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2022年7月

2022年7月29日 (金)

海の未来はダイジョーブ?

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 『 WITH OCEAN  未来の海を考えよう! 』 大丸神戸店のエスカレーター横 1F広場で、こんなコンセプトのディスプレイが楽しめます。厳しい暑さの中、つかの間の涼を感じる貴重なスポット。地球温暖化や海洋プラスチックごみなどの環境問題を考えて、美しい海を未来に残そうと発信する企画。海辺の町らしい展示です。

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 展示の目玉は、淀川テクニックさんの作品。よく見ると、カラフルな使い捨てライターや電気のプラグでできたサカナ。淀川さんは「瀬戸内国際芸術祭」の『宇野のチヌ』で有名ですよね。ポリバケツや洗剤のプラ容器など、作家がみずから集めた瀬戸内海の漂流物で作った巨大なオブジェ。宇野港の名物になっている。

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 今回の作品は、百貨店の店内というスペースの問題もあって、作品は宇野よりずっと小ぶりです。でも浜辺の石ころで構成したり、海で拾ったガラスを使ったり、それぞれ特徴があっておもしろい。カタチはどれもチヌ。きっといちばんサカナらしいからでしょうね。多くの人が行き交う百貨店での情報発信。とてもいいと思います。

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 下の方はサンゴ礁? えっ、ホンモノ? ダイジョーブなの? はい、きっと環境に悪影響のないモノに違いないと思います。地球温暖化で海水温度が上昇すると、現状あるサンゴは死滅すると言われている。しかし今はサンゴが育たない北の海が生育適地になって、新しいサンゴ礁ができるという。時間はかかりますが・・・。

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2022年7月25日 (月)

歴史を作った傑作、レオン

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 もう四半世紀が経ったのか。リュック・ベッソン監督による1994年の名作『レオン』を改めて観てみました。NYの闇の世界を舞台にしたリアルなアクションシーン。主人公の置かれた状況が心に沁みるヒューマンドラマ。孤独な殺し屋レオンと、過酷な生活を送ってきた12歳の少女マチルダの奇妙な純愛物語は、やはり感動的でした。

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 外から帰宅すると家族がみんな惨殺されていた。逃げ場をなくしたマチルダは、同じアパートのレオンの部屋に転がり込む。『スターウォーズ』シリーズや『ブラック・スワン』で名演を見せたナタリー・ポートマン。これが映画初出演です。海外では子役がメチャうまいけれど、こんな難役をここまで見事に演じたのは珍しい。

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 無表情に、機械のように、淡々と正確に殺しをこなすレオン。得体のしれない不気味な男でありながら、観葉植物をいとおしむ意外な一面を持つ。生きる目的もなく寡黙に暮らす男に、大都会NYはよく似合う。ジャン・レノの感情を抑えた表情と演技に、殺し屋の凄みと、哀しみと、優しさがにじみ出る。映画史に残る名演です。

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 復讐のため、無理やりレオンに弟子入りしたマチルダ。覚悟を決めた者の強さか、まだ子どもだけれど筋はいい。教えを守り、実戦を繰り返すうちに、二人の間に深い絆が生まれてくる。命がけの仕事をしているにもかかわらず、平穏で充実した日々。表現は不謹慎かも知れませんが、ある種の秩序とリズムが確立された生活。

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 静穏な均衡は、突如破られる。恨みを晴らすべき敵をマチルダが突き止めたのだ。そして無謀にも一人で悪の本拠に乗り込んでいく。それを知ったレオンの行動は? 壮絶な闘いの果て、二人の運命は? レオンが大切にしていた観葉植物を、鉢から出して土に植え替えるマチルダ。しみじみと心に沁みるラストシーンでした。

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 さすが『グラン・ブルー』のリュック・ベッソン監督。ハリウッドでのデビュー作で、フィルム・ノワールの名作群をさらにパワーアップした傑作を誕生させました。脚本、演出、映像、音楽、どれをとっても素晴らしい。悪と愛の香りが漂う傑作。脇をかためるゲーリー・オールドマンとダニー・アイエロも最高。歴史を作った作品ですね。

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2022年7月16日 (土)

