建築の歴史はアメ玉だ
こんな本を待っていた! 建築史家・建築家の藤森照信と画文家の宮沢洋が組んで出版された『画文でわかる モダニズム建築とは何か』(彰国社)が、メチャおもしろい。石器時代の住まいから現代建築までを概観する、藤森照信先生のユニークな建築史。そのキモを簡潔な文とイラストで分かりやすく説いてくれる。
まずは建築の歴史から。【1歩目】石器時代、世界はどこも共通で、円形の家に住み、見晴らしのいい場所に柱を立て祈っていた。【2歩目】青銅器時代に出現したメソポタミヤやエジプトの古代文明。建築はいくつかに分かれて巾を持つようになる。【3歩目】大宗教の時代、各地で多様な建築文化が花開き、その巾は最大に。
【4歩目】大航海時代にはアフリカとアメリカの固有な建築文化は亡び、多様性は減退に傾く。【5歩目】産業革命の時代に入ると、アジアのほとんどの国でも固有性が衰退。【6歩目】20世紀モダニズム建築によって、ヨーロッパも固有性を失い、世界は再び一つになった。パリも東京もメキシコシティも北京も、似たようなビルばかり。
藤森先生は言う。「改めて第1歩から振り返ると、人類の建築の歴史は面白い姿をしていることに気づく。細長いアメ玉を紙で包んで両端をねじったような形なのである」。一つから始まり、多様にふくらみ、また一つへ。約1万年にして振出しに戻ったのだ。では、鉄とガラスとコンクリートで作られた四角い箱、モダニズム建築とは?
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