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2023年3月

2023年3月29日 (水)

生々しいゴッホを体感

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 ゴッホ独特の荒々しいタッチ。渦巻くような筆遣い。盛り上がった絵の具。大きな壁をスクリーンにして映し出される、大画面ならではの生々しいディテール。そこからは彼の激しい息遣いまで聞こえてきそうではないか。リアルな作品を展示した美術展では決して知りえなかった作品の真実が見えて来る。それって初めての経験。

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 広い会場が圧巻の作品世界に変わる! 臨場感あふれるマルチ・チャンネルの動画がもたらす圧倒的なアート体験。いま話題の『ゴッホ アライブ』は、映像技術の進歩と音響技術の発展のおかげで、数々の名作が細部まで壁面や床に映し出される。サラウンド音響で鳴るクラシックの名曲に包まれて、ゴッホを身近に感じます。

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 オランダ、パリ、アルル、サン=レミ、オーヴェール=シュル=オワーズ。アーティストとしてはわずか10年間のゴッホの生涯。たくさん残した自画像からは、平穏か、危機的か、その時々の精神状態が伝わってくる。鑑賞者は周り中で繰り広げられる映像と音の奔流に溺れそうになりながらゴッホの精神に寄り添っていく。

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 当時フランスで流行ったジャポニスムの洗礼を受け、ゴッホも浮世絵を愛していた。広重や歌麿を模写し、作品中の漢字まで描いているのには驚かされる。西洋絵画とは違う平面的な捉えかたや色彩が、彼に与えた大きな衝撃。美術史的にも印象派以降のアートに日本文化が与えた影響を考えると、とても誇らしい。

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 サン=レミの療養院を出て、オーヴェール=シュル=オワーズへ移る。最後の創作の日々。そして熱狂から死へ。これを暗示する『カラスの群れ飛ぶ麦畑』は、『ゴッホ アライブ』では黒いカラスがグワーッとこちらへ群れ飛んできて、不穏な空気が一気に高まる。もちろん動画。従来の静かな展示では不可能な、迫真の表現です。

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 「僕は探し求め、ぶつかっていき、全身全霊でそれと向き合う」 
 「僕は、朽ちて、病み、バラバラになるほどに、芸術家へと近づく」
残されているゴッホの手紙は820通。そこには自身の作品、さまざまな影響、心の状態などが事細かく書かれているそうだ。そのおかげで100年以上前に亡くなった彼に、私たちは迫れるのだ。

ゴッホ アライブ
2023年3月18日(土)~6月4日(日)
兵庫県立美術館
ギャラリー棟3階ギャラリー

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2023年3月26日 (日)

新時代のアート鑑賞体験

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 花が舞い、星が瞬き、カラスが飛び回る。兵庫県立美術館で開催されている『ゴッホ・アライブ』展は、ゴッホに「チームラボ」が乗り移ったかのような、圧倒的なアート鑑賞体験でした。写真撮影はダメ、近づき過ぎたらダメ、しゃべったらダメ。こんな何かと規制の多いストイックな美術展とは一線を画す、新しいアートの楽しみ方です。

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 40台の高精細プロジェクターによって、周りの壁や床に次々と映し出される3,000点以上の作品画像。うまく動画として天井の高い広い空間で、観客はどこでも好きな場所で楽しめる。まるでゴッホの作品世界へ入り込んだような異次元の感覚。観る向きを変えたり、座り込んだり、歩きながらもOK。自由に没入できるのです。

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 そしてヴィヴァルディに始まり、シューベルト、エリック・サティ、サン=サーンスなどの名曲がシーンごとに適確に選ばれ、映画館クラスのサラウンド音響で見事な映像に寄り添っている。みんなスマホ片手に写真や動画の撮影。子どもから年配の方まで、感動と充実の表情です。そう、シルク・ド・ソレイユの公演会場みたい。

