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2022年5月

2022年5月30日 (月)

3年ぶりのクラフトフェア

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 コロナ禍で中止が続いた松本クラフトフェア。5月28日(土)29日(日)に、3年ぶりに開催されました。お天気にも恵まれ、出展者も来場者もみんな晴れやかな顔つきです。感染防止対策は万全。事前にアプリをインストールして連絡先などを登録、検温、消毒をして、あがたの森公園正面入口からのみの入場です。

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 出展者のジャンルは「陶磁」57、「木工・漆」36、「染色・フェルト」17、「ガラス」12、「金属」17、「皮革」18、「その他の素材」12、「材料・道具・情報」10。3年分の思いがこもった力作を展示たテントが、緑あふれる公園にいっぱい並ぶ。観客は思い思いに作品を見てまわり、作家さんと会話を楽しむ。もちろんその場で購入も可能。

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 食品のブースは定番のカレー、アジア風屋台飯、ベーグル、焼き菓子、自家焙煎コーヒーなど総数26。目についたのはハチミツ屋さんや手作りシロップをかける氷屋さん、そしてハーブやスパイスをたっぷり煮込んでソーダで割るお店。ヘルシー志向ですね。お天気がいいと気温も上がる。ノドも渇く。熱中症にも気を付けなきゃ。

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 テントを巡ったり、木陰のベンチで休憩したり、また戻って見たり。1万歩以上は優に歩きます。緑の美しい季節、いろんな樹々が大きく育ったあがたの森公園は散策にも最適。小さな子どもたちは、園内の芝生広場や池の周りで元気に遊びまわっている。こんな和やかな光景を見るにつけ、つくづく平和のありがたみを感じます。

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 全国各地で開催されるクラフトフェアですが、なかでも老舗でかつクオリティが高いのが松本。作家さんもアートファンも日本中から集まる大イベントです。コロナが一段落して久しぶりに開催にこぎ着けられたのは本当に喜ばしいこと。初夏の明るい日差しのもと、豊かな自然に囲まれる幸せ。来年も無事に開催されますように。 

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2022年5月26日 (木)

前は山火事、後ろは殺し屋

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 アメリカで毎年大きな被害を出す山火事。地球温暖化の影響か、近年ますますその規模が拡大している。テイラー・シェリダン監督の『モンタナの目撃者(Those Who Wish Me Dead)』で、森林消防隊という専門組織があることを知りました。凄まじい火の勢いと、猛烈な延焼スピード。彼らは悪魔のような火に勇敢に立ち向かう。

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 主演のアンジェリーナ・ジョリーは、トラウマを抱えながらも職務に打ち込む消防隊員ハンナを演じる。狂暴で冷酷な暗殺者コンビに命を狙われる少年と、彼を救うことによって過去を乗り越えようと奮闘するハンナ。サスペンス、アクション、サバイバル、ヒューマンドラマ・・・いろんな要素がギュッと凝縮された上質の1時間40分です。

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 いつまでも執拗に後を追ってくる殺し屋。行く手を阻む大規模な森林火災。絶体絶命の危機を生き抜いていく、心に傷を負った者同士。そのうち二人には相棒としての信頼感が芽生えてくる。相変わらず強い女を演じるとピカイチのアンジェリーナ・ジョリーと、みずみずしい少年を演じたフィン・リトルが、なかなかの名コンビぶり。

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 ほかの出演者たちもみんな素晴らしい。なかでも妊娠6ヵ月の警官の妻を演じたメディナ・センゴアが、アッと驚く強さを見せる。いちばん弱々しい立場かと思いきや、知恵と度胸と腕力で殺し屋たちを痛い目に合わせるじゃないですか。しかも生まれてくる子供を思う情愛の深さ。殺伐としがちなアクション映画に潤いを与えました。

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 本来なら出会うはずのなかった人たちが、偶然ひとつの事件に巻き込まれてしまう。そして極限状況を共に体験することによって生まれる深い絆。強さも弱さも、勇気も犠牲心も、ぎりぎりの状況に置かれると人は本性をさらけ出す。でも強さが善で弱いからダメなわけではない。それぞれが個性。しかもそれは日々成長し続けるのだ。

