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2022年7月 2日 (土)

山下清を大回想

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 小林桂樹や芦屋雁之助が主演した映画やTVドラマでも有名な『裸の大将』こと山下清。1922年(大正12年)に浅草で生まれ、1971年(昭和46年)に49歳で亡くなっている。今年が生誕100年。ということで、百年目の大回想というサブタイトルで『生誕100年 山下清展』が、いま神戸ファッション美術館で開催されている。

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 山下清といえば「長岡の花火」をはじめとする緻密な貼絵が圧倒的に有名です。今回の展覧会では貼絵はもちろん、鉛筆画、ペン画、油彩、水彩画、版画まで多岐にわたる。大皿や急須や湯吞に絵付けした陶磁器まで展示されているのだ。これまで何度も見てきた天才画家の作品群。こんなにまとまった展示は初めてです。

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 細かくちぎった色紙とコヨリをピースとして貼り合わせる貼絵。それに対してペン画も、やはり点と線で描かれている。貼絵のテクニックは他の画法とも親和性が高かったようだ。油彩の「ぼけ」や「つばき」や「ラッパ水仙」など花の作品も、期せずして後期印象派の画家たちと共通する趣がある。とはいえ本質は自然体です。

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 海外にも行って作品を残している。ロンドンの「タワーブリッジ」や、パリの「エッフェル塔」。コペンハーゲンの「人魚増」やベニスの「ゴンドラ風景」などなど。さすがの観察力、描写力を示している。ただし以前の自由奔放な熱量が、少し落ちているのではないか。つまり、うまくなり過ぎている感じがする。(スミマセン、エラそうで)

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 有名になるにつれて、絵の先生やマネージャー的な世話係など取り巻きが増えていったのでしょう。善意からの指導やアドバイス。だけども言うならば100%の自分から、他の人の考えやモノの見方が入り込んできたのか。無意識のうちだと思うけれど。でも、そのおかげで『自分の顔』という自画像も生まれたのだから良かった。

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 昭和7年ごろから絵を描きはじめ、知的障碍児施設の八幡学園で暮らすも、そこを脱走。夏は北へ、冬は南へ、全国を気ままに放浪しながら、記憶に残った旅先での風景を貼絵などで表現。脳出血で生涯を終えるまで、激動の昭和を描き続けた。「今年の花火見物はどこに行こうかな」、が最後の言葉だったと言われている。

100年目の大回想
生誕100年 山下清 展
2022年6月25日(土)~8月28日(日)
神戸ファッション美術館

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