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 くすんだ大地の色で描いていたオランダから、パリへ、南仏へと移動するにつれて、光は輝きを増し、色彩はより明るくなる。わずか10年間の活動で、930点の油彩と1100点の素描とスケッチを生み出したゴッホ。これほど大量の作品を残したのに、存命中に売れたのはごくわずか。そんな彼を新たな手法で表現するのが本展です。

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 ブルース・ピーターソン率いる Grande Experiennces によって創り出された美術エンターテインメント、『 Van Gogh Alive 』。世界を巡回して850万人以上を感動させた、五感で体験する没入型の展覧会。日本では名古屋会場に続き、「ゴッホの世界に飛び込め!」というキャッチフレーズで、いま神戸会場で開催中です。

ゴッホ アライブ
2023年3月18日(土)~6月4日(日)
兵庫県立美術館
ギャラリー棟3階ギャラリー

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2023年3月23日 (木)

まさかの爆笑アドベンチャー

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 いっぱいハラハラ、いっぱい笑える! サンドラ・ブロック演じる冒険ロマンス小説家・ロレッタが、伝説の財宝を探してジャングルを駆け巡るノンストップ・アドベンチャー映画、『ザ・ロストシティ』。監督はアダム・ニーとアーロン・ニー。恋愛小説家の作品世界とリアルな事件がシンクロしながら展開するストーリーは、驚きの連続です。

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 謎の大富豪に誘拐されロレッタ。目覚めるとそこは大西洋の火山島。古代の幻の財宝を見つけ出せ、と脅された彼女を救助に来たのが、この冒険シリーズ本の表紙モデル・アラン。彼はイケメンだが中身はスカスカ。お互いを嫌いながらも、しかたなく二人は宝探しと逃亡劇を繰り広げる。ジャングルで、川で、山で、洞窟で・・・。

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 椅子に縛られたまま逃げ回ったり、ヒルにお尻の血を吸われたり。緊迫のシーンなのに、ドタバタあり、下ネタあり! これでもかと続く爆笑の嵐。こんなに不謹慎でいいのか、アクション・アドベンチャーが。とはいえ話の骨格がしっかりしているので、イヤミなく楽しめる。その辺は、恋愛小説作家という設定も効いています。

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 偏執狂の悪党。伝説の古代都市。古文書の秘密。幻の王冠。ロレッタが作り出すフィクションと、目の前で繰り広げられる現実との違いと類似。そのサジ加減が絶妙です。「ジュラシックパーク」のような舞台で、「インディージョーンズ」のような謎解きアクション。そして冒険を通して人間として成長していく。まさに映画の王道です。

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 悪党はハリー・ポッター役のダニエル・ラドクリフ。だから、そんなに悪い人には見えません。カメオ出演でブラッド・ピットも出ている。これこそ驚き! しかも、エッ、エッ、というシーンと役柄で。出演者全員が思いっきり映画作りを楽しんでいるのが伝わってくる。そんな大人のための笑えるエンターテインメントでした。

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2023年3月17日 (金)

やっぱりトップガンが好き

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 今年のアカデミー賞は『エブエブ』の圧勝に終わりました。『トップガン マーヴェリック』は音響賞のみの受賞。残念というよりも、まぁアカデミーはこんなもの。興行成績よりも、芸術性?や社会問題?や人生の深淵?など。オレたちアカデミー会員はキミたち一般大衆より意識が高いんだぞ、と見せなければいけないから?

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 1986年の前作から36年ぶり。世界的大ヒット作『トップガン』の続編です。アメリカ海軍のエリートパイロット養成学校「トップガン」。ある秘密任務の教官として、伝説のパイロット「マーヴェリック」が帰ってきた。トム・クルーズは渋いオジサンになっても、ファッションにバイクに、やることは現役バリバリの若者以上。カッコいい。

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 前作と同じくアメリカ海軍の全面的な協力のもと、戦闘機や空母もすべて本物を使って撮影。戦闘機のバトルシーンの迫力や、失神寸前までGに耐える顔のゆがみなど、もうこれ以上は望めない。美しい映像と音響。前作の後、海軍のパイロット志望者が激増したそうですから、2匹目のドジョウ狙いもあるかもしれません。

