横尾忠則ワンダーランド
ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』になぞらえた、横尾さんの展覧会『Yokoo in Wonderland 横尾忠則の不思議の国』が開催されています。アリスがウサギ穴から落ちて冒険が始まるように、会場の入り口に掲げられた作品の穴から入り込む。そこには洞窟があり、地底王国があり、海中や宇宙まで不思議ワールドが広がる。
横尾さんが少年時代に胸ときめかせた異空間。まだ「少年サンデー」や「少年マガジン」が発行される前、「少年画報」などの月刊漫画誌が全盛時代のイメージが会場にあふれる。ターザンやUFO、深海の魚や怪人、死体や裸体。古代神話や異国の聖人、流れる血、ドキドキするエロス。イケないもの見たさが発露している。
いまよりもっと情報が少ない時代。しかももっと子どもの目に触れさせない社会。そんな時代に育った横尾少年は、こっそり見る。隠れて見る。どこか犯罪者的な意識を抱えながらも、我慢するにはあまりにも魅力的な背徳の世界。そんな遠い日々の思考や妄想をみずみずしい感覚で描く、私小説的な絵画世界は妖しく美しい。
キャンヴァスに何十本もの骨が貼り付けられた『Swan Lake』をはじめ、『黄色い死者』や「死者の誕生』。繰り返し現れる三島由紀夫や首吊りのモチーフなど、死の幻影と死後のイメージがあふれる。精神世界への傾倒、宗教への関心。ヨコオワールドの根底には生と死が織りなす不思議があると思いますが、いかがでしょうか。
静止した絵画世界に動画の要素を取り入れたテクナメーションという技法・装置を使った12点の連作が、暗く照明を落とした一部屋を占めている。テクノロジー+アニメーションの造語で、裏から光を当てて透過光で作品を観る仕掛け。その絵の中で、例えば滝はとめどなく流れ落ちる。好奇心旺盛な横尾さんらしい取り組みだ。
Yokoo in Wonderland
横尾忠則の不思議の国
2023年9月16日(日)~12月24日(日)
Y+T MOCA
横尾忠則現代美術館
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