願う、信じる、前を向く
お手軽な作り話のようだけれど、実話に基づいた映画だという。2014年、メキシコのロスカボスを舞台にした『ブルーミラクル』。いや~、ホントに奇跡のような出来事があったのだ。資金難でつぶれそうな孤児院を、カジキ釣り大会の優勝賞金で救おうと奮闘する二人の男。予想通りのハッピーエンドですが、素直に拍手を送りました。
こんなに見え透いた結末なのに、なぜ感動を覚えるのでしょう。まず、舞台となったメキシコの状況。治安が悪く殺人事件も多発する。親を亡くし住む家も失った子どもたちはストリートチルドレンに。目の前にはクスリや悪事の誘い。生きていくために避けられないのか。こんな孤児たちの面倒を見ているのが、主人公オガール。
孤児院カサ・オガールは銀行からも見捨てられ、その存続は風前の灯火。しかも大型ハリケーンに襲われ万事休すか? そんなとき出会った、元腕利きのカジキマグロ漁船の船長ウエイド。考え方も性格も全く違う二人が、ぶつかり合いながらもオンボロ船で3日間の大会に挑む。乗船した孤児たちもみんな個性的。
がんばればきっといいことがある。正しい行いをしていれば神さまが願いをかなえてくれる。口では言うが、「本当は人生は不公平なものだ」とみんな分かっている。でもどんなに誘惑に駆られても、ズルをしないし、間違ったことはお断り。しかし奇跡は起こったのだ。最後の最後、彼らは苦闘の末にチョー大物を釣り上げて優勝。
主人公オガールを本当の父親のように慕う孤児たちとの強い絆。妻子と疎遠になっているウエイドの悔悟と人生の再出発。二人の人生はもちろん、子どもたちそれぞれが背負う人生も丁寧に描いた、監督・脚本のフリオ・キンタナの手腕は素晴らしい。諦めない努力と熱意が報われたことに、理屈を超えて感動しました。
実話に基づいたこの映画。エンドロールで孤児院カサ・オガールの「その後」も紹介されていた。もちろん無事に存続し、賞金できれいに建て替えられていた。運営するオガールさん夫妻は本当にいい人だから、めでたし、めでたし。なお世界高賞金のカジキマグロ釣り大会 Bisbee's は、今も盛り上がっているようですよ。
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