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2021年8月18日 (水)

下品な娘をレディに

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 高校生のころ、体育祭の準備をさぼって映画館へ駆けつけた思い出があります。オードリー・ヘプバーンとレックス・ハリスンが主演した『マイ・フェア・レディ』。1964年のアカデミー賞で、作品賞、監督賞、主演男優賞、撮影賞、編曲賞など8部門でオスカーを獲得した名作ミュージカル映画を、50数年ぶりにNetflixで観ました。

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 原作はジョージ・バーナード・ショー、アイルランド出身のノーベル文学賞を受賞した文学者、劇作家です。ロンドン下町で育った粗野な花売り娘が言語学の教授に言葉遣いや礼儀作法のレッスンを受けて、美しいレディに成長して社交界に華々しくデビューする、というお話。と聞けばよくあるシンデレラ・ストーリーのようですが・・・。

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 しかしさすがはバーナード・ショー。階級社会への皮肉、女性蔑視の男社会、分かり合えない男女の意識、金持ちが幸せとは限らない現実、などなど。現在とはずいぶん違うけれど、ビクトリア朝の社会課題を下敷きに奥深い物語になっていたのだ。格差の固定化が進む現代にも通じる、新たな魅力の発見です。

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 発音や言葉遣いだけで、どこの出身でどんな生活をしているかすべてわかる、とうそぶく高慢な教授。教育によって人生は変えられることを証明しようと、花売り娘を実験材料に厳しい言語学的トレーニングを強いる。その試みは成功するが、女性は男に従属するものではなく独立した人格であることを思い知らされる。

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 観たのは半世紀以上も前なのに、ディテールまで良く覚えているのには驚いた。ついさっきのことも忘れる現在との落差、トホホ。もちろん音楽は名曲ぞろい。その後いろんなアレンジで繰り返し演奏され続けている。そうそう、ハリスンは主演男優賞を取ったのに、なぜヘプバーンは取れないんだ、と憤ったことを思い出しました。

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