ミイラをCTスキャン?
兵庫県立美術館で開催中の『ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展』。もうひとつのおもしろさはミイラのCTスキャン映像。横たわったミイラの頭の先にモニターが設置されていて、スキャン映像を流している。包帯の下へ、皮膚の中へ、さらに骨格へ。身体がぐるっと回りながらいろんな角度から動画で見せてくれます。
1818年創立、オランダのライデン国立古代博物館は世界有数のミイラ・コレクションを所蔵している。その初代館長が将来的な技術の進歩を予見し、ミイラを傷つけずにそのまま保存することを決めた。他国では研究目的でミイラの包帯をほどいてしまう事例もあったなかでの決断。その結果、保存状態は極めて良好だという。
おかげで今はCTスキャンという最新技術を活用して、最先端の研究が進められている。いわば非破壊検査。歯や骨の状況が生前の食生活や死亡時の年齢を推定する大きな助けになる。ある男性ミイラは頭部のガンにかかっていたらしい。そこまでわかるとは驚きでしょ。まさに初代J.C.ルーヴェンス館長の先見の明。
CTスキャン技術は、これまで何のミイラかわからなかった丸い石のようなものが、じつはコブラのミイラだと突き止めました。古代エジプト人は人間に限らずネコやワニ、ハヤブサやトキなど動物や鳥もミイラにした。この世とあの世を行ったり来たりする魂の、こちらでの容れ物としてのミイラ。パラレルワールドのような死生観ですね。
ライデン国立古代博物館所蔵
古代エジプト展
2021年11月20日(土)~2022年2月27日(日)
兵庫県立美術館
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