東山魁夷、水墨の中国
鑑真和上座像が安置されている唐招提寺の御影堂。北側の三室には水墨画で描かれた「黄山暁雲」、「揚州薫風」、「桂林月宵」が配置されている。5度の渡海に失敗し、失明してもなお渡日をあきらめなかった強い精神に捧げられました。ちなみに墨の線とぼかしの濃淡で表現する水墨画は、唐代に成立したと言われている。
鑑真が目で見ることのなかった日本をみずみずしい色彩で描き、二度と帰れなかった記憶の中にある中国をモノトーンで描く。対照的な手法で表現された二つの世界。ただ単に目で見えるかどうかではなく、意識の問題として、希望にあふれる新しい世界と過去に置いてきた世界を、鮮烈にイメージさせられました。
寺院や教会に捧げられた美術作品は、洋の東西を問わず、そのアーティストの代表作になる場合が多い。純粋に魂の平安を祈り、全身全霊を傾けて制作するから、質の高い作品になるのは当然でしょうか。作家から見れば時代を越えて作品が残るのも魅力。この障壁画と東山魁夷の名前も千年以上残っていくことでしょうね。
東山魁夷
唐招提寺御影堂障壁画展
2021年4月24日(土)~6月9日(水)
神戸市立博物館
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