レトロ建築と現代アート
趣きある洋館。懐かしの民家。レトロなビル。松本市内に残るこんな名建築と現代アートがコラボするマツモト建築芸術祭が、今年も開催されました。19の建築でアーティストが作品を展示し、2か所の会場でライブパフォーマンスを展開。冬の松本をアートで彩る3週間の芸術祭が、この調子で定着すればいいですね。
そのいくつかを紹介しましょう。大正時代に建てられた旧小穴家住宅。ヨット柄のステンドグラスや三角形の出窓など、モダンなデザインが随所に取り入れられている。中にはカラフルな円形のライトが並ぶ絵画や、ピンクに塗られた石ころが転がった縁側。鬼頭健吾の作品が和室を宇宙的な不思議空間に変えている。
旧開智学校のそばの旧司祭館。明治22年に宣教師の住居として建設された西洋館だそうです。屋内には岡本亮の「CALMA」というタイトルのインスタレーションが。人類の過去の記憶から未来へ残るであろうモノまで、博物学のアプローチで収集して展示。古い宗教的な空間に、アーティストの独特な世界観が繰り広げられる。
大小さまざまな動物の頭蓋骨を組み合わせたオブジェ。バイクや旅行用スーツケース。トランペットや8mmカメラ。福助人形やレーシングスーツ。鉱物標本や骨董の文物。狩猟、移動、信仰など基本的な行動原理から、人類の来し方と行く末を俯瞰しようとする岡本のアタマの中を、そのまま覗き見をしているようで興味深い。
オランダのデザインユニット、ドローグ・デザインの照明器具がおもしろい。牛乳ビンを集めたり、洋服ハンガーだったり、吊り下げランプを85個もまとめたり、美しくてユーモア感覚にすぐれた作品が、会場の旧三松屋蔵座敷(はかり資料館)によくマッチしている。市販のデザイン製品をアートとして見せるのはMoMAのようです。
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