ホテルは仮面舞踏会
遅ればせながら観ました。2019年の大ヒット映画『マスカレード・ホテル』。東野圭吾のベストセラー小説の映画化です。木村拓哉と長澤まさみが、刑事とホテルマン役で主演。衝突しながらも協力して、高級ホテルでの殺人事件を未然に防ぐ。それぞれ仕事のプロとして、プライドをかけて奮闘する姿がおもしろい傑作ミステリー。
心浮き立つ軽妙な音楽。懐かしい映像のトーン。お洒落なシーンのつなぎ。みんなサイコーです。ヒッチコックやアガサ・クリスティーの作品を彷彿とさせるテンポとテイスト。お客や従業員など、さまざまな人が行きかうホテルが舞台の、グランドホテル形式。登場人物がとにかく曲者ぞろい。みんな怪しい。みんな犯人に見えてくる。
「ホテルは仮面舞踏会のようなところ。誰もマスクを外して素顔を見せようとはしません」。客にとってホテルは実生活から浮いた虚飾の場なのだ。だから華やか。一流のホテルは客が無理難題を吹っかけても、決してNOと言わずに要望を聞く。少なくとも機嫌を損なわずうまく対応する。人生の表も裏も吞み込んで。
監督の鈴木雅之。音楽の佐藤直紀。豪華な出演陣の見事な演技。なるほど、大ヒットするのは当然だとナットクです。チェックアウトして出ていく客に、このホテルのフロントマンがかけるひと言が「お気をつけて、行ってらっしゃいませ」。この言葉にもサービス業の極致であるホテルの、深い思いがこもっていたのですね。
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