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2023年4月23日 (日)

クレー、マティス、ジャコメッティ

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 国立国際美術館で開催中の『ピカソとその時代』展。ベルリン国立ベルクグリューン美術館が所蔵するコレクションから厳選した97点に、日本の国立美術館が所蔵・寄託作品11点を加えた濃い内容の展覧会です。ピカソを中心に、関係の深いクレー、マティス、ジャコメッティという20世紀を代表するアーティストの作品で構成。

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 ベルクグリューンはベルリンで生まれ、アメリカで美術館勤務や評論、第二次大戦後パリで画廊を経営し世界的な画商となる。彼は敬愛する少数のアーティストの作品収集に打ち込み、美術史的にも価値の高い個性豊かなコレクションを作り上げました。それを基盤とする美術館が主要作品を初めて国外で展示する展覧会です。

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 涼やかな色彩や理知的な構図で、日本にもファンが多いパウル・クレーの絵画が34点。さすがバウハウスの教授をやっていた彼らしい。作品タイトルも「夢の都市」「塔の理念」「小さな城」など、建築的な興味が強くうかがえる。このクレー、画風は違うけれどピカソの挑戦に同時代でもっとも理解の深いアーティストだったそうです。

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 ピカソと並ぶ20世紀の巨匠、アンリ・マティス。「窓は内部と外部をつなぐ重要なモティーフ」と彼自身が語っているように、窓から外の風景が見える室内画を繰り返し手がけている。静と動。安息と活力。対照的な性質を入れ込みながら、対立させず上手にバランスをとり深化させる、触媒のような働きが窓だったのかもしれない。

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 手びねりで作ったような極端に細長い人体像は、一目でジャコメッティとわかりますね。すっくと立つ、悠然と歩く、特徴的な彼の彫刻。まるで一人で世界に立ち向かうかのような強い気概を感じます。この展覧会では「広場 Ⅱ」という群像作品も展示されていた。彼の別の一面を表していて面白い。充実の展覧会でした。

ピカソとその時代
ベルリン国立ベルクグリューン美術館展
2023年2月4日(土)~5月21日(日)
国立国際美術館

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