海とモンスターハンター

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 恐ろしい怪獣たちが海を支配していた時代。沿岸を襲う怪獣をやっつけ人々を守るモンスターハンターは、英雄と称えられていた。なかでも愛されていたのが偉大なジェイコブ。伝説的なクロウ船長と共に、未知の海域へ乗り出していく。宿敵のモンスターを探す壮大な旅。クリス・ウィリアムズ監督・脚本の『ジェイコブと海の怪物』。

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 ハンターたちを乗せた帆船に、ひそかに潜り込んだ少女メイジ―。両親の敵を討ちたい、と孤児院を抜け出してきたのだ。怪物との激しい戦いの中、ジェイコブとメイジ―は海へ投げ出される。漂流の末たどり着いた無人島は、さまざまな異生物の天下。見知らぬ世界。迫る危機。生き延びるために力を尽くす二人。

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 可愛い異生物と心を通わせられることを知ったメイジ―は、ジェイコブの反対を押し切って行動を共にすることに。迫ってくる巨大な怪物にも、逃げず、戦わず、心の底からの愛を持って対峙していく少女。すると奇跡が起こる。モンスターが心を開いて二人を助けてくれるのだ。ここから冒険アクションは、愛と勇気の物語へ。

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 二人を王国の首都へ導いてくれたモンスター。ところが王様の悪だくみで、人間と怪獣との最終戦争が始まるかと思った刹那、メイジ―が説得を始める。「仕返しをしたら、いつまでも終わらないから・・・」。どこかで憎しみの連鎖を断ち切らないと、いつまでも戦いは続くのだ。気持ちが通じたモンスターは静かに海へ帰っていく。

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 ファミリーで楽しめるこの作品。しかし決して軽い娯楽アニメではない。人間と野生動物の争い、異文化や人種間の対立、ひいては宇宙生命体との交流まで、無理解によるすべての「戦い」に対する深い考察を与えてくれる。そして神話や歴史書が、あくまで一方的な言い分を記述したに過ぎない事実を思い知らされるのだ。

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2022年7月 8日 (金)

ホテルは仮面舞踏会

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 遅ればせながら観ました。2019年の大ヒット映画『マスカレード・ホテル』。東野圭吾のベストセラー小説の映画化です。木村拓哉と長澤まさみが、刑事とホテルマン役で主演。衝突しながらも協力して、高級ホテルでの殺人事件を未然に防ぐ。それぞれ仕事のプロとして、プライドをかけて奮闘する姿がおもしろい傑作ミステリー。

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 心浮き立つ軽妙な音楽。懐かしい映像のトーン。お洒落なシーンのつなぎ。みんなサイコーです。ヒッチコックやアガサ・クリスティーの作品を彷彿とさせるテンポとテイスト。お客や従業員など、さまざまな人が行きかうホテルが舞台の、グランドホテル形式。登場人物がとにかく曲者ぞろい。みんな怪しい。みんな犯人に見えてくる。

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 「ホテルは仮面舞踏会のようなところ。誰もマスクを外して素顔を見せようとはしません」。客にとってホテルは実生活から浮いた虚飾の場なのだ。だから華やか。一流のホテルは客が無理難題を吹っかけても、決してNOと言わずに要望を聞く。少なくとも機嫌を損なわずうまく対応する。人生の表も裏も吞み込んで。

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 監督の鈴木雅之。音楽の佐藤直紀。豪華な出演陣の見事な演技。なるほど、大ヒットするのは当然だとナットクです。チェックアウトして出ていく客に、このホテルのフロントマンがかけるひと言が「お気をつけて、行ってらっしゃいませ」。この言葉にもサービス業の極致であるホテルの、深い思いがこもっていたのですね。 

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2022年7月 5日 (火)

戦艦大和の秘密?


