィッティの中庭に植え込みが!

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 ウフィッティ美術館もパリのテロ以来、軍隊が出て警備をしている。以前からポリツィアという市警察とカラビニエリという国家警察が、ドゥオーモやシニョーリア広場、駅などを警備してしていたが、自動小銃を構えた兵士が加わって少し物々しくなっている。かといって街を歩く観光客や物売りが硬い表情をしているわけではない。普段と変わりなくリラックスして美しい街を楽しんでいる。

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 ウフィッティで軍車両を止めた先を通行止めにして、何をしているのかと思ったら、さまざまな樹木や草花を持ち込んで簡易版の西洋庭園を造っていた。大きさもいろいろな黒いビニールの鉢植えや天然芝をロールにしたものを運び入れ、クレーン車も使って作業している。なにしろ土がないところに庭を造るのだから、大変でしょう。ガーディナーの腕の見せ所です。

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 石畳の中庭を石造りの建物がコの字型に取り囲んだ冷たい空間。ちょっと緑が入るだけでイメージがガラッと変わる。たぶん期間限定の企画でしょうが、目も癒されてホッとする。ここウフィッティ美術館の宝であるボッティチェッリ作「プリマヴェーラ」に描かれたのと同じ花々も、500年以上の時を隔てて植えられているのでしょう。

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 2日後に見に行くと、通行止めの柵は取り払われていて皆さん自由にグリーンを楽しんでおられる。そして設置された説明ボードを見ると"vannucci piante(という団体?あるいは運動?)"と書いてある。MORE PLANTS MORE LIFE 暮らしにもっと緑を、と活動しているようだ。いつもよりちょっと柔和になったスペースは、しばらく市民や観光客の目をいやしてくれることでしょう。

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2015年11月25日 (水)

平等院のライトアップ

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 10円玉の裏のレリーフで有名な宇治の平等院鳳凰堂。そのライトアップを観に行ってきました。関白藤原頼通によってこの寺が創建された平安時代(1052年)は、地震や飢饉、疫病や戦争などが続いたこともあり、極楽往生を願う浄土信仰が広く流行した時代。だから、この世に極楽を現出するのが建立の目的。優雅で美しくなければならないのです。極楽が汚く醜くつまらなく見えたら、大失敗ですからね。平安貴族の財力と信仰心と美意識が、ここに凝縮されています。

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 今回行ってみて初めて知ったのですが、ここのライトアップは明るさが変化するのですね。あら、暗くなった、まさか停電じゃぁ、なんて心配したけれど、照明が落ちた夜景がこれまた素晴らしい。最高峰の仏師定朝によって制作された、本尊の阿弥陀如来座像がくっきりと浮かび上がり、とても厳かでありがたく感じる。あ、全体に暗くなるのじゃなくて、堂内はそのまま照明されているんです、もちろん。前の池に映る姿も計算済み。なにげに見えてじつはとても完成度の高いライトアップ技術だと思います。

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 じゃあ明と暗の中くらいなら、どうでしょうか。これはこれで素晴らしい。屋根の上の鳳凰がフォーカスされて見えるんです。黄金色に輝いている様子が、よく目立つ。(この鳳凰は一万円札の裏面にアップで載っていますね) ちょっとした照明の違いによって、ずいぶん印象が変わるものだ。そのへんは照明デザイナーの腕の見せ所か。ただ明るく照らすだけではおもしろくない。ここの場合は極楽浄土を人々に感じさせるのに、1分暗く、5分明るく、といった具合に明るさを変えて単調になるのを防いでいる。
 全体像を鑑賞する、本尊の阿弥陀如来を拝む、建築の輪郭と屋根の鳳凰を愛でる。まさに極楽ゴクラク。

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