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 今回の任務は、ならず者国家が間もなく稼働させるウラン濃縮プラントの破壊。ターゲットは険しい渓谷の奥の奥、強力な防空網に守られた地下工場だ。このミッションに適しているのは、最新鋭ではないF-18。敵の次世代型戦闘機と空中戦になれば分は悪いが、レーダーや対空ミサイルをかいくぐって目標を攻撃するにはコレ。

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 戦う相手は誰か。何のために戦うのか。リアリティを持たせるためには重要な要素だ。だからその時々の世界情勢が反映される。敵地からの脱出に使うのは、なんと前作で主役の懐かしいF-14。これも昔の友好国が今は敵に回っていることを表す大事なポイント。そして若いパイロットにはF-14は古すぎて操縦できないのだ。

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 死と隣り合わせの戦場で繰り広げられる、コックピットの中のドラマ。つらい過去と向き合う、親子2代にわたる人間ドラマ。36年という時間の経過が物語に深みを与え、大きな感動をもたらします。派手なスカイアクションは見ものですが、それだけではない。ジョセフ・コシンスキー監督のこだわり抜いた演出が光る傑作だと思います。

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2023年3月14日 (火)

VOCA、サイコーでした

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 日展を見た数日後。原田の森ギャラリーで VOCA 30周年記念の展覧会を見ました。歴代のVOCA賞受賞作全30点を集めたこちらの展覧会。日展との比較で、よけい良く見える。創造に向かう強烈なエネルギー。野心的なチャレンジ。批判を恐れない勇気。圧倒的なパワーを感じて、日本アート界の将来に希望を抱きました。

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 1994年にスタートしたVOCA展は、絵画や写真など平面美術の領域で高い将来性のある若手作家を奨励する展覧会。毎年、全国の美術館のキュレーターや研究者などから推薦された、40歳以下の作家が出品する。これまで延べ1,000人を超える作家が参加。現代のアート界をリードする存在を多数見出してきた。偉大な貢献。

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 1994年 世良京子、福田美蘭 1995年 三輪美津子 1996年 東島毅 1997年 小池隆英 1998年 湯川雅紀 1999年 やなぎみわ 2000年 岩尾惠都子 2001年 押江千衣子 2002年 曽谷朝絵 2003年 津上みゆき 2004年 前田朋子 2005年 日野之彦 2006年 小西真奈 2007年 山本太郎 2008年 横内賢太郎 さらに、、、

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 2009年 三瀬夏之介 2010年 三宅砂織 2011年 中山玲佳 2012年 鈴木星亜 2013年 鈴木(花房)紗也香 2014年 田中望 2015年 小野耕石 2016年 九門剛史 2017年 幸田千依 2018年 碓井ゆい 2019年 東城信之介 2020年 Nerhol 2021年 尾花賢一 2022年 川内理香子 有名になったアーティストが多いでしょ!

Nerhol

 出品規定は「タテヨコ250×400cm以内、厚さ20cm以内に収まる作品」というシンプルなもの。だから「平面」という制約の多いジャンルにもかかわらず、多様なメディア、素材、技法などを自由に使って伸び伸びと挑戦している。創造の可能性を拡げ、アートの新たな地平線を示してきたVOCAに、これからも期待しましょう。

VOCA 30 YEARS RTORY / KOBE
VOCA 30周年記念 1994ー2023
2023年3月9日(木)~3月25日(土)
原田の森ギャラリー(兵庫県立美術館王子分館) 

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2023年3月11日 (土)

日展、まぁまぁでした

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 日展なんて40年以上観に行っていませんでした。年寄りの審査員のお眼鏡にかなった作品しか評価されない。なんか権威主義的で、冒険より完成度、だから面白味に欠ける。そんなイメージ。今年は関西の会場が神戸ということで、久しぶりに行ってみました。日本画、洋画、彫刻、工芸美術、書の5部門に、計534点の作品。