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 潔いラストがカッコいい。じつは殺し屋の背後には、政治、行政、警察など地方権力を牛耳る巨悪がいるのだが、彼らは捕まるのか? 救い出されたハンナや少年はどうなるのか? そんなことは一切触れずスパッと終わる。中途半端と感じる人もいるでしょうが、観客が勝手に想像すればいいという割り切りが気持ちいい。

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2022年5月23日 (月)

戦場の臨場感がスゴイ

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 1940年ドイツ軍の電撃作戦で、ドーバー海峡に面したダンケルクに追い詰められた英仏軍40万人の兵士たち。彼らを生きて英国に戻すために、史上最大の退却作戦が始まった。クリストファー・ノーラン監督が有名な史実を描いた『ダンケルク』。その圧倒的な戦場のリアリティは、戦争映画に新風を巻き起こしました。

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 戦争映画で大きな作戦をテーマに取り上げる場合、全体像がわかるように「神」の目線で描く場合が多い。そこまででなくても「国のリーダー」や「司令官」の視点で。しかし現実の戦場では兵士たちは見える情報と経験だけで戦っている。ここに着目したノーラン監督は陸、海、空、自分の持ち場で戦う「個人」の主観で描いたのだ。

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 個人の目で描くと、観客も同じく瞬間瞬間の情報しか得られない。その結果、まるでその場に放り込まれたような緊迫感。もうひとつスゴイのは陸、海、空の局面に少しずつ時間のズレを作っていること。その結果それぞれの戦場の繋がりが徐々にわかってくる仕掛け。とはいえ最低限の歴史知識があったほうがより楽しめる。

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 この作品は、作戦全体の説明がない。派手な戦闘シーンがない。敵が見えない。などの理由で、従来の戦争映画に慣れている人には不評かも。しかしよくわからず戦っていた、というのがリアルな戦場だろう。自分自身が生き残るのが精いっぱいの。現代のようにスマホやPCがあるわけでもない時代。それが限界だった。

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 マクロの視点で俯瞰するか。ミクロの事実を集積するか。戦争など大きな出来事を語る場合、二つのアプローチが考えられる。ヒーローを中心に据えて語ることも、名もない個人の行動から描くことも。ノーラン監督はリアリティを最重視して後者を選択。そして現在進行形の演出が緊迫感を最大化するのに成功している。

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 4年後のノルマンディー上陸作戦と違って、ダンケルクは追い詰められての退却作戦。なのになぜ大成功と記憶されるのか? それは装備の大半を失っても40万の人的資源を保全したから。連合国が戦意を失わず戦い続ける転機になったから。ここに英雄はいない。兵士たちの生き延びる気力が、人々に勇気を与えたのだ。

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2022年5月20日 (金)

「奇妙」と「普通」の境界線

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 世界は奇妙なモノにあふれてる。しかしそれらは我々にとっては奇妙でも、現地では普通だったりもする。文化、風習、建物、自然に至るまで。古代の遺跡から現代の遊園地まで。多種多様で驚きに満ちた光景を見せてくれる写真作品の展覧会が、西宮市大谷記念美術館で開催されている。『佐藤健寿展 奇界/世界』。

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 では「奇妙」って何だろう。海水浴客でにぎわうビーチのすぐ上を飛ぶジェット旅客機。こんなに低かったら危ない!と思いますよね。でもよく見ると浜辺で遊ぶ人たちがみんな飛行機に手を振っている。異常ではなく日常。ここでは「普通」のことなのだ。58カ国で撮影された作品からは、人間の営みのおかしみが伝わってくる。

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 「奇妙」と「普通」の境界線は、時代によって、場所によって、人によって、それぞれ違う相対的な基準。その「境界」は未知なるものを目にするたびに、揺らぎ、拡がり、新たに線引きされる。展覧会場で出会う謎だらけのキッチュやグロテスク。これらを目にした後は、間違いなく「こちら側」が拡がったと感じるハズだ。

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 UFOやネッシーや雪男。ピラミッドの秘密やナスカの地上絵。1978年生まれの佐藤健寿は、80~90年代に流行ったそんな怪奇現象や不思議を集めたオカルトTV番組を見て育ったという。そして20年間にわたり、興味と好奇心のおもむくままに地球を旅し、理解を超えた異文化をカメラで記録してきた。その情熱も普通じゃない?

