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2022年4月23日 (土)

音楽とダンスと奇跡

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 ラップ、R & B、カリビアンミュージック・・・音の洪水に乗ってキレッキレのダンスが荒波のように押し寄せる。圧巻のミュージカル映画『イン・ザ・ハイツ(In the Heights)』は、NYの片隅にある街ワシントンハイツを舞台に若者たちが夢に向かって進む物語。トニー賞4冠のブロードウェイミュージカルを、ジョン・M・チュウ監督が映画化。

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 ここはドミニカやプエルトリコやメキシコからやって来た移民が、祖国を遠く離れて暮らす街。このワシントンハイツで歌とダンスに明け暮れる陽気な人々も、貧困や差別など厳しい現実に直面している。そして時代の変化に取り残され、徐々に住む場所も奪われていくことに。この地で住み続けるか? 別のどこかで夢を追うか? 

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 この街で育ったウスナビ(アンソニー・ラモス)、バネッサ(メリッサ・バレラ)、ベニー(コーリー・ホーキンズ)、ニーナ(レスリー・グレイス)の4人の若者たち。それぞれ悩みを抱え、つまづきながらも夢に向かって歩んでいる。そんな時に起こったのが真夏の夜のNY大停電。ここから彼らの運命が大きく動き出す。

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 さてもう一人の主要プレーヤーが、街のみんなを支えるお母さん役ともいうべきアブエラ。ハイツを長年にわたって見てきたキューバ出身の老女です。彼女はこのストーリーでとても大きな役割を果たすのですが、これを知ってしまうと観る楽しみが半減するので書きません。物語の展開にはこんな存在が大切ですよね。 

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 原作、作詞、作曲など、すべてを創作したリン=マニュエル・ミランダ。すごい才人です。彼はプエルトリコ移民の息子で実際にワシントンハイツに住んでいたという。25歳のときに執筆したこの物語には、当時の街のリアリティと彼自身の感傷がこもっている。そしてアッと驚く奇跡のようなラスト。天才の手腕に感動しました。 

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