新時代のアート鑑賞体験
花が舞い、星が瞬き、カラスが飛び回る。兵庫県立美術館で開催されている『ゴッホ・アライブ』展は、ゴッホに「チームラボ」が乗り移ったかのような、圧倒的なアート鑑賞体験でした。写真撮影はダメ、近づき過ぎたらダメ、しゃべったらダメ。こんな何かと規制の多いストイックな美術展とは一線を画す、新しいアートの楽しみ方です。
40台の高精細プロジェクターによって、周りの壁や床に次々と映し出される3,000点以上の作品画像。うまく動画として天井の高い広い空間で、観客はどこでも好きな場所で楽しめる。まるでゴッホの作品世界へ入り込んだような異次元の感覚。観る向きを変えたり、座り込んだり、歩きながらもOK。自由に没入できるのです。
そしてヴィヴァルディに始まり、シューベルト、エリック・サティ、サン=サーンスなどの名曲がシーンごとに適確に選ばれ、映画館クラスのサラウンド音響で見事な映像に寄り添っている。みんなスマホ片手に写真や動画の撮影。子どもから年配の方まで、感動と充実の表情です。そう、シルク・ド・ソレイユの公演会場みたい。
くすんだ大地の色で描いていたオランダから、パリへ、南仏へと移動するにつれて、光は輝きを増し、色彩はより明るくなる。わずか10年間の活動で、930点の油彩と1100点の素描とスケッチを生み出したゴッホ。これほど大量の作品を残したのに、存命中に売れたのはごくわずか。そんな彼を新たな手法で表現するのが本展です。
ブルース・ピーターソン率いる Grande Experiennces によって創り出された美術エンターテインメント、『 Van Gogh Alive 』。世界を巡回して850万人以上を感動させた、五感で体験する没入型の展覧会。日本では名古屋会場に続き、「ゴッホの世界に飛び込め!」というキャッチフレーズで、いま神戸会場で開催中です。
ゴッホ アライブ
2023年3月18日(土)~6月4日(日)
兵庫県立美術館
ギャラリー棟3階ギャラリー
| 固定リンク
「展覧会情報[2023]」カテゴリの記事
- 堀尾貞治の千点絵画(2023.11.24)
- 白い祈りの壁(2023.11.21)
- 鏡の国の横尾忠則(2023.11.08)
- 横尾忠則ワンダーランド(2023.11.04)
- ひびのこづえ、夢の世界(2023.09.28)
コメント