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 ドキッとしたのが軍艦島の朽ち果てた建物の写真。毎日のようにニュースで目にするミサイル攻撃されたウクライナのビルにそっくりなのだ。ショック。それって想像力がぐんとブラッシュアップされたってこと? まさか彼もここまでは予想しなかったでしょう。人が新奇を知るごとに『奇界』は『日常の世界』に浸食されていく。

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 彼は会場のあいさつで書いている。~「奇界遺産」というテーマで長い旅をしてきて今思うことは、この世界に「奇妙なもの」はそもそも存在しないのではないか、という逆説だった。それはただ私たちが考える「普通」の「境界」の外側にあるが故に、そう感じるに過ぎない。~  もう安直に「普通」という言葉は使えなくなりました。

佐藤健寿展 奇界/世界
2022年4月2日(土)~6月5日(日)
西宮市大谷記念美術館

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2022年5月17日 (火)

時間について考える

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 「私は幸せを模索する、普通の人々に興味がある」と語る、リチャード・カーティス監督・脚本の『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』。2013年の傑作ロマンチックコメディです。コーンウォールの海辺の家に住む、自分に自信が持てない青年ティム。21歳の誕生日に父親から一族の男たちの衝撃の秘密を知らされる。

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 なんとタイムトラベルの能力が、代々の男たちに受け継がれているというではないか。風変りだが愛情深い家族に囲まれて育ったシャイなティムは、この能力を使って恋を成就しようと奮闘する。つまづいてしまった彼女との出会い。これをタイムトラベルでやり直す。何度も、何度も。誠実で一生懸命なのだけど、なぜか空回り。

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 誰にでも思い当たる青春のトキメキ。身近にいそうな親しみやすいキャラクター。ウイットに富んだ会話。登場人物たちを見守る監督の温かいユーモア。それらすべてが心地いい。タイムトラベルという視点を加えることによって、家族や恋人と過ごす平凡な日常の大切さが逆に浮き彫りにされる。うまい手法だと思います。

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 今日という日をしっかり生きる。それが人生を素敵にする秘訣。そしてまた、過ごしてきた時間の積み重ねが、人生に彩りをもたらしてくれる。この映画のタイトル、『アバウトタイム』は時間の愛おしさ、時間の豊かさについての考察という意味でしょう。タイムトラベルは時間を物語るための手段であって、目的ではないのだ。

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 主人公ティムを演じるドーナル・グリーソン。恋人から愛妻へ、彼の人生の喜びを共にするメアリー役のレイチェル・マクアダムス。タイムトラベルという秘密で結ばれた父親役のビル・ナイ。キャスティングも見事でした。タイムトラベルを繰り返す軽いコメディの前半から、逃れられない死と家族の絆の物語へ。感動を生む構成でした。

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2022年5月14日 (土)

キューバサンドが食べたい

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 肉が焼けるニオイ。野菜を刻む包丁さばき。ベニエを揚げる音。これでもか!というぐらい「ウマイ」がいっぱいの映画です。あふれる調理シーン&食べるシーン。しかもそれらは高級レストランの料理とは限らない。屋台の名物料理もあれば、家庭でササっと作るパスタやクロックムッシュも。シェフがほんとにウマイと感じる味。

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 ジョン・ファブローが製作・監督・脚本・主演を務める『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』がおもしろい。しかし観ていると猛烈に食欲が湧き起こる。主人公はLAの高級レストランの有名シェフ。斬新なメニューに挑戦しようとした彼は、保守的なオーナーと衝突してクビになる。失意の彼は、息子と元妻とマイアミへ向かうハメに。

