コロナの時代をどう生きるか
1982年トリノ生まれ。イタリアを代表する作家で素粒子物理学者でもあるパオロ・ジョルダーノが、2月末から3月20日にかけて母国の混乱の中で書き記したエッセイ集が世界27ヵ国で緊急出版されることになった。日本では『コロナの時代の僕ら』(早川書房 飯田亮介訳)というタイトルで4月25日に刊行される予定です。それに先立ち、4月10日19時から24時間限定で全文が公開されました。27篇の興味深いエッセイと示唆に富んだあとがきが、しかも無料で。著者にも出版社にも感謝です! これを読むチャンスがなかった方は、本が出たらぜひ世界の知性の考えをお読みください。
科学者らしい論理的な思考で、しかもやさしい言葉で話を進めるからとても説得力がある。ウイルスは僕らの個性に対し何の関心も持っていないという事実。年齢、性別、国籍、階級、貧富の差など意味はないのだ。他人事と思っていた市民、決断力のない行政、見解が相違する専門家。そのそれぞれが互いに不信感をいだき悪循環に陥る。デマは感染症のように広まる。どれも納得のいくことばかり。そして新型コロナウイルスの流行は一つの症状にすぎず、本当の感染は地球全体の生態系レベルで起きているという。
何より大切なのは、この感染症が終息した後の世界を考えておくことだと彼は言う。コロナ前とコロナ後、世界は変わっているはずだ。この経験を忘れず、次に起こるかもしれない「まさかの事態」を想像しておこう。もう二度と不意を突かれないために。
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