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2022年4月26日 (火)

おもしろキュビズム空間

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 横尾忠則現代美術館の4階。アーカイブルームの奥、王子公園や摩耶山を望む窓際に「キュミラズム・トゥ・アオタニ Cu -mirror- ism to Aotani」という横尾忠則さん命名のスペースがある。キュミラズムはキュビズムとミラーを組み合わせた造語で、建築家の武松幸治が監修しました。どこまでが実像なのか、自分がどこにいるのか?

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 窓の外に広がるのは摩耶山麓の風景。ここ青谷は横尾さんが新婚当時に住んでいた思い出の場所だそうだ。山や公園の緑、空の青、神戸文学館のレンガの赤。たくさんの色や景色の断片に包まれて、重力の意識があいまいになる。平衡感覚が崩れて、宙に浮かんだような不思議な体験。これも遊びの原点かもしれない。

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 窓から見える青谷の風景が、ランダムに角度の付いた不定形ミラーに映り込む。天井や床に貼られた三角形にカットされた風景写真が、万華鏡のようにまた映り込む。窓の外と、床などのプリントと、ミラーの鏡像と。横尾夫妻が3年間暮らした街を、いろんな視点から多面的に立体的に目にできる。これこそがキュビズムです。

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 以前プラハにある世界的に有名なキュビズム建築のカフェでお茶したことがありますが、これほど衝撃は受けなかった。もちろん第一次大戦前の建築で、しかも店舗や住居などとして実際に使われるビル。床や壁が歪み傾きまくっていたら、実用にはならないですからね。アート体験のためのスペースとは比較できませんが・・・。

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 イメージの解体・再構成。これは昔から横尾忠則が得意としてきたコラージュの手法。キュビズムが視覚の探求から生まれたのに対し、横尾コラージュはさまざまなモチーフが持つイメージの再構成。だから鑑賞者の遊び心をより刺激する。ここキュミラズムも、スペースの内と外の視覚のみならず、思い出も再構成している。

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 横尾さんがまだ広告デザイナーだった頃の青谷。芸術家として大成し自分の名前を冠した美術館にできたスペース。60年の歳月を経たいま、風景も、思い出も、時間も、解体し再構成したコラージュ作品。ただ面白いだけの視覚の冒険にとどまらず、深い意味を汲みとれる表現になっていると思います。

キュミラズム・トゥ・アオタニ 
Y+T MOCA
横尾忠則現代美術館

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