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2021年7月16日 (金)

完全版のアポロ11号

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 人類が初めて月面に足跡を残したニール・アームストロング船長。バズ・オルドリン月面着陸船「イーグル」操縦士。マイケル・コリンズ司令船「コロンビア」操縦士。3人の宇宙飛行士によるアポロ11号の9日間の冒険は、フロンティアがなくなったと思われた時代に、広大な可能性あふれるフィールドを私たちにもたらしました。

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 トッド・ダグラス・ミラー監督のドキュメンタリー『APOLLO 11 [完全版]』が素晴らしい。NASAやアメリカ公文書記録管理局の協力で新たに発掘した映像と音声を、4Kリマスターで美しくよみがえらせた作品。ナレーションやインタビューは付け加えず、淡々と事実のみで伝える構成。これがかえって緊迫感を増している。

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 同じテーマをアームストロングの視点で描いたデイミアン・チャゼル監督の『ファースト・マン』も面白かったが、こちらの『完全版』はアーカイブ映像を使ったドキュメンタリー。ドラマチックなカメラワークも緊迫した見せ場もないけれど、「これから18秒間、通信が途絶える」という音声に、ハラハラドキドキ! 結果は知っているのに。

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 乗り込み⇒発射⇒切り離し⇒月面着陸⇒ドッキング⇒帰還⇒回収、と続く一連の出来事を伝えるだけなのに、いろいろと発見があって興味深い。宇宙服の着付け。ヒューストンの管制センターと宇宙飛行士たちの生のやり取り。ミッション完了後の太平洋での回収体制。飛行士たちの隔離車両。なるほど、そうなのか。

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 宇宙船や管制センターのディスプレーや計器類が、色もデザインもレトロでほほえましい。50年前に使われていた巨大な装置は、単純比較は難しいにしても性能は今のスマホ以下でしょう、きっと。当時の未発達なコンピューター技術で、よくぞこんな高度なミッションを成し遂げられたものだ、と感心します。大変な冒険だったのだ。

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 1961年5月、ケネディ大統領が「この60年代が終わるまでに人間を月に着陸させ、安全に地球に帰還させる」と大号令をかけて始まったアポロ計画。国の威信をかけたアメリカの夢。不可能と思われたこの国家目標を、1969年7月に達成したアポロ11号。このとき持ち帰った「月の石」が翌年の大阪万博の目玉展示になりました。

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 本筋からそれますが、宇宙飛行士はもちろんヒューストンのスタッフや打ち上げ見物の観客にいたるまで、画面に出てくるのは白人ばかり。日頃見ている映像と何か違うなぁ、と感じていた違和感はそれだったのです。いまの映画ではこんなキャスティングはありえない。でもこれはドキュメンタリー。そういう時代だったのです。 

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