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 そこで出会った新しい味がキューバサンド。「これだ!」とひらめいた彼は、ボロボロのフードトラックを手に入れて息子と一緒に改造。商売を始めると、これが大当たり。マイアミから、ニューオリンズ、LAへと移動販売をしながらアメリカ横断の旅。疎遠だった息子も調理を手伝ううちに、徐々に親子の気持ちが通じあっててくる。

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 この映画は7~8年前の作品なので、SNSの理解度のギャップも面白おかしく取り入れている。メールとツイッターの機能の違いを理解していない父親と、SNSを軽々と使いこなす10歳の息子。慣れていないばっかりにヒドイ目に合うエピソードも笑えます。逆に息子がSNSで商売のPRをしてくれていた、という裏話も泣かせます。

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 なかなかよくできたハートフルコメディですが、困ったことに食欲全開。キューバサンドが食べたい! できれば本場の。それから、なんとなく思ったのだけれど、ヤセた料理人は信用できないなと。ゴメンナサイ。なんとなくですから。またダスティン・ホフマンやスカーレット・ヨハンソンが出演しているのも驚きでした。カメオじゃなく。

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2022年5月11日 (水)

クセになるセトウツミ

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 あまり期待せずに観たけれど、これはスゴイ! 2016年の大森立誌監督の『セトウツミ』。そこらへんにゴロゴロいる目立たない高校男子、瀬戸と内海が、放課後たわいもないことをウダウダしゃべっているだけの映画。よくもまあ映画にしたな、というお話なのだが、実に面白い。うまくハズシ、うまくマトメ、上々の出来栄えです。

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 ケンカもない。部活もない。壁ドンもない。「喋る」だけの放課後 とキャッチフレーズにあるように、ありふれた日常。つまらない毎日。天然の元サッカー部員はボケまくり。クールなインテリ塾通いはツッコミまくり。性格も家庭環境も真逆な二人が、なんとなく時間つぶしに来てしまう場所。そこが彼らの唯一の居場所。

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 原作は此元和津也による同タイトルの連載漫画。ヒーローでもない、ワルでもない。リアルな高校生がここにいる。「ヒマを潰すだけの青春があってもエエんちゃうんか」と、冷めたセリフをシニカルに吐く。かと思えば深い深い哲学的な考察も。高校生、というのはそんな年代なのか。それにしても、いまの子たちは優しい。

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 ダブル主演の菅田将暉と池松壮亮の演技がサイコー。関西弁だからこそのおかしみを、これ以上なく上手に伝えている。ロケ地になった堺を流れる名も知らぬ川の堤防もいい。都心でもない、田舎でもない、ゆるい風景。ここで繰り広げられるムダ話は、シュールな漫才だ。あれっ、もしかしたら面白がるのは関西人だけ?

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 全編を流れる平本正宏の音楽がまたサイコー。ちょっとレトロなタンゴのリズム。哀愁あふれるバンドネオンの響き。イマドキのナニワ男子にはまったく似合わない音世界と思いきや、これがメチャはまってる。この映画に一本しっかり横串をさした、音楽の功績も大きいと思う。平本さんを選んだ、大森監督のセンスの良さを感じます。

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 家族の話。女の子の話。将来の話。飼いネコの話。ヤンキーに絡まれる話。とりとめもないようだけれど、苦しみ悩みも、夢も挫折も、それなりに知っている。でも若さのエネルギーで、深刻な話も笑いのネタに変える二人。家庭の事情。ガールフレンドとの関係。そしてなによりも友情。新時代の青春映画が誕生しました。

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2022年5月 8日 (日)

「編む」世界が 深い!

