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2021年6月 7日 (月)

サンローランの光と影

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 モードの帝王と呼ばれたサンローランの生涯を、ずっと支え続けた恋人で事業のパートナーでもあったピエール・ベルジュの視点で振り返る『イヴ・サンローラン』。彼が集めた美術コレクションをオークションにかけるシーンから、ベルジェの回想が始まる。ジャリル・レスペール監督。ピエール・ニネとギョ-ム・ガリエンヌ主演。

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 クリスチャン・ディオールの後継者として、1957年、21歳にして偉大なメゾンのデザイナーになった天才。そして兵役に就いたあと26歳で自らのブランドYSLをベルジェと二人で設立。2002年に引退するまで世界のファッション界をリードする。しかし栄光の裏には、華やかな表面からはうかがい知れない苦悩と孤独があった。

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 極度の緊張とストレスから、麻薬に溺れ、危険な夜遊びと、愛人との浮気に逃避するサンローラン。そんな彼を保護してきたベルジェ。その愛は献身的であると同時に、支配的で息苦しいものでもあった。切ないラブストーリーに、センスのいい音楽がマッチする。当時を思い起させるジャズ。ノルマ、椿姫、トスカなどのアリア。

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 アルジェリア独立戦争。クリスチャン・ディオールやカール・ラガーフェルドとの交友。メゾンからプレタポルテへ。マラケシュの家。ゲイの美意識。耽美的で背徳的なニオイ。半世紀以上も前のモード界の事情と社会状況を手際よくまとめた佳作です。やたら多い喫煙シーンは気になりましたが、タバコの害悪が叫ばれる前のお話です。

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