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2023年7月13日 (木)

野又 穫を知ってますか?

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 見たことがあるようだけど、ありえない建造物。独特な存在感を放つ不思議な風景。壮大な妄想を描いただけに見えるけど、どこか懐かしい気持ちにさせられる。東京オペラシティで野又穫の絵画を初めて見て、衝撃を受けました。子どものころ、本で読んだヨーロッパの遊園地を空想して遊んだ感覚が、突然よみがえったのです。

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 『野又穫 Continuum 創造の語彙』という展覧会が、いま開催中です。過去なのか、未來なのか。むしろ時も場所も超越したイメージ。人の姿は一切描かれていないけれど、建造物は人の営みの結果に違いない。もしかしたら地球人じゃない人かもしれないけれど、とふと思う。無機的。白昼夢。とてもシュールな世界です。

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 目覚めたら、時間が止まっていた。車や電車はそのままの場所にあるのに、運転手も乗客も消えてしまっている。この世界から人間も動物もいなくなったのだ。自分一人を除いて。かつてSF小説で読んだ記憶がありますが、そんな感じ。的確な描写力で、微細に、具体的に、描き込まれれば描き込まれるほど現実から遊離する。

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 そこに描かれた事物の一つ一つは、意味ある建造物や自然の雲や木々。しかし総体として表現されているのは、意味を超越したフィクションあるいはフェイクの風景。空想の中でのみ存在できるイメージだ。いろんな意味が集まって無意味を産む。なんか哲学的になってしまったが、繋がりがない意味は宙に浮いてしまうのでしょう。

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 作品タイトルも『来るべき場所』や『境景』、『世界の外に立つ世界』や『内なる眺め』など、謎めいた言葉がちりばめられている。野又 穫というアーティストがどんな世界観を持っているのか、とても興味がわきます。彼だけのイメージの王国を創造し、そこで王あるいは神として君臨する。他の何人も入り込めない王国の主。

野又 穫
Continuum 創造の語彙
2023年7月6日(木)~9月24日(日)
東京オペラシティ アートギャラリー

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