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2022年4月29日 (金)

誰が天才を評価する?

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 若き天才たちが集う国際ピアノコンクールを舞台に、それぞれが葛藤し、困難を乗り越え、成長する姿を描く『蜜蜂と遠雷』。恩田陸の原作は直木賞と本屋大賞をダブル受賞したチョー話題作です。同じ楽譜を演奏しても音楽として大きな差異が出るクラシック。その奥深い魅力を文章で表現できるか、の挑戦でもありました。

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 言葉で音楽を伝える小説に対し、音そのものでピアノ演奏技術や曲の解釈を伝えられる映画。だから音楽をテーマにした物語は映画向きかと思ったけれど、逆に難しいのかもしれない。なぜなら観客の耳や理解力を大前提とするからだ。監督・脚本の石川慶がかつての天才少女を主人公にしたのはそんな理由かもしれない。

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 既成のクラシック音楽界を破壊する可能性を秘めた、謎の野生児が奏でる奔放な音楽こそ原作では第一のテーマです。しかし映画では、13歳で姿を消した天才が7年ぶりに表舞台に復帰する姿がメインとなった。彼女の秘密と、それを克服して成長する人間ドラマ。映画的にはこのほうがおもしろくて成功していると思います。

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 気持ちがいいのは、熾烈なコンペティションという状況でありながら、みんなが仲良しだということ。お互い刺激し合い、助け合い、高め合いながら、一次審査、二次審査、本戦へと臨む。近年『羊と鋼の森』やアニメの『ピアノの森』、ショパンコンクールでの快挙など、いろんなカタチでピアノ演奏への話題が増えている。

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 それにつれて注目されるのは、天賦の才能とそれを引き出し育てるシステム。ピアノ教師、音楽大学、国際コンクールと審査員など、既成の音楽界でそれが可能なのか。それは音楽に限らず、スポーツの世界でも常に問題提起されること。新たに出現した天才の評価は難しい。残念ながら評価する側は天才ではないのだから。

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