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2023年10月

2023年10月19日 (木)

森林植物園のLEDトンネル

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 神戸森林植物園の青葉トンネルがLED照明でライトアップされていると聞いて、見に行きました。147haという広大な面積の森林植物園。その南西にあたる日本針葉樹林区にある長さ90mの青葉トンネル。暑い夏の日でも中は冷んやり、汗がすっと引いて心地いい場所です。鮮やかな色の光が次々に変わって幻想的かつ未来的。

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 森林の四季彩( mori no iro )と名付けられているそうで、季節ごとに7パターンの色合い + オーロラや虹のイメージがトンネルの内壁を彩る。手前から奥へ、向こうからこちらへ、光の帯が動いてきて飽きさせません。内部にベンチも置いてあり、座ってじっくり楽しむ人もいます。あふれる自然の中の人工。これもまた良いと思う。

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 六甲山や園内の季節の展示や標本がある森林展示館。正門を入ってすぐのところにあります。そこの吹き抜け空間にドーンとジャイアントセコイアの輪切りが。これは樹齢2000年と案内板に書いてある。直径5.4m、厚さ1m、重さ17トン。ここのシンボルで記念写真の名所だ。2階の床よりはるかに高いのがわかるでしょうか。

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 ジャイアントセコイアはアメリカの西海岸、シェラネバダ山脈の西斜面に生育するヒノキ科の巨木の愛称。日本ではセコイアオスギが正式名だそうです。大木の幹をくり抜いたところに道路があり、クルマが通っている写真を見たことはありませんか。高さ110mにも育つという、この木のことだったのですね。はい、デカかったです。

神戸市立森林植物園
9時~17時 水曜休園

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2023年10月15日 (日)

小便小僧と標高線

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 前回に続き、六甲高山植物園で観られるミーツアートの作品をご紹介。「あれ、天覧台のキジが!」 池のそば、白とピンクの物体の上に、たしかに羽を広げたキジがいる。前に回ると、、、植物園の奥に立っている小便小僧だ。逆立ちをしているが、勢いよく小便を出している。これは北浦和也の作品『Picnic on Circle Circus』。

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 六甲山にある3つのモニュメントを集めてコラージュした立体作品。ピンクのは「六甲山美化協力会」のキャラクターだそうだ。この地ゆかりのモチーフを集合させ、六甲山の土や水、空気や匂いを感じながらピクニックをするような作品を制作しました、と作家は言っています。1ヵ所でいろいろ巡った気分になる、かな?

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 鮫島弓起雄の『山を解く』もユニークな作品だ。カラマツ林の中に張りめぐらされた黒い帯、じつは標高(メートル)を表している。左に「822」、真ん中奥に「824」という数字が見えますか。地図なら等高線にあたります。きわめて哲学的。ちなみにJR六甲道駅は25m、六甲ケーブル下駅は250mらしい。山を実感できたでしょうか。

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 もうひとつ、柴田まお『Camouflage Print』をどうぞ。ん?どれが作品?と迷わせる、緑の中のフェイクの緑。陽光が透ける美しい広葉樹の葉っぱの写真を、厚さ20cmほどのボードに張り付けている。いろんなカタチの木、でも幹や枝まですべて同じ葉っぱの写真。面白い。観念としての木。背景の木々が紅葉したらどう見えるかな?

六甲ミーツ・アート
芸術散歩2023 beyond
2023年8月26日(土)~11月23日(木・祝)

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2023年10月11日 (水)

映る、透ける、歪む

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 透明な球?凸レンズ? 光を感じる物体が約700個、白いワイヤーで作られた棚にびっしりと並ぶ。六甲高山植物園のカラマツ林の中に設置された加藤美沙さんの作品『溢れる』がおもしろい。ジャングルジムのように組まれたワイヤー棚に、透明な球がはめ込まれているのだ。美しく、涼しげで、宙に浮かびそうな軽やかさ。 

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 近づくと向こうに透けて見える青空。上下左右が反転して映り込む周りの風景。輝き、歪み、重なり、隙間からのぞく実際の情景と響きあう。光あふれる多重ワールド。ウーム。よく見るとワイヤーの格子が食い込んでいる。透明だけど、ガラスやアクリルのような硬い素材ではなさそう。「触ってみてください、どうぞ」と声が聞こえた。

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 ちょうど作家の加藤さんがメンテナンスに来ていたのだ。触るとプニュプニュ。赤ちゃんの肌のように弾力がある。意外な感触に「えっ、素材は何だろう?」と驚いていると、加藤さんはポケットから円形のビニール袋を取り出した。「これです。透明度が高く、強度もある。市販品ですよ」 これにポンプで水を詰めてきつく縛ると言う。

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 「朝一番にここへ来ると、夜露で真っ白になっているんですよ。すりガラスのように全体が輝いて」と加藤さんは言っていました。さぞ幻想的なんだろうな。作品の案内ボードを見ると、手のひらにOKと書かれたマークと、「作品に触れられます」という文言が。いい試みだと思います。触って初めてわかる面白さもありますからね。

六甲ミーツ・アート
芸術散歩2023  beyond
2023年8月26日(土)~11月23日(木・祝)

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2023年10月 3日 (火)

モアレにクラクラ

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 見事な、と感嘆するべきか。うっとうしい、と呪うべきか。目を上げればすぐそこにモアレが見える。住んでいる集合住宅の大規模補修工事が、ついに始まりました。これから二カ月近く、この状態が続くことになります。膜で覆われて視界が遮られる。いつも工事の騒音が聞こえる。洗濯物をベランダで干せない。などなど。

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 外壁の外に組まれたパイプの足場。モノの落下防止や目隠しのために張られた黒いネット。晴れた昼間も薄暗くて、気分がすっきりしないのは難点なのですが、じつはこのモアレ、なかなかのアートなのです。ネットが風に揺れると、次々に予期せぬパターンが現れる。ネットを通して見る景色は、いつもと違って新鮮な感じ。

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 またの名を縞干渉というモアレの正体とは? 細かい縞など規則正しい繰り返し模様を複数重ね合わせたときに、それらの周期のズレにより発生する「不快な」杢目模様のこと。TVは走査線による干渉が、印刷では網点による干渉がしばしば起こる。業界ではモアレが出ないように、衣装や背景にずいぶん気を使ったものです。

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 もともとアラビア語/ペルシャ語で毛織物の衣料を意味した言葉。「Moire 」 TV界や写真会では細ストライプやヘリンボーンの服はご法度でした。でも、この度モアレの面白さ、美しさに目覚めました。ゴッホ顔負けの荒々しいタッチ。ムンクもびっくりの不気味なパターン。うまく活用したらすごいアート作品が生まれるかもね。

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