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2021年10月 9日 (土)

確かに存在する何か

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 アクリルフィルムにシルクスクリーンでプリントされた8点の人物作品が並べられた壁面。一癖も二癖もありそうな男女がこちらを静かに見ている。それぞれの作品の前には燭台が立てられている。これは「葬列」と題された展示。べつに死んだ人の肖像じゃないけれど、薄暗い空間にロウソク、確かに遺影のように見えてくる。

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 死や幽霊。霊魂やテレパシー。目に見えないもの。科学で説明できないこと。そんな超常現象に横尾忠則は幼少期より一貫して関心を持ってきたという。自身も透視や予知などの霊能力に優れていることを自覚。オーソドックスな科学が調査対象にしない現象にも、同じスタンスで対等に取り上げ、作品に生かしてきた。

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 フェリーニ監督をリスペクトしたアニタ・エグバーグ像。顔のないビートルズ。土壁の骨組みにあらわれるかぐや姫の顔。いずれの作品からも、あの世とこの世の境界が曖昧なことを理屈を超えて伝わってくる。人間が思った強い未練や、消すことのできない怨念。目に見えなくてもそれらは確かに存在する、という感覚。

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 しかしこれで終わらない。横尾さんの興味は人間の思念にとどまらず、無機質なモノにも向けられる。展示室Bで見られるインスタレーションは、美術館の過去の備品や展示に使った不要物などの残骸。しかしそれらは誰かの思いが宿ったモノ。無機的に見えてもすべて固有の魂を持つ存在だ。作品と同列の扱いがおもしろい。

Yokoo Tadanori's Haunted Museum
横尾忠則の恐怖の館
2021年9月18日(土)~2022年2月27日(日)
横尾忠則現代美術館 Y+T MOCA

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