天国を信じますか
「天国に行ってきた」「天使を見た」 こんな話を聞いた人の反応は、何をたわごとを、寝ぼけているのか、大ボラ吹きめが、といったところでしょうか。あるいは、ウサン臭い新興宗教の勧誘を疑うか。ランダル・ウォレス監督の映画『天国はほんとうにある』(Heaven is for Real)は、実話に基づいたベストセラーの映画化です。
のどかな田園風景が広がる、ネブラスカ州の田舎町インペリアル。妻や幼い子どもたちと幸せに暮らすトッドは、小さな修理会社を営み、教会の牧師も務めている。市の消防隊員や高校のレスリング部のコーチもやっているため、多忙な毎日。ただし、人の好い彼はしっかり修理代をとれないため、家計はいつも火の車。
ある日息子のコルトンが虫垂炎の悪化で緊急入院。生死の境をさまよいながら、懸命の手術で奇跡的に一命をとりとめる。回復したあと、自分の手術の様子を上のほうから見ていた、とか。手術のときパパは神さまに怒っていた、とか。ママが知り合いに祈ってくれと電話していた、とか。見たはずのないことを次々と話し始める。
4歳の息子の無邪気な言葉に混乱するトッド。さらにコルトンは「天国へ行って神さまに会ったよ。キレイなところだった」と言う。そんな出来事を妻に伝えても、まともに取り合ってもらえない。臨死体験を研究する大学教授や精神科医に相談に行くも、納得できる答えが見つからない。科学が進歩した現代。どう考えたらいいのか。
確信に変わったのは、コルトンがおじいさんに会った話をした時。自分が生まれるずっと前に亡くなっている祖父を、多くの人の写真からピタッと「この人だよ」と言い当てたのだ。「天国でもう一人の姉ちゃんに会ったよ」と聞いた妻は、以前に流産した娘を想い涙を流す。幼い子どもにこんなウソはつけない。奇跡は起こったのだ。
奇跡を信じることにより、生き方を変えていく夫婦の姿が描かれる。映画の冒頭とラストに、キリストの肖像画を描くリトアニアに住む少女のニュースが出てくる。その絵を見たコルトンが、「ボクが出会った神さまはこの人だ」とつぶやく。実話に基づくお話、ということなのだけれど。信じる、信じないはあなたの自由です。
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 漫画家の世界と殺人鬼の世界(2023.09.06)
- OLの世界は力が全てだ(2023.09.01)
- ゾンビになるまでに?(2023.08.28)
- サバカンを見ると思い出す(2023.08.24)
コメント