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 こういう大きな公募展は、それぞれの作家が思い思いに制作した作品がいっぱい並べられるので、残念ながら散漫な印象。しょうがないことだけど。そして枠からはみ出る強烈な個性は見られなかったな、というのがもうひとつの印象。どの先生に師事するかで入選かが決まるといった古い体質が、まだ残っているのでしょうか。

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 それぞれの作品は作家の強い意欲や努力が感じられ、どれも見どころがある。ただし、予想の範囲内。(生意気でスミマセン) 「上手い」や「すごい」という言葉は浮かんだけれど、見たことがないモノに出会う衝撃はなかった。もしかしたら自我を殺してでも審査員の評価を得たい? まさか、そんなことはないでしょうが・・・。

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 全体的には、洋画や彫刻の部門はあまり面白くなく、日本画と工芸美術に面白い作品が多かったように思う。これはちょっと意外。予測と逆だったのだ。たまたま停滞期が過ぎて、新たな胎動が始まっているのか。別の深い意味があるのか。今のところはよく分かりません。入選作がいちばん多い書についてはノーコメントです。

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 個々に見れば長谷川喜久、土長けい、奥田小由女など、素晴らしいアーティストも発見しました。その一方、腕は達者だしアイデアもあるけど、どこか物足りない。そんな作家が多いのも日展。もしかしたらハードルを高く設定しすぎかもしれませんが。何を作るか、なぜ作るか、どう作るか。いろいろ考えさせられる展覧会でした。

第9回 日展 神戸展
2023年2月18日(土)~3月26日(日)
神戸ゆかりの美術館
神戸ファッション美術館

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2023年3月 8日 (水)

横尾忠則の面白さとは

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 横尾忠則はいろんな技法、いろんな画風、いろんな素材、いろんなテーマに、次々とチャレンジしては私たちに見せてくれる。こんな作家は過去にいなかった。「福笑いはキュビズムの原点。」という張り紙。「絵と文字を同質に!」という張り紙。横尾さんらしい芸術論だ。権威におもねず、自由に越境しながら創作を楽しむ姿勢。

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 『涅槃像一式』が面白い。釈迦涅槃像の周りをカエルやアザラシ、クマのプーさんやロナルドダック、ベティちゃんやマリリン・モンローなど600体。ありとあらゆる涅槃ポーズのグッズが集められている。作家自身のコレクションだそうだが、行く先々で気にかけ手に入れてきたのでしょう。観光絵葉書のコレクションも有名ですね。

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 「ART」の立体落書きボードがありました。これは2013年の展覧会で、来場者が思い思いに絵や文字を書き込んだオブジェ。色も大きさも自由気ままに書いている。さすが横尾さんのファン。ほかの作家の展覧会では、こんなに楽し気には書かないでしょう。なんでも面白がって作品化する彼の面目躍如。これぞヨコオマジック。

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 横尾さんは気に入った or 気になったモチーフを、繰り返し繰り返し描く。過去の作品にも、新たに手を加える。アイデアが次々と湧いてくるのでしょうね、これで終わりとはならない。先ほどのコレクションへのこだわりも同じ。失礼ながら、少し偏執狂的な傾向があるのかも、いい意味で。その繰り返しが数々の名作を生んできました。

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 個人作家名を冠した美術館として、これまで10年間ほかの作家の展覧会あるいは共催やグループでの展覧会は開催していない。これは素晴らしいことだ。アーティストの力量はもちろん美術館とキュレーターの努力があってこその快挙。しかも、この横尾忠則現代美術館プロジェクトは、まだ現在進行形。まだまだ続きます。

開館10周年記念
横尾忠則展
満満腹腹満腹
2023年1月28日(土)~5月7日(日)
横尾忠則現代美術館
Y+T MOCA

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2023年3月 5日 (日)

