愛を求めたエルトン・ジョン
セラピーで語るつらい少年時代から、物語は始まる。母から嫌われ、父から捨てられ、いくら愛を求めても得られない内気な少年、レジー・ドワイト。ただ音楽の才能だけは並外れてスゴかった。やがてロックに傾倒し、プロのミュージシャンを目指す決意をしたレジーは「エルトン・ジョン」という新たな名前で音楽活動を始める。
映画『ボヘミアン・ラプソディ』を完成させたデクスター・フレッチャーが監督した『ロケットマン』は、エルトン・ジョンの栄光と苦悩に満ちた半生を描く。本人も製作総指揮に名を連ね、エンディングで流れるこの映画のために書き下ろした新曲「(アイム・ゴナ)ラヴ・ミー・アゲイン」は、第92回アカデミー賞主題歌賞に輝きました。
一度チャンスをつかんだ彼は、とんとん拍子で世界のスーパースターへと駆け上がる。天から与えられた作曲の才能と運命的に出会ったバーニーの作詞。奇抜なコスチューム&ど派手なパフォーマンス。しかし向かうところ敵なしのエルトン・ジョンにも、いくつもの苦難が忍び寄ってくる。天才が堕ちていくのを見るのはつらいけど。
アルコール、薬物、セックスへの依存。有名になり、富豪になっても、誰からも愛されない孤独。ゲイであること、そして自殺未遂。グループセラピーでの告白と回想で進むクレイジーな生きざまを、ミュージカル仕立てにしたユニークな演出。各場面に応じて散りばめられる大ヒット曲の数々。フレッチャー監督の手腕が光ります。
そして自分自身で立ち上がり、立ち直り、本当の自分を取り戻していく。子ども時代のレジーをエルトンが抱きしめる感動のラストシーンへ。やっと素直に自分を愛せたのだ。そして、しらふで音楽を作れるのか不安を抱いていた彼は、力強く前向きな歌を作曲する。生きる意味を教えてくれる愛を求めたエルトン・ジョンの半生でした。
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