ポップアートの旗手
1970年代80年代のアメリカでは、アンディ・ウォーホルに肖像画を発注するのがセレブのステイタスになっていた。シルクスクリーンの同じ版を、ズラしたり色を変えたりして刷り、魔法のように多様な作品を生み出したウォーホルのアトリエ。映像作品の制作やロックバンドのプロデュースまで、文化シーンに大きな影響を与えました。
彼が作品の対象としたのはアメリカ社会に流布するポピュラーなイメージ、大衆的なアイコン。キャンベルスープ缶やコカコーラやドル紙幣、モンローやミッキーマウスをはじめ、ジャクリーン・ケネディやメディアを騒がせた悲惨な事件まで。当時の人々に人気のある、悪く言えば軽薄な、あらゆる分野のシンボルにおよんだ。
彼の作品を大量消費社会やマスメディアに対する批判と考える評論家もいる。しかし本人は、「ウォーホルのすべてを知りたいなら、私の絵と映画と私の表面だけを見てくれれば、そこに私はいます。裏には何もありません」と言う。表層を重視、内容は軽視するというこの言葉。彼が社会と時代を映す鏡に徹したことの証でしょう。
今回の展示でうれしかったのは、葛飾北斎をオマージュした『波』を見つけたこと。ほかにもダヴィンチに対してのオマージュ作品もある。彼にとっては過去の名作も、映画スターやロックスターと同じくアイドルなのでしょう。多くの人々に流布するポピュラーなイメージ。これをリアルに表現するのが彼のスタイル。では次回に続きます。
アンディ・ウォーホル・キョウト
2023年2月12日(日)まで
京都市京セラ美術館
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