ビーナスとセリーナの父
ビーナス・ウィリアムズが14歳でプロデビューしたときの相手は、当時世界ランキング1位だったアランチャ・サンチェスだったんですね。試合には敗れたものの、見事な戦いぶりで一躍スターになったビーナス。妹のセリーナは翌年同じく14歳でプロデビュー。2人の女王を育てた父リチャード・ウィリアムズと家族の奇跡の物語です。
ウィリアムズ姉妹も制作総指揮に加わった『ドリームプラン』。テニス未経験の父がどのようにして娘2人を世界チャンピオンに育てたかを描く感動作です。独学でテニスの指導法を研究し、膨大な育成計画書を作成。そして常識破りの強化プランを実行に移す。白人富裕層のスポーツで。しかもギャングがはびこる治安の悪い街で。
周囲の批判や無理解に屈しない強い信念と、スポーツビジネス界に安易に利用されない狡賢さ。姉妹を守り育てることに奮闘する頑固な父を演じたウィル・スミスは、アカデミー賞の主演男優賞を受賞。才能を開花させたビーナス&セリーナは、世界チャンピオンに上り詰めただけではなく、歴史を変える名選手になったのだ。
この時代、特に女子で、若くしてトップに立った天才プレイヤーが、燃え尽き症候群で表舞台から消える例が相次いだ。父リチャードは専門家の助言に逆らい、娘たちを世界のジュニアツアー大会には一度も出場させなかったという。テニスに限らず、あらゆる種目で天才キッズの育成法について考えさせられるエピソードです。
家族みんなが支えあう姿も感動的でした。しかし、それはまだまだ残る厳しい人種差別社会の裏返しだったのかもしれない。ビーナス&セリーナが叩き込まれた「謙虚さ」も、マイノリティならではの生きる知恵。さまざまな困難にもくじけずブレずに立ち向かって栄光をつかんだ型破りの父と娘たちに、大きな拍手を送りたい。
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