横尾忠則の面白さとは
横尾忠則はいろんな技法、いろんな画風、いろんな素材、いろんなテーマに、次々とチャレンジしては私たちに見せてくれる。こんな作家は過去にいなかった。「福笑いはキュビズムの原点。」という張り紙。「絵と文字を同質に!」という張り紙。横尾さんらしい芸術論だ。権威におもねず、自由に越境しながら創作を楽しむ姿勢。
『涅槃像一式』が面白い。釈迦涅槃像の周りをカエルやアザラシ、クマのプーさんやロナルドダック、ベティちゃんやマリリン・モンローなど600体。ありとあらゆる涅槃ポーズのグッズが集められている。作家自身のコレクションだそうだが、行く先々で気にかけ手に入れてきたのでしょう。観光絵葉書のコレクションも有名ですね。
「ART」の立体落書きボードがありました。これは2013年の展覧会で、来場者が思い思いに絵や文字を書き込んだオブジェ。色も大きさも自由気ままに書いている。さすが横尾さんのファン。ほかの作家の展覧会では、こんなに楽し気には書かないでしょう。なんでも面白がって作品化する彼の面目躍如。これぞヨコオマジック。
横尾さんは気に入った or 気になったモチーフを、繰り返し繰り返し描く。過去の作品にも、新たに手を加える。アイデアが次々と湧いてくるのでしょうね、これで終わりとはならない。先ほどのコレクションへのこだわりも同じ。失礼ながら、少し偏執狂的な傾向があるのかも、いい意味で。その繰り返しが数々の名作を生んできました。
個人作家名を冠した美術館として、これまで10年間ほかの作家の展覧会あるいは共催やグループでの展覧会は開催していない。これは素晴らしいことだ。アーティストの力量はもちろん美術館とキュレーターの努力があってこその快挙。しかも、この横尾忠則現代美術館プロジェクトは、まだ現在進行形。まだまだ続きます。
開館10周年記念
横尾忠則展
満満腹腹満腹
2023年1月28日(土)~5月7日(日)
横尾忠則現代美術館
Y+T MOCA
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