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2022年9月10日 (土)

最悪? 禁断の移籍

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 2002年、FCバルセロナの本拠カンプ・ノウ。コーナーキックを蹴りに行くと、ウイスキーの瓶や、ペットボトルや、あらゆるゴミや、豚の頭まで投げ込まれた男が、レアル・マドリードのルイス・フィーゴ。ファンからは「守銭奴!」、「裏切り者!」、「ユダ!」と罵詈雑言。これが2000年夏の「禁断の移籍」から 2年後の出来事だったとは。

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 FCバルセロナとレアル・マドリード。この対戦はエル・クラシコと呼ばれ、世界で最も熱いビッグ・ゲームだ。。スペイン中央集権主義の権化である首都の名門レアルと、カタルーニャ自由と独立を象徴するバルサとの戦い。フランコ総統時代にはカタルーニャ語を禁止されていた怨念もある。スター選手のトレードなどありえない話。

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 バルサは単なるサッカーチームを超えて、カタルーニャ人の魂のよりどころ。ファンからすれば、自分たちの愛したアイドルが宿敵へ移るなんて、こんなひどい裏切りはない。「お金のためではない。チームに貢献したのに、十分評価してくれなかったからだ」とフィーゴ本人は言うが、前代未聞のお金が動いたのも事実だ。

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 このドキュメンタリー映画『フィーゴ事件』では、本人を始め、代理人、クラブの会長、ジャーナリスト、チームメイトなど、当時の映像や現在のインタビューで、できる限り正確にこの事件の全容と伝えようとしている。最後まで気持ちは揺れ動き、苦渋の決断をしたフィーゴ。多くの関係者を巻き込んだ、壮大なドラマだったのですね。

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 この時期、レアルもバルサも会長選挙の直前だった。そしてフィーゴ移籍が選挙公約に使われる。レアルの新会長に当選したフロレンティーノ・ペレスは、就任1年目にフィーゴを獲得。それから毎年、ジダン、ロナウド、ベッカムとスーパースターを加えて、銀河系軍団を作り上げる。サッカーをマネーゲームにした豪腕の持ち主。

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 純粋にサッカーの才能や実力だけではなく、大きな政治力学に翻弄されたフィーゴ。しかし彼は言い訳をせずサッカーに打ち込み、2000年バロンドール、2001年FIFA最優秀選手に選ばれている。とは言え、この事件が選手のチームを選ぶ権利の面でも、移籍金額の面でも、サッカー界を大きく変えたことは間違いない。

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