ハッピーエンドじゃないけれど
レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・ローレンス、メリル・ストリーブ、ケイト・ブランシェット、ロブ・モーガン、ティモシー・シャラメ、ジョナ・ヒル、マーク・ライランス、アリアナ・グランデ・・・ こんな豪華キャストが揃った映画は「きっとつまらないだろう」と早合点せず、ぜひ観てください。ハッピーエンドじゃないけれど大いに笑えます。
アダム・マッケイが監督・共同脚本の『ドント・ルック・アップ』。ある日冴えない天文学者ミンディ博士と教え子の大学院生ケイトが、地球衝突のコースで近づく巨大彗星を発見する。しかもそれは6ヶ月後! さぁ大変、早く世界中の人々に知らせなきゃ。派手なSFサスペンスが始まる、と思いきやブラックなコメディに変わっていく。
大統領に直接訴える機会を得るが、迫りくる地球滅亡よりも彼女(大統領は女性なのです)の関心事は中間選挙情勢、話を早く済ませてと笑い飛ばすだけ。人気のTVショーに出て説明しても、司会者は心配しないどころかジョークのネタにされる始末。みんな危機感ゼロ。誰もまともに聞いてくれないのだ。ああ、時間はない。
テレビで大声で叫んだケイトはSNSで誹謗中傷の嵐。環境運動家のグレタ・トゥーンベリさんのように。女性版トランプのような大統領と、スティーブ・ジョブズかザッカーバーグを思わせるIT業界のカリスマも登場。地球壊滅より支持率。命の危機より金儲け。政治、経済、メディア。たっぷり風刺が効いた極上エンターテインメントです。
タイトルの『Don't look up』(上を見るな)は、科学的事実から支持者の眼を背けさせ国民の分断を助長するために大統領が始めたキャンペーン。フェイクニュースに熱狂する大衆の危うさと、SNSのもろさも考えさせられます。ラストシーンもヒエロニスム・ボスの「快楽の園」を思い出す。怖くて、笑える、145分でした。
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