開館10周年、おめでとう

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 横尾忠則現代美術館 Y+T MOCA では、開館10周年を記念して『横尾忠則展  満満腹腹満腹』というタイトルの展覧会を開催中です。10年前のスタート時が『反反復復反復』という展覧会。そのセルフ・パロディーでもある、と解説にありました。過去30回の企画展を振り返り、展示スペースに限界まで作品を詰め込んだそうです。

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 計261点の作品が展示された、横尾忠則 総集編とも言うべきこの展覧会。ウイークデーに行ったにもかかわらず、ずいぶんにぎわっていました。若い人を中心に幅広い年齢層の観客。さすが長年日本のアートシーンを引っ張った横尾さん。というか86歳を過ぎてもまだまだ創作意欲は旺盛、バリバリの現役アーティストです。

Pop-war 
 膨大な量の作品を作り続ける作家とはいえ、たった一人の企画展を10年間30回も開催してきた美術館とキュレーターの努力も、並大抵ではなかったでしょう。おかげで「温泉郷」や「救急病院」や「恐怖の館」など、ユニークなテーマの展覧会を楽しませていただきました。ぎっしり並んだ作品群を観ていると当時を思いだす。

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 デザイナー時代から、画家宣言、そして自由に境界を越えていく現代まで。画風もテーマも常に変わり続ける横尾忠則さん。しかし彼にとっては何も変わってなくて、自分に正直に作品を作り続けているだけなのかもしれない。「混じりっけなし。純度100%のヨコオワールド」に日々会える、同時代地元民の幸せをかみしめている。

開館10周年記念
横尾忠則展
満満腹腹満腹
2023年1月28日(土)~5月7日(日)
Y+T MOCA
横尾忠則現代美術館
 

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2023年3月 2日 (木)

アートと建築の共鳴

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 端正でミニマル、基本的な造形が美しい。アーティスト青木悠太朗の木工作品が、昭和初期に建設されたレトロなビル・下町会館によくフィット。老朽化していた木造3階建ての建物に再生工事を施して、まちづくりの拠点施設としてリニューアル。街角の気になるビルや住宅に実際に入れるのも、この芸術祭の魅力です。

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 目黒雅叙園の百段階段に感銘を受けた当主が建てたという割烹 松本館。豪華絢爛な天井や壁面や欄間。さまざまな花鳥図に囲まれた大広間を会場に、福井江太郎が描いた迫力ある駝鳥の群れが展示されている。かなり主張が強い空間なのに、まったく負けていない。さすが海外でも活躍している福井さんだなと思いました。

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 日本画の技法で描かれたいろんなポーズのダチョウたち。首を極端に細くデフォルメすることで、その長さがより強調されたユニークな姿。観るものを小バカにしたような生気に満ちた目に、鳥の王者としてのプライドや強烈な生命力を感じる。この装飾過剰な部屋に描かれた多くの鳥とは一線を画し、まるで高貴な仙人のようだ。

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  ワールドワイドに活躍するインストゥルメンタルバンドの mouse on the keys マウス・オン・ザ・キーズの公開制作が3日間にわたって行われた。メンバーは川﨑昭、新留大介、白枝匠充。フュージョン or ロック or ジャズ or 現代音楽? ジャンルを超えた斬新な音楽が、中町 蔵シック館で生み出される貴重な現場を体験。

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 普通のドラムセットは使わず、スーツケースや焼肉用グリルパン、和太鼓や空き缶で音を出す。ピアノの絃に紙を巻いたりガムテープを貼って音色を変える。アグレッシブでミニマルなリズム。繊細な音の掛け合い。シンセサイザーやPCも効果的に使った新しい音楽。これは予想をはるかに上回る演奏だ。完成が楽しみです。

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 そしてマツモト建築芸術祭の最終日の2月26日。信毎メディアガーデンで彼らのライブパフォーマンス。公開制作していた新曲の完成お披露目だ。入場できるのは抽選で80人。運よく当選して18時からのライブに駆けつけました。芸術祭のフィナーレを飾るにふさわしい マウス・オン・ザ・キーズの演奏。大満足のイベントでした。     

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