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2022年9月 7日 (水)

MINAMATA 写真の力

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 水俣病の存在を世界に知らしめた写真集「MINAMATA」。写真家ユージン・スミスとアイリーン・美緒子・スミスがこの写真集を作り上げる過程を描いた伝記ドラマが、2020年の映画『MINAMATA』です。ジョニー・デップが製作・主演、美波がアイリーンを演じる。監督はアンドリュー・レビタス。1971年、NYのスタジオから話はスタート。

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 富士フィルムのCM交渉に通訳としてやってきたアイリーン。スミスは著名カメラマンだが、いまは酒浸りのうるさいオヤジ。暗室には森を抜ける二人のわが子を逆光で捉えた名作「楽園への歩み」も見える。流れている音楽はテン・イヤーズ・アフター。ここで彼女から水俣で起こっている公害病を撮らないかと勧められる。

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 日本にやってきたのは、従軍カメラマンとして参加した沖縄戦以来のこと。工場廃液に含まれるメチル水銀が原因だとは、まだ確定していなかった時代。なかなか打ち解けてくれない患者と家族。妨害行為や懐柔策に暗躍する会社。分裂していがみ合う被害者組織。水俣に住み、葛藤を続けながら、3年間に及ぶ撮影になる。

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 会社は15年前から危険を知りながら隠蔽し、廃液を垂れ流し続けていた。「こん病気は、偶然でも、遺伝でも、なか!」 強い信念で立ち上がり、最後まで闘った人々。真実を認めろと要求する抗議デモ隊や報道陣に、会社側が殴る蹴るの暴行を加える事件が。撮影していたスミスも、カメラマンの命である手と目に大ケガを負う。

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 彼の誠実な態度に患者も次第に心を開いていく。最後には「入浴する智子と母」というピエタ像を思わせる歴史的名作を残す。世界を動かし、チッソと日本政府を変えた、ユージン・スミスの写真の力。この映画を観るまで、あまり水俣のことを知らなかった自分を、同時代を生きた日本人として恥ずかしく思いました。

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 経済効率と安全。成長と環境。企業も、行政も、水俣後ずいぶん意識が変わりました。しかし、急成長を始めた発展途上国ではいまも同様の危機が起こっている。教訓が生かされていないのは残念だ。スミスが言う「強いものが弱いものを痛めつけている」という構図。これを地球上から根絶しないといけない。それが、正義。

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