嘘八百コンビ、再び
焼き物を扱う骨董商と贋作陶芸家。口八丁の則夫(中井貴一)とスゴ腕の佐輔(佐々木蔵之介)。冴えない中年コンビが堺の街で大活躍する痛快コメディ『嘘八百』。同じ武正明監督による第2弾が2020年の『嘘八百 京町ロワイヤル』です。こんどは京都が舞台で、だます相手は老舗骨董店の二代目店主と大物鑑定家。
広末涼子演じる謎の京美人・志野が登場。老齢の母がだまし取られた古田織部の幻の茶碗「はたかけ」を取り戻してほしいと泣きつかれる。美人に弱い紀夫は安請け合いするが・・・。かつて堺でコンビを組んで悪徳業者をやっつけたスゴ腕に頼み込む。いまは贋作づくりから完全に足を洗い、作家として創作活動に励む佐輔。
しぶしぶ了承するが、さすが織部の名品だけあって贋作を作るのも苦労の連続。思うようにはできなくて、失敗を繰り返す日々。そして巻き込むのは、いつも居酒屋でうだうだしているええ加減なオッサンたち。じつは彼らが筆跡模写の天才、和紙のプロ、化粧箱つくりの達人。それぞれの道では並ぶものがない隠れた名人たちだ。
やっと出来た幻の「はたかけ」を使って大勝負に出る。テレビ番組「お宝一期一会」をでっち上げ、生放送で悪事を暴くアイデア。悪い奴らをだまして懲らしめる。決して殺しはしない。血が流れるシーンも皆無。いわば庶民の味方の義賊のような、愛と正義の行いです。安心して観ていられるこういう構図は、日本人には懐かしい。
『コンフィデンスマン』シリーズが大掛かりなハリウッド的おもしろさとするなら、『噓八百』シリーズは「寅さん」的な身の丈サイズの親しみやすさ。二人の主人公の際立つキャラクターや、親子や夫婦や詐欺仲間たちの憎めない個性。みなさんの素晴らしい演技力が見ものです。長く楽しめるシリーズに育ってほしいものですね。
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