ミイラが立っている⁉
人間のミイラが5体。猫やワニやヘビ、トキやハヤブサなど動物や鳥のミイラが6体。これだけまとまって鑑賞できるのもスゴイけれど、この展覧会はただ並べられた展示を観るだけのエジプト展とは一味も二味も違う。兵庫県立美術館で開催されている『ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展』がおもしろい。
死者が支配するかのような静謐な空間。広い展示室にずらりと立ち並んだミイラ? じつはミイラを安置する12点の棺でした。ミイラは亜麻布で包帯を巻くようにぐるぐる巻きにされ、生前の姿を描いた木製の覆いをかけられ、ひとまわり大きい色鮮やかな棺に入っている。丁寧に内棺と外棺と二重に作られているものもある。
3000年以上の眠りからよみがえった生と死の神秘。木製の棺に色鮮やかな絵画と独特の象形文字ヒエログリフ。死者の業績や賛辞をあらわす「死者の書」だ。こんな目の前でディテールまで克明に鑑賞できるのは、棺が立てられているからこそ。単に立体的で迫力のある展示、というだけじゃなくて大変お勉強になります。
ミイラとともに埋葬されている副葬品も多種多様。とくに興味を惹かれたのは護符です。あの世へ行っても病気や災害や争いなど、現世と同じくさまざまな危険がある。だからそれぞれに効く呪文や守り神を表すお守り「護符」が必要だ。素材も石、木、青銅、ファイアンスと呼ばれる青い陶器など、技術力の高さがうかがえます。
ライデン国立古代博物館所蔵
古代エジプト展
2021年11月20日(土)~2022年2月27日(日)
兵庫県立美術館
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