現代アートは難解だ
ミニマル・アートとコンセプチュアル・アート。「現代アートって分からない」と、よく言われるのはこの2つのセイです。兵庫県立美術館で開催中の『Minimal ミニマル / コンセプチュアル Conceptual』は、この難解な美術ムーブメントについての展覧会なのです。一切の飾りを配した美? 作品になる以前のアイデアを重視?
1967年、ドイツのデュッセルドルフにギャラリーを開いたドロテ&コンラート・フィッシャー夫妻は、時代の最先端をいく世界のアート動向を紹介していた。この展覧会では、彼らのコレクションや個展を開いた作家たちとの書簡や指示書、ドローイングなど貴重な資料を中心に、約150点の展示を鑑賞することができる。
作家の手仕事を廃して、シンプルで幾何学的なカタチの反復から作品を制作。手の痕跡をなくすために工業用素材や既製品を活用する。毎日ハガキを書いて何年間も知人たちに送り続ける。アート=芸術の変革。カール・アンドレやソル・ルウィットの立体、河原温の行為、ベルント&ヒラ・ベッヒャーの写真作品がおもしろい。
作品制作の指示書を送り、展覧会場の近くで作品を作ってもらう。それらは従来の美術作品の定義や画家や彫刻家などといった作家の要件に縛られず、アートの可能性を大きく拡げることに。これら1960年代からの潮流はその後のアート界に大きな影響を与えた。作品の作り方、展示方法と場所、なにより作品そのものの質。
ゲルハルト・リヒター。ブルース・ナウマン。ヤン・ディベッツ。ギルバート&ジョージなどなど。そうそうたるビッグネームの仕事ぶりが楽しめる。現代アート嫌いをつくった犯人でもあるミニマル・アートとコンセプチュアル・アート。しかし今のアートシーンの生みの親であるのは間違いないでしょう。この展覧会を観ると実感できます。
Minimal ミニマル / コンセプチュアル Conceptual
ドロテ&コンラート・フィッシャーと1960-70年代美術
2022年3月26日(土)~5月29日(日)
兵庫県立美術館
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