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 ベルリンを拠点に活躍するデザイナー、濱田明日香が主宰するファッションレーベル「THERIACA(テリアカ)」が取り組む「ニット」プロジェクトの初展覧会だそうだ。いまデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)で開催されている。おもしろい! 美しい! ユニーク! 細かいディテールまでつい見入ってしまう。なるほどねえ。

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 毛糸やポリエステルの糸でアーティスティックな「編み物」作品を創造する、というのはまだ序の口。驚いたのが「編み物」には考えられない素材で、服やバッグが作られている。ロープ。靴ひも。ストロー。皮。布の切れ端。レシート用紙。これらの異素材は、完成直前まで編み上がった作品のそばに一緒に展示されている。

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 細長いものなら何でも材料になる。ひも状じゃないものでも細く切れば織れる。いや、太くても編める。ロープでもOK。濱田明日香さんの自由自在な発想。ヘンな素材の特性をうまく生かしたデザイン。観る側の我々のイマジネーションを大いに刺激して、何か作ってみたくなる不思議な魅力にあふれた展覧会でした。

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 ジョークかマジメかわからない、常識にとらわれない濱田さんの実験的な試みの数々。そこからは、「編む」とはどんな行為なのか、「糸」とは何を表現するマテリアルなのか、奥深い探求の跡が感じられる。さて「編む」世界を追求する濱田さんは、これからどこへ向かうのか。願わくば我々観客をさらに楽しませてほしいものです。

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THERIACA  Yarn,Rope,Spaghetti 展
20221年4月29日(金・祝)~5月15日(日)
デザイン・クリエイティブセンター神戸 KIITO

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2022年5月 5日 (木)

芽吹きの春、命輝く時

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 一昨日は雪が降り、鉢盛山は白く雪化粧しましたが、ふもとの野麦峠スキー場は絶好のハイキング日和。ゲレンデを太陽の光を浴びながらゆっくり登る。サクラが咲き、カラマツが芽吹いて薄緑のモヤのように煙っている。乗鞍もだいぶん雪が解けて雪形があらわれていたのに、また真っ白になっています。神々しい白。

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 落葉するカラマツは芽吹き始めでまだ葉が茂っていない。だから存在感が薄い。それに対して目立っているのが常緑のドイツトウヒ。枝が幽霊の手のようにダラリと垂れ下がる独特な樹形。ヨーロッパ原産、スカンジナビア半島やドイツ黒の森に多い。豆知識をひとつ。材はストラディバリウスの響板にも使われているそうです。

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 とは言えカラマツにとっても今はドラマチックな時期。芽吹きと同時に雌花と雄花が咲き、受粉の準備を始める。枝の上、大きくて白っぽい薄緑色のが雌花。枝の下側には、小さくてオレンジ色がかった褐色の雄花。数は雄花がはるかに多い。多くの花で雄しべが雌しべよりずっと多いのと同様、受粉の可能性を高めるため。

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 人間でも精子の数が圧倒的に多いですからね。これは種として生き延びるための知恵。植物も、動物も、子孫を残すためにさまざまな努力を重ねた結果、今がある。現在われわれが目にしている生物は、すべて進化の道筋の勝者のみ。雑草も虫けらも、すべて不屈のチャンピオン。だからあらゆる生命を大切にしなければ。

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2022年5月 2日 (月)

境峠のミズバショウ

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 我が松本市奈川と木曽郡木祖村との境界線にある標高1,480mの峠。その名もわかりやすく境峠。そこにある湿原でミズバショウの花が満開です。白い花に見えるのは、じつは花ではなくて葉の変形した苞。仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる。この中にある黄色いツブツブの円柱状が、小さな花がたくさん集まった花序。

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 ミズバショウはサトイモ科ミズバショウ属の多年草。夏になると葉が高さ80cm、幅30cmにも成長し、まさに芭蕉の葉のような大きさに。それが下を流れる水が見えなくなるほど、びっしり生い茂る。ミズバショウは雪が融けたあとに開花しますが、今年は三月に入ってから暖かい日が多かったので、いつもより開花が早い。

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 ここ境峠の湿原は、周りにミズナラやブナなどの広葉樹やヤナギの仲間、カラマツやシラビソなどの針葉樹が自生。クマザサもたくさん見かけます。自然のままの豊かな植生の中で、サクラと同じころに咲き始め、樹々の芽吹きと共に春を祝福するかのごときミズバショウ。バードウオッチャーの姿も見かける季節になりました。

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