東山魁夷、青と緑の日本
奈良時代、仏教の戒律を伝えるために鑑真は苦難の末に日本渡航を果たした。そして修行の道場として創建された唐招提寺には、「鑑真和上座像」(国宝)がある。これを安置するために、千二百年忌を記念して御影堂が建立される。その障壁画の制作を依頼されたのが東山魁夷。彼は10年の歳月をかけてこれを完成させる。
全68面、全長80mを超える障壁画の大作。神戸市立博物館で開催中の『東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展』を観てきました。失明した鑑真が見ること叶わなかった日本の海と山の風景を描いた「濤声」と「山雲」。南側の二室に配置された、このみずみずしい青と緑を基調とした作品は、彼の代表作ではないでしょうか。
「日本画の色彩に、古来、最もよく使われている群青と緑青という絵の具がある。岩絵の具と呼ばれている種類で、孔雀石を粉末にしたものである。かなり鮮明な色であるが、華美という感じではなく、落ち着きと深みを持っている。」 解説にあった東山自身の文章。生涯かけて追及した気品あるブルーグリーンの世界です。
東山魁夷
唐招提寺御影堂障壁画展
2021年4月24日(土)~6月9日(水)
神戸市立博物館
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