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2021年7月 4日 (日)

ヴィクトリア女王の孤独

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 (ほとんど・・・)真実に基づいた物語、というキャプション付きの映画『ヴィクトリア女王 最後の秘密 Victoria & Abdul』がおもしろい。100年以上も隠されていた女王とインド人従者の交流と深い絆を描いたスティーブン・ブリアーズ監督の作品。主演はジュディ・デンチ、とアリ・ファザル。絶対権力者の孤独と癒しが感動を呼びます。

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 大英帝国が絶頂時代の1887年、ヴィクトリア女王の在位50周年を祝う式典が行われる。植民地のインド帝国から記念金貨を贈呈する役に選ばれ、はるばる英国へやってきた若者アブドゥル。王室のしきたりなど臆することなく、年老いた女王に真っすぐな笑顔を向ける。周りに閉ざしていた心を融かし、女王は輝きを取り戻す。

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 インド人の従僕は、やがて友人で、先生で、女王が心を許すたった一人の人間になる。しかし皇太子をはじめとする王室関係者、総理大臣や政治家などはみんな困惑の極みに。身分の違い、年齢の違い、民族の違い、宗教の違いなどで嫌悪する。現代でも難しいのに19世紀ですから。差別をしているという意識すら存在しない。

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 「若いころは死にたいと願ったこともあったのに、老いると死が怖くなる」と告白するまで心を許す女王と、それに真剣に応えるアブドゥル。わが子ですら信じられない姿に、絶対権力者の絶対的な孤独を見る。誰も本気で向き合わない、いや大帝国の君主に対等に向き合える人間は誰一人いないのだ。

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 いま世界中で州や街や駅や通りの名前に付けられたヴィクトリア。湖や山や滝の名前にも。駅やホールなどの施設にも。北米、アジア、アフリカ、オセアニアと、地球の陸地の四分の一を支配した女王にあやかって名付けたのでしょう。またその長い治世に繫栄した科学や文化や生活スタイルがヴィクトリア朝様式です。

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