中辻悦子さん、健在です
中辻悦子さんは人に興味を持ち続ける。特に眼に。阪神百貨店の広告デザイナーとしての仕事から、現在進行形の作品まで。絵画、デザイン、版画、オブジェ、コラージュ、絵本、立体、インスタレーション、舞台美術・・・彼女の半世紀以上にわたる活動の多彩さがわかる、『中辻悦子 起・承・転・転』展が開催されている。
夫の元永定正さんを通して「具体」の創作精神に触れ、自分だけの表現を追求してきた中辻さん。アーティストの妻として、3人の子の母として、制作の時間や場所の制約が多いなか、その時その時に可能な方法や素材を発見し活用して、おもしろい作品を作ってきた。それは才能か?センスか?努力か? その全部でしょう。
それは、しっかり見る目と活かすアイデアさえあれば、創作のネタは身近にいっぱい転がっているということを示している。「家族のシリーズ」、「ポコ・ピン」の連作、「合図ーeyes」シリーズなどを見ても、素材を変えたり色を変えたり、いろいろ楽しんでるなぁと思わせる。自分自身が一番おもしろがっているんだろうなぁ。
おもしろくて、ケッタイで、一人ひとりみんな違う。そんな人間が好きでたまらない気持ちを、研ぎ澄まされたシンプルさとユーモア感覚でカタチにする。ヒトを表現する喜び。ヒトとして生きる喜び。これまでも、これからも、中辻悦子はヒトという生き物を見つめ続けることでしょう。起・承・転・転。「結」はまだまだ訪れそうにない。
中辻悦子 起・承・転・転
2022年11月1日(火)~2023年1月22日(日)
BBプラザ美術館
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