歴史を作った傑作、レオン
もう四半世紀が経ったのか。リュック・ベッソン監督による1994年の名作『レオン』を改めて観てみました。NYの闇の世界を舞台にしたリアルなアクションシーン。主人公の置かれた状況が心に沁みるヒューマンドラマ。孤独な殺し屋レオンと、過酷な生活を送ってきた12歳の少女マチルダの奇妙な純愛物語は、やはり感動的でした。
外から帰宅すると家族がみんな惨殺されていた。逃げ場をなくしたマチルダは、同じアパートのレオンの部屋に転がり込む。『スターウォーズ』シリーズや『ブラック・スワン』で名演を見せたナタリー・ポートマン。これが映画初出演です。海外では子役がメチャうまいけれど、こんな難役をここまで見事に演じたのは珍しい。
無表情に、機械のように、淡々と正確に殺しをこなすレオン。得体のしれない不気味な男でありながら、観葉植物をいとおしむ意外な一面を持つ。生きる目的もなく寡黙に暮らす男に、大都会NYはよく似合う。ジャン・レノの感情を抑えた表情と演技に、殺し屋の凄みと、哀しみと、優しさがにじみ出る。映画史に残る名演です。
復讐のため、無理やりレオンに弟子入りしたマチルダ。覚悟を決めた者の強さか、まだ子どもだけれど筋はいい。教えを守り、実戦を繰り返すうちに、二人の間に深い絆が生まれてくる。命がけの仕事をしているにもかかわらず、平穏で充実した日々。表現は不謹慎かも知れませんが、ある種の秩序とリズムが確立された生活。
静穏な均衡は、突如破られる。恨みを晴らすべき敵をマチルダが突き止めたのだ。そして無謀にも一人で悪の本拠に乗り込んでいく。それを知ったレオンの行動は? 壮絶な闘いの果て、二人の運命は? レオンが大切にしていた観葉植物を、鉢から出して土に植え替えるマチルダ。しみじみと心に沁みるラストシーンでした。
さすが『グラン・ブルー』のリュック・ベッソン監督。ハリウッドでのデビュー作で、フィルム・ノワールの名作群をさらにパワーアップした傑作を誕生させました。脚本、演出、映像、音楽、どれをとっても素晴らしい。悪と愛の香りが漂う傑作。脇をかためるゲーリー・オールドマンとダニー・アイエロも最高。歴史を作った作品ですね。
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