親子のカタチ、親子の絆
地球人の侵略に苦しむ惑星パンドラ。『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』は、地球から派遣された元海兵隊員ながら、現地の先住民になる道を選んだジェイク・サリーと彼の家族の物語です。聖なる森から海の民のもとへ逃れた一家。海の部族に受け入れられ、海洋生物とも心通わせるようになる。だが平穏な日々は続かない。
再び侵略者と戦うことになるジェイク。この第2作では、成長した子どもたちも活躍する。「まだ子どもだ」と制止する親。「一人前に扱ってもらいたい」と背伸びする息子や娘。どちらも家族を思い、部族を思う気持ちに変わりはない。親の価値観の押し付けと、子どもの自立。成長とそれに伴う葛藤も、この映画の大きなテーマです。
それぞれの個性や能力がうまくかみ合い、ワンチームとなって戦う一家。知的な巨大海洋生物も助けにやってきて、一緒に侵略者と戦うアクションシーンは斬新です。一つの生態系を構成する生物たちとの親密な交流。これもキャメロン監督からの大事なメッセージだ。捕鯨反対キャンペーンの「クサさ」が少し鼻につきましたが。
さまざまな親子の関係がストーリーに奥行きを与えている。休眠中のグレース・オーガスティン博士のアバターから生まれた養女キリ。そのせいか物思いにふけったり、思いがけない能力を発揮したり、個性が際立っている。不思議な生い立ちの彼女だけに、シリーズの残り3作でもっと重要な役割が与えられるのではないか。
スパイダーと呼ばれる見た目もサイズも地球人の少年は、前作で戦いに敗れた人類が地球へ撤退するとき、赤ん坊の彼に宇宙の旅は不可能なので、パンドラに残された戦災孤児。サリー家の一員のように仲良くしているが、この星ではマスクがないと生きられない。こんな違いがあるキャラクターだからこそできる何かがあるはず。
もともとジェイクは地球人からナヴィになった。その子どもたちは混血だ。キリやスパイダーと同じく差別されるマイノリティなのだ。『アバター』ではいろんな「違い」が描かれる。地球人とナヴィ。森の民と海の民。ヒトと動物。大人と子ども。でもその違いを乗り越えて「絆」は生まれる。サリー家の物語、さて次の舞台は2年後に。
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