怖~い、横尾忠則
いま「芸術」と「恐怖」との関係性について考察する、という展覧会が開催されている。『Yokoo Tadanori's Haunted Museum 横尾忠則の恐怖の館』。なんか難しそうに聞こえますが、ま、簡単に言ってしまえば横尾作品を使ったホラーハウス、お化け屋敷ですね。10月とはいえ暑い日が続くので、納涼に行くにはピッタリかもしれません。
入館して2F展示室に向かうエレベーターに乗ると、もう始まっていました。庫内の壁にもボタンパネルにも血しぶきがかかっている。青い壁と赤い血。まるで惨劇の後のようなありさまで、鮮烈な色の対比がショッキングだ。トイレに向かう薄暗い廊下に、幽霊が描かれた昔の少年マガジンの表紙。前にロウソクが灯っている。
チケットのチェックを受けたら、まず真っ暗な部屋に案内される。暗闇の中から不気味な機械音や人間の悲鳴が聞こえてくる。生来の怖がりなので、ドキドキでオソルオソル中へ。少しずつ目が慣れてくると、そこは江戸川乱歩の世界。「白昼夢」、「屋根裏の散歩者」、「闇に蠢く」、「幽鬼の塔」、「黒蜥蜴」、「地獄の道化師」・・・。
暗く血なまぐさい展示室にいると、幼児の泣き叫ぶ声が近づいてくる。するとベビーカーを押した若夫婦。連れてくる場所を間違えたか、恐縮しきりで追い越していく。絵も怖いけど、音もまた怖い展示空間。年齢制限はかかっていないとは言え、小さな子にはちょっと可哀想かな。トラウマにならないよう祈っています。
暗闇に浮かび上がるこれらの作品は、江戸川乱歩全集(講談社)の挿絵をインクジェットで拡大プリントしたもの。おどろおどろしい中に独特のユーモアを漂わせた世界。それが乱歩にインスパイアされた横尾ワールドです。挿絵が原作に従属するサブの役割から、主役を張る独自のアートへ。そこに大きな飛躍があります。
Yokoo Tadanori’s Haunted Museum
横尾忠則の恐怖の館
2021年9月18日(土)~2022年2月27日(日)
横尾忠則現代美術館 Y+T MOCA
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