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 へぇ~、こんな秘話があったのか、と思わせるおもしろいフィクション。三田紀房の人気漫画を映画化した『アルキメデスの大戦』は、今までの戦争映画とは全く違う視点で、世界最大の戦艦「大和」を捉えている。監督・脚本は『ALWAYS 三丁目の夕日』や『永遠の0』の山崎貴。スタートは昭和20年(1945)大和の壮絶な最期。

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 時代はさかのぼり、昭和8年(1933)。海軍省で新しい主力艦の建造を検討する会議が開かれていた。これからの海戦を決するのは、巨砲か? 航空機か? 戦艦派と空母派に分かれて激論が交わされる。しかし提示された巨大戦艦の建造費が思いのほか安かった! 山本五十六をはじめとする空母派は一気に形勢不利に。

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 安過ぎる建造費に不信を抱いた山本五十六は、若き天才数学者・櫂直を海軍に招き入れ、正しい費用を算出してほしいと依頼。裏に隠された不正をあばき戦艦の新造を防ごうと企む。決定会議まで残された時間はあとわずか。軍規の壁、縄張り意識、誹謗中傷と戦いながら、櫂は数学の力で真実に迫ろうとする。

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 適正な予算案をぎりぎりで会議に間に合わせた櫂。不正を明確に示し、空母派はこれで争いに勝ったと思った。ところが意外な展開に。軍中枢部の思惑通り、巨大戦艦は昭和15年(1940)に完成。大和と命名されることとなる。そして真価を発揮することなく冒頭の悲劇へ。菅田将暉、舘ひろし、柄本祐、田中泯などが好演。

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 山崎監督は言う。日本では計画の途中で「これはマズイ」と気づいても、引き返せないことが多いと思う。責任の所在を明確にしないまま、なんとなく金をつぎ込んでいく。はい、わかります。国も、企業も、個人も、思い切って変えられないまま、ズルズルと破局へ向かっていく。これからは変革の勇気を持ちたいものですね。

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2022年7月 2日 (土)

山下清を大回想

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 小林桂樹や芦屋雁之助が主演した映画やTVドラマでも有名な『裸の大将』こと山下清。1922年(大正12年)に浅草で生まれ、1971年(昭和46年)に49歳で亡くなっている。今年が生誕100年。ということで、百年目の大回想というサブタイトルで『生誕100年 山下清展』が、いま神戸ファッション美術館で開催されている。

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 山下清といえば「長岡の花火」をはじめとする緻密な貼絵が圧倒的に有名です。今回の展覧会では貼絵はもちろん、鉛筆画、ペン画、油彩、水彩画、版画まで多岐にわたる。大皿や急須や湯吞に絵付けした陶磁器まで展示されているのだ。これまで何度も見てきた天才画家の作品群。こんなにまとまった展示は初めてです。

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 細かくちぎった色紙とコヨリをピースとして貼り合わせる貼絵。それに対してペン画も、やはり点と線で描かれている。貼絵のテクニックは他の画法とも親和性が高かったようだ。油彩の「ぼけ」や「つばき」や「ラッパ水仙」など花の作品も、期せずして後期印象派の画家たちと共通する趣がある。とはいえ本質は自然体です。

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 海外にも行って作品を残している。ロンドンの「タワーブリッジ」や、パリの「エッフェル塔」。コペンハーゲンの「人魚増」やベニスの「ゴンドラ風景」などなど。さすがの観察力、描写力を示している。ただし以前の自由奔放な熱量が、少し落ちているのではないか。つまり、うまくなり過ぎている感じがする。(スミマセン、エラそうで)

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 有名になるにつれて、絵の先生やマネージャー的な世話係など取り巻きが増えていったのでしょう。善意からの指導やアドバイス。だけども言うならば100%の自分から、他の人の考えやモノの見方が入り込んできたのか。無意識のうちだと思うけれど。でも、そのおかげで『自分の顔』という自画像も生まれたのだから良かった。

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 昭和7年ごろから絵を描きはじめ、知的障碍児施設の八幡学園で暮らすも、そこを脱走。夏は北へ、冬は南へ、全国を気ままに放浪しながら、記憶に残った旅先での風景を貼絵などで表現。脳出血で生涯を終えるまで、激動の昭和を描き続けた。「今年の花火見物はどこに行こうかな」、が最後の言葉だったと言われている。

100年目の大回想
生誕100年 山下清 展
2022年6月25日(土)~8月28日(日)
神戸ファッション美術館

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