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2021年12月20日 (月)

心やさしい剣豪

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 佐伯泰英の人気時代小説の映画化『居眠り磐音』は、予想していた以上におもしろかった。監督は『超高速!参勤交代』シリーズの本木克英。古いしきたりに縛られた武家社会における友情や恋愛。江戸時代の庶民の暮らしに経済政策まで絡めた複層的なお話を、今風にうまくまとめた手腕はさすがです。

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 主演は松坂桃李。時代劇に主演するのは初めてだそうですが、見事な殺陣、独特の剣法で胸のすく立ち回り。ところが普段は優しいを通り越して弱々しく感じるほど。それがイザとなればやってくれます。新しい時代劇ヒーローは、全然ヒーローらしくない素浪人。現代風に言えば失業者、いつもアルバイトを探している。

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 共演する女優陣もピッタリはまっていて良かった。故郷九州で待つ許嫁を芳根京子が。江戸で知り合う気っぷのいい町娘を木村文乃が。幼なじみの柄本佑。強欲な商人を柄本明。剣の師匠は佐々木蔵之介。そして中村梅雀、谷原章介、西村まさ彦、陣内孝則など豪華キャストが個性的な演技を繰り広げる。

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 藩の組織の腐敗や幕府の中枢までおよぶ不正や政略。昔のことを描きながら、現代に通じる問題点を提起するニュー時代劇が、近ごろとても目立つと思いませんか。いまの政治、経済、社会問題を婉曲に表現してエンターテインメントにする。これにいちばん適したスタイルがニュー時代劇なのかもしれませんね。

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