恒例のボローニャ絵本原画展
西宮市大谷記念美術館で、毎年恒例のボローニャ国際絵本原画展が開催されています。世界で唯一の子どもの本専門の国際見本市「ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェア」は、1964年に始まり今年で60回目を迎えました。また、このブックフェアでは絵本原画のコンクールが行われており、世界各地の作家が応募している。
今年は91カ国・地域から4,345組の応募があり、日本人5人を含む27カ国の79作家が入選を果たしたそうです。その全入選作品が一堂に会する展覧会がこれ。テーマや色の使い方に、それぞれの国の歴史や文化が現れていてとても興味深い。たとえば動物を主人公にしたお話は多いけれど、その捉え方は実にさまざまです。
戦時下の市民生活を描いたウクライナからの作品。ブラジル人作家が写真と刺繡を駆使して水兵を描いた独創的な作品。日本人作家のシャープで力強い切り絵作品などなど。「へえ~、こんな手法があるのか、こんな発想どこから出るんだろう」と驚かされることばかり。毎年この展覧会が来るのを楽しみに待っています。
デジタル技術が飛躍的に進化した現在、技法的には「ミクストメディア」と紹介された作品が多い。だから逆にコラージュや刺繍など、手による作業が見える作品が目立ちます。完成形の絵本になってしまうとわかりにくいのでしょうが、これは原画展なのでアーティストの息づかいまで閉じ込められたかのような濃密な「気」を感じる。
アーティストはやりたいことを自由に、そして実験的に行っている感じ。でも子どものための絵本というのはすごく難しい。言葉の助けを極力少なくして表現しなくてはならないからだ。しかも子どもは感受性が豊かで鋭い批評家。気に入らなければ容赦なくスルーする。でも良いものはちゃんと伝わります。いままでも、これからも。
2023 イタリア ボローニャ
国際絵本原画展
2023年8月19日(土)~10月9日(月・祝)
西宮市大